笑う影の秘密
様々な出来事は、時をかえ時代を変えてループする。
分かりやすいもので言うなら、流行。
今年流行の色。
今年流行の模様。
今年流行の形。
学校にも同じように、同じような出来事が起こる。
僕の名前は、渡里 薫。
小学5年生。
学校でのループと言うと、
1週間の授業。
1年の行事。
これらは、大人が子供に強制するループ。
そして子供が起こすループと言えば、
休み時間の使い方だ。
現在、僕の通う学校ではオカルトブームだ。
オカルトブームと言っても僕は余り興味が無い。
何しろ僕の母親は幽霊だし。
僕の家の裏山には妖怪が大勢住んでいて、毎日のように僕のうちに遊びに来るからだ。
今日、僕の守護霊的な存在である母親は
『友達とお茶をするから、今日は1日は鳥羽様が守護をするわ!』
と、1000年を超える妖狐で、裏山の主を守護につけてくれた。
ちょっと待てと言いたいが、
そんな僕を無視して、パパさんは僕を小脇に抱えて飛び上がったかと思うと学校に到着したと言う。
有無を言わせぬ強引さだ。
『今日はよろしく頼むな!』
『頼むぞ!』
『頼みます!』
パパさんと共にパパさんの双子の子供、狐太郎と葉菜狐もついてきていた。
「パパさん、僕は不安しか感じません」
パパさんは本来の姿だと、大きすぎるため人間の姿を取っている。
それでもスラリとした2m近い長身で、黒い皮ジャケットと皮パンツに黒ブーツと言う姿は威圧的である。
まぁ、不似合な狐耳はご愛敬ってところだろう。
双子のチビ狐は、小型犬ほどの大きさで目をキラキラしながら駆け回っていた。
チビ狐の二人は、いつの間にかどこかに去って行ってしまった。
悪戯好きの二人の事だ、守護霊よろしくついてきたものの、悪霊の如く暴れるのではないかと不安である。
教室の扉を開けると、アチコチから挨拶の声が飛び交った。
中には「オカマ今日も美人だな!」と言う褒めているのか貶しているのか分からない挨拶とクスクス笑いも混ざっている。
「嫉妬かっこわる~い」
「そんな事言っていると、心までブスになるぞ?」
無視する僕とは違い、女子達が応戦する。
背後でパパさんが口笛を鳴らす
『お前、モテモテだな』
文句を言いたいが、ここで独り言のウルサイ奴にはなりたくはないので我慢我慢。
「おはよう!! 渡里君!」
隣の席は、クラスのお調子者の関谷君だ。
まぁ、悪い奴ではない。
ちょっと馴れ馴れしいだけだ。
「聞いた?!
さっき隣の教室の奴から聞いたんだけど。
昨日さ、旧館で忘れ物をして取に行ったらさ、
資料室の扉の影から、誰かがのぞいているって大騒ぎがあったんだってさ」
「そう、で?」
僕は答える。
「ぇ……ぁ~~~、興味無かったか?」
関谷君が困った顔をした。
『薫、もう少しなんかあるだろう』
と背後から、パパさんのため息。
むぅ~~~と僕は小さく、すねる。
だって、くだらない!!と言いたいが、山の主であるパパさんは山の住人を取り仕切る立場で、人と人との関係にはウルサイのだ。
ウルサイが嫌いではない。
父親が仕事でいない僕としては、第二の父のような感じな訳で…嫌われたくないと焦った。
そして、少し間が空いたが…、
僕は小声で謝罪をする。
「ごめん……」
「いや、いいんだ。
嫌がる奴もいるもんな
僕こそゴメンよ」
と慌てて謝る関谷君。
ただのお調子者ではなかったんだと、驚いき僕は自然と顔が笑みとなった。
「えっ……」
それを見た関谷が赤面をする。
「どうしたの?」
「な・何もないよ」
真っ赤な顔がダーーーと汗をかき、ブンブンと首を振る。
僕の背後でパパさんが笑いを殺しきれていない音が聞こえる。
「さっきの話だけどさ、
例えば「覗いているようだ」だったら、本当に人がのぞいている可能性もあるし、
そっちの方が怖いから、確認はした方がいいような気がするんだ。
あとは……」
僕は天井を見上げる。
白く不規則な穴の開いたボードの中から探し物をする。
「あそこかな?」
「あそこ?」
う~ん、分かりにくいかな?と、目的の場所の近くまで行く。
「なんだぁ~、対戦混ぜて欲しいのか?」
「でも、薫君貧乏でゲームも買ってもらえないでしょう」
「どうしても遊んでほしいなら、
お願いしますって言えば、貸してやらなくもないんだぜ!」
ニヤニヤ笑いで、近寄っていった薫の嫌味を言う男子の一部。
「いや、悪いけど必要ないから」
と言えば、
そうかよ折角遊んでやるって言っているのにとブーイング。
『モテるな』
と再度大爆笑するパパさん。
プンと小さく膨れる薫。
「ここ?」
と関谷が天井を見上げる。
釣られるように、ゲームをしている男子生徒。
薫をチラチラと目で追っていた女子生徒も見上げる。
「ほら、あそこの影だけどさ。
ニヤリとした目と口に見えない?」
カーテンで遮られた影と光。
木の葉が風にゆらゆらと揺れる際に出来る影と光。
そのバランスが見ようによっては、人の顔に見えなくもない。
「うわぁ~~~!!」
「顔だぁ!」
「人の顔だぁ~~~」
「えぇええ~~!
クラス中が騒ぎ出した。
パンパンと両手を思いきり叩いて大きな音を出し、声を高く大きく張って
「静粛に!!」
と薫が言えば、教室は一斉に鎮まり変える。
「関谷君、カーテン開いて~」
「う、うん」
言われて、関谷が窓際に駆け寄ろうとすると窓際にいる生徒がカーテンを開いた。
「ほら、消えた」
ニッコリ笑みを作る。
誰からともなく、あはははっはと言う声が沸き上がる。
騒いだりビックリした自分が恰好悪くて誤魔化すかのように。
「こんな感じに、怖い・何かいる、そんな気持ちが無いものを生み出す事があるんだよ。
だから、さっき隣のクラスの話を聞いた時どうなのかなぁ?って思ったんだ」
と薫は言う。
「なるほどね」
と関谷は大きく納得した。
その時
「きゃぁあああああああああ!!」
どこかのクラスから悲鳴が沸き起こった。
その声にビックリして悲鳴を出すものもでる。
「うわぁあああ」
「な・何なに?」
恐怖の連鎖。
教室の壁を突き抜けて、走ってくる2匹のチビ狐たち。
大きな声にビックリしたのか親狐の腕に飛び込んだ。
学校の怪談
その噂は、まだまだ消えそうに無かった。