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神託の悲劇【4】

神託3の内容を神託4に変更し、時間軸を分かりやすくしました。

現在内容は変更してませんが、神託4~10話までのボリュームを増やす予定です。

19/3/13㈰


アルカードはフォレンへ向けて馬を操る。するとフォレンと逆方向に乗り捨てられた

幌馬車と争った形跡があった。

『王都に向かう途中に襲われたか? 嫌な予感しかしないぜ』

アルカードは気付かなかった。予想される幌馬車の進行方向が違ったせで。それが妻が乗った荷馬車だった事に。


フォレンへ先に着いたらのはアルカードだった。

アルカードは屋敷の使用人に全てを告げ自ら作り上げた町を引き払う決心をした。

【忌み嫌われる者】【はぐれもの】そう言った者達を集めた理想の町


アルカードは皆を逃がす呼び掛けをし皆が同じた。

彼等には【逃げずに闘う】と言う選択は無かった。


兎に角逃げてほしい、ただそれだけを皆に伝えた。

言葉は町全体に伝わり、いつしかもぬけの殻になっていた。

嬉しいようで、悲しかった。これまで築き上げた筈が、こうもアッサリと。

不満の1つも出なかった事が気持ち悪くて、気持ち悪くて…。

辺りには、もう誰も居ないものかと思った。そんな時…。


「旦那様、御屋敷へ入りましょう。食事も用意しております」

『何故…』

「奥様方がお戻りになられません。最後まで待つのでしょう?私達の仕事が出来てしまっては仕方ありません」


老けたメイド長と、若い侍女、ガッチリとしたコックが入り口で待っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


燃える音がする 焼ける音がする 軋む音がする 崩れる音がする 走る音がする 

開ける音がする 駆ける音がする 閉まる音がする 叩く音がする ズレる音がする


妻は戻らず、遂に屋敷まで追っ手が来てしまった。


なるべく踏み込ませ、火をつけて、少しでも足止めをと焼き払う。


燃え広がり、形を変えていく屋敷。

隠し通路へと逃げ込み地下道の抜け穴を進む。


『慌てるな!!…狭いがちゃんと続いてる、この先は森の水車小屋だ、船があるハズだ、お前達はそれに乗り逃げろ…』


[[[[旦那様!!]]]]


『止まるな!!時間が惜しい…そのまま聞け』


振り向く一同に怒鳴る男 ぬかるむ通路に響きわたる。


『今日までお前達は良くやってくれた…正直心強かった…襲撃が解っていながらも不自然がない様に振る舞って居てくれた…お陰で沢山の命が助かった筈だ…』


男は狭い穴を最後尾から言葉を口にしていく。

騒ぎ立てる者は居ない 主の言葉を聞き入る為、感情を押し殺す


『此処まで囮となって動いてくれた事に本当に感謝する…俺は…いい主で居られただろうか、憎んでないか?俺の理想の為にこんな辺境な場所まで来てくれたのに…ドイツもコイツも邪魔ばかり…終いにはこの有り様だッッ!!!!』ドゴォン


歩く、聞きながら歩く、少しでも助かる為に。

だがそれは彼等自身の為では無い、彼等を愛した男の理想の為だ。 


【救いたい】只そだけの為に手を差し伸べた男の理想の為に彼等は【ここで死んではいけない】のだから。

主の理想を無下にはしたくない想いからだ。


だが此処まで言われて黙って居られる程、彼等の心は冷めては居ない。

彼等は壁を叩く音に振り向く。出口へ急かした主に意を唱える為に、感謝を伝えるべく。


「旦那様…私達は皆、充分な程救われました。旦那様の理想を一緒に歩めただけでも幸せで御座います。

叶うなら、一緒に死ぬの事も構わないと、そう思うほ程に…」


『ばっ!!だm ry「えぇ、解っておりますとも…皆が理解しております。だからこそこの人数なのですよ?」


一瞬、何を言ってるのかわからなかった。


「気付いて居られますか?皆が旦那様の【理想】の為に【身を退いた】のを…戦わず、傍に居たい気持ちを【我慢】して、【生き延びる選択】をした【家族達】を…」


堂々とメイド長たる老けた女性が言い、何処が見える訳で無く、壁の向こうを…まるで見えてるかのように眺めて言う。


「それに私達ハグレモノを家族として受け入れれくれた旦那様を嫌いになる訳が有りませんわぁ!!」


続き若い侍女も明るくニコやかに言って魅せた。


「俺達はな、本当はもっとお前さんに頼って欲しかったってのによ…独りで格好付けやがって!!」


コックらしき男が 手 を差し伸べていた。


『ビーンっ…カトレア…ミルフィ…』


引っ張り上げ


「ほら」


((((「行きますわよ」「行くぞ!」「行こっ!!!」))))


『ぁあ!!』


その後、男と三人の従者の足取りは軽く通路を抜ける道はあっという間まだった。


『さっきはその、ありがとうな…だがやはり俺はお前らに死なれたくない』


………


沈黙がなれ、それをメイドが切る

「やはり行ってしまうのですね…」

『あぁ…最後まで諦めない…お前達はこのまま王国を出ろ、その方が安全だ』

「他のやつらなら任せろ!散り散りになるこたあねぇさ…またな」

『あぁ』

「…」バサッ

侍女が抱きついた。小さな頭に手を乗せて撫でて…その手は流れる様に頬によせ、指で涙を払い去う。

『俺の世話ありがとうな、ミルフィ…幸せに生きてくれ…』

顔が歪む、しかし涙をこらえ、拳を握り見守る小さな少女

彼はそれを見ず去っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



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