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神託の悲劇【2】

… … で締めくくられたセリフは脳内会話です。



一人の男が王都から見つからない様に脱出する為に、聖騎士団が保有する敷地から下水へと潜り込んでいた。



「ぶへっぶへッ!!くっそーッ暗いし臭いし意味が分からんぞッ!!」



…こうなったのも、メイビスの奴が俺を蹴り落としやがったからだ。隠し通路とか言う下水に落とされて這いつくばってる俺…。最悪だ、肩から上しか水面に出てねーんだもんよ…。騎士団保有の隠し通路(下水)だぞ!?流れる汚水の横に道くらい普通あるだろ…本当に只の下水だよ…。…ん、おや?一応入ってこれないように柵あるんだな。ヨチヨチ歩きじゃ剣が振るえないぜ。こんな時はなッ…


ググググ、シュキッ!!


「これで切れるだろう…フンッ!!」


水面から出した右手に力を込めると、腕から血管が浮き上がり、色白の指から鋭く爪が伸びた。

その腕を四つん這いのまま構えを【 Z 】を描くよう水中まで振り抜く。


「よし、これで良いかって今度は壁かよ!」


…くっそーッ!!あのジジイ、何が平民街まで繋がってるだよッ!!あ~時間が惜しい、どうする…一旦引き返すか?、だが他に道なんか…


男はうつ向いて考える。すると、目の前に見える壁の下に道は続いていた。


…あぁなるほど、この汚物だらけの水を潜れと…。これで俺は文字道理()()()()ってか ハハ!!やるしかねーな…


男は、先が見えない細く狭い汚水の中を潜る。水を掻くだけで当たる左右の横壁を利用し、押すように水中を進んで行くと、ほのかに水面から光が見えてきた。


…プハァ!!やっと出れたか!!こんな水の中に穴あれば流石に気が付かないな…道理でガバガバな訳だ…

それにしても俺臭せーッ!!おや、ここ上がれそうだな…これで貴族に出会したら泥棒と間違えられる自信あるね…


そう呟きながら裏路地に出たアルカードは汚い服でも目立たない道を探し、平民 貧民に紛れ、通りがかる荷馬車に潜り込み王都を後にした。

街道途中、フォレン方向とズレた為に渋々と荷馬車を降りる男だが、その先を暫く走ると木陰で休む馬が見えてきた。


「こんな所に馬か!!お前も運がねーな!!!俺がウンみたいなもんだがな ハッハ!!」


男は声をだし笑う。すると、視線の下に食料が置いてあり、それを有りがたく回収、馬にエサと言う交友の証を与え巧く乗馬した。



…メイビス…どうせお前だろ、助かるぜ…



アルカードはフォレンの町へ向かう。度々、振り払おうとする馬と共に。 




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃、宮殿内で神託が降った事が告げられ騒ぎになり、その後始末に追われる者達の会議が開かれていた。


「だから早い内に討ち倒せと申しただろ!!そうすればこんな事には…」

「それは結果論に過ぎません!彼等はその後、危害を加えて無いじゃないですか!」

「じゃが此れからどうじゃろうな」

「魔王とあれば反逆の意志も沸き、コチラに攻めてくるやもしれんな」

「で、ですが!!神託は二重です!私達で導くべきです!!」

「神託は予知でしかありません今からなら正しく導けます!!」

「どこからその根拠が出てくるのか気になるねぇ、ボクからしたらそんな爆弾抱えたく無いよねぇ。それとも君、責任とれるのかぃ?」

「っぐ…」

「大体そんなバケモノを国で調教してるのが民にでもバレてみろ、大混乱に暴動、そのうち人が居なくなるよ?労働は妾の仕事ではないのだよ」

「やはり仕止めるべきですね、今なら子供です」

「問題は子供ではない、その親が問題だ、だよなぁ? 副 団 長 殿 ぉ ?」

「っち!!!」

「英雄の子供の子供が魔王の神託を受けるとは皮肉なもんだな」

「折角、魔族とは良い交流関係なってきたのにのう。市場がまた荒れてしまうな」

「貴様のそれは、ただの奴隷商業だろうがッ!!」

「良い関係だと思うがなッ!!」

「反吐が出るぜ…」

「それでどうする、アルカードを背くにはどのみち勇者が必要だぞ」

「今王都に呼べるのは4人です」

「4人か、奴以外にも居ったらちと厳しいかの。それに大魔法も撃てんのでは?」

「それなら神託を受けた6名の候補を学園から帰還させ陣に使うのはどうでしょう」

「うむ、良いかも知れん、が巻き添えで死なれても困るぞ…それに大賢者メイビス様も王都におられたはずじゃ…」

「メイビス様は先ほど王都をたったと馬車屋の主から情報が入っています…」

「なんだと!?あの気まぐれ女狐が…」

「妙にタイミングが悪いな…まぁ居たとて期待など初めからしてないがな」

「それより編成はどうするのじゃ、アルカードを狙うと言うことは奴を慕う魔族達の介入も十分考えられるぞ」

「でしたら、魔族の相手は副団長に任せ、しっかりと尻でも脱ぐって貰うのはいかがでしょうか」

「ふむ、成る程…」

「貴様が野放しにしなければ、こうは成らなかっただろ。貴様の団員で始末を付けて来い」

「ひっどい話しね~…ホント屑ばっか」ボソ

「了解…しました…っく…」

「それで私は~?」

「バカか、城を守れドラゴンロードよ、勇者も引き払うんだ他に誰が護るんだ」

「ッハ」

「騎士団の出発は三日後だ、伝令をだして勇者と学生も召集させろ」


神託を受けたその日、魔王神託者とその仲間達を討つ為の討伐編成が組まれる事となった。




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