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何処かの誰かの何か  作者: 霖霧 露
6/23

私への贈り物

※この作品を読むときは、フィクションであることをわきまえ、未来を明るくし、現実から切り離して読んでね☆

 贈り物って、気持ちを伝えるための行動の一つで、心に残るものだと私は思う。物を貰って嬉しいっていうより、相手がそういうことをしてくれた事が私はとっても嬉しく思えるし、相手が私の事を良く思っていてくれたんだなーって分かってすっごく嬉しい。

 で、なんでこんな話をしてるかというと。

 ゆ、百合の花束……!?

 私が良く知っている幼馴染を贈り主として、私の手元に百合の花束が届けられた。百合の花束だけで手紙などが添えられていなくて一体どういう意図で送られてきて、どういう意味を込めて百合の花をチョイスしたのか一切分からない。

 え、でも百合ってあれだよね。あの百合だよね。百合ってなんかああいう意味だよね。

 あれっていうのはあれのことで。女性同性愛の隠喩として使われるそれのことだ。私にとって少なくとも百合の花はそれ位しか意味がない。

 これ、あの子が贈ってきたってことは……っ。あの子が百合の花を贈ってきたってことはそのそう言う意味!?

 頬が赤く染まり、体は気のせいか熱い。下品に言うと興奮している。私は正直あの幼馴染が好きなんだ。愛していると言っていい。

 でもどうして?あの子には悟らせないようにしてたつもりだったんだけど……?

 幼馴染には私の気持ちを隠して接していた。私のこの気持ちが普通ではないことを知っている。もし知られたら嫌われるのではないかと思い続けてきた。

 でも、あの子ってあんまり喋んないけど言葉に出さないだけですっごい考えてるし。もしかして感づかれてたの?気付いていたうえでこれを贈ってきたの?それって勝利確定じゃない!?

 妄想が私の都合のいい方へと転がっていく。夢を見たっていいじゃない。人間はそういう生き物だし。

 落ち着きなさい私……。興奮を抑えて、と、とりあえずそれとなく聞いてみましょう。メールで。

 今電話で話すとボロが出てしまうという無駄な自信があった。文章を推敲出来るメールならどうにかなるはず。

 と、とりあえず書こう。

 


FROM:X(幼馴染の個人情報を守るため、仮にXと置く)

TO:Y(この作品のタイトルを守るため、仮にYと置く)

件名:あなたが好きです

本文:



 ……。最初っから駄目な気がする……。

 件名の時点で抑えられてない。どう見ても告白してる。

 落ち着け、素数とあの子との思い出の数々を数えるのよ。

 脳内が大分おかしくなってきてるのは気にしないで。



FROM:X(私のプライバシーを守るために、仮にXと置く)

TO:Y(あの子の個人情報を守るために、仮にYと置く)

件名:元気?

本文: よう、元気してる?なんか突然花なんて贈ってくるから驚いたよ。しかも、百合の花。ねぇ、あんたってそっちの気だったけか?も、もしそっちの気でそういう意図で贈ってきたんだったら。そのぉ、わ、私には未来を誓い合った人がいるというか、た、大切な人が今となりにいるの!あんたの気持ちはとっても嬉しいけど、受け取れないの……。ごめん、ごめんね……。

 あ、それと明日って空いてる?久々に遊びに行こうと思うんだけど。



 これならイける!ついでに明日遊びに行ける!

 前半(9割くらい)を私が男の子好きアッピルをする。誤解されないように言っておくと私は普通に男女の恋愛は好きだ。ただ、あの子は私にとってそういう自身の健全な価値観を破綻させるほど狂おしく愛らしいんだ。どうしてこうなるまでに至ったかは私も分からない。

 あ、メール返ってきた。

 光の速さ(あくまで比喩表現)でケータイを開く。



FROM:Y(あの子の個人情報を守るため(ry)

TO:X(あの子の個人情報を守るため(ry)

件名:Re・元気?

 嘘乙。あなたが恋人いない歴=年齢だっていうことは確定的に明らか。あなたには当分恋人が出来ない呪いをかけてるから。

 あと、今風邪で寝込んでる。明日治る保証はないから来ないで。



 ……ッ!ッッッ!!

 狂おしいほど愛らしい。この素っ気ない文章がいい。最高にカワイイ。後この変なボケがいい。最高に愛らしい。

「って、そんな悶えてる場合じゃない!!」

 思わず声を上げてしまうほどの衝撃が走る。あの子が風邪を引いて寝込んでる。これは一大事だ。

 す、すぐに返事書かなきゃ!



FROM:X(私のプライバシ(ry)

TO:Y(あの子の個人情報(ry)

件名:Re・Re・元気?

本文:今すぐ行く。看病する。汗なめたい。



 ……。落ち着け、クールになろう私。

 汗なめたいはない。さすがにこれは私でもヤヴァイと分かる。でもあの子の汗っておいしそうだなって頭に過ってしまったのだから仕方ない。仕方ないんだ。



FROM:X(私のプライバシ(ry)

TO:Y(あの子の個人情報(ry)

件名:Re・Re・元気?

本文:明日乗り込んでその風邪で弱った顔、嘲笑いに行くから覚悟しろ。



 OK、これで大丈夫なはず。

 あの子のボケを絡め、少し怒ってる風に書いておけば私が心配してお見舞いに行く感じではないという事になるだろう。てか、なれ。

 ああ、あの子が今も風邪で苦しんでるなんて。風邪で弱った顔も愛くr違う、弱ったあの子を少しでも励まして上げなきゃ!

 明日に臨む意思を高め、幼馴染を徹底看病することを夢見る。

 さっさと寝て明日に備えましょ!

 寝る準備を整え、布団に潜り込む。だが。

 ああ、明日あの子に会える……。あの子の弱々しくて可愛らしい顔が拝める……。

 悶々してなかなか寝付けそうにない。

 ……。分かってる、分かってるわ。私がおかしいって分かってるけど……。

 ひとつ、誰かに尋ねてみたい。



 私のこれって、変……?

※追記

 誤字修正をしました。(2015/12/15 9:44)

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