十字路での甘い出会い
衝撃の「女子高生の日常」を1分で読める短編でお送りいたします。
女子高ならではの「体育の時間」やみんな得意!?な調理実習などの学園生活を裕貴子、怜央奈、響、真の4人の視点を通して描きます♪
スキマ時間にでも、話のネタ集めにでも、読んでいただけるととっても嬉しいです。あ、コメントいただけるともっと嬉しいです。待ってます。
<注意>
・単なるネタです。深い意味は考えないでください笑
・女子高に「かわいい」とか「清楚」とか「おしとやか」とかいうイメージを持っているそこのあなた‼︎
女子高に対する見方が180度変わります。
・作者が書いている長編「醜心制度」に行き詰まった時に書いてます。なので不定期更新です。悪しからず。
「やっベー‼︎遅刻遅刻‼︎」
1分で着替えと朝食とトイレを同時並行で済ませると、翔太は急いで家を飛び出した。
朝っぱらから全力疾走。慣れてはいるものの、結構辛い。
家から学校までは、走れば10分くらい。
まだなんとか間に合いそうだ。
だが。
この先には関門があるのだ。
その名も「急な坂道」。寝坊した学生の最大の敵である。
おまけに、その先には車がひっきりなしに往来する十字路がある。
すると、なんと十字路でかわいい女の子とぶつかってしまった。
目が合う。
そして…
そこから恋が始まったのだ。
…なんていう甘い期待を胸に、翔太は一気に坂を駆け上った。
息を切らしながら十字路を右に曲がる。
ここを曲がれば、あと少しだ。
頑張れ、俺。
「⁉︎」
何か柔らかいものにぶつかった、と思った。
「いたっ」
女の子の声がした。
…翔太が驚いて目線を下げると、そこには一人の女の子が尻餅をついている。
どうやら翔太は、十字路で女の子とぶつかり、転ばせてしまったようだ。
「…ごめん、大丈夫?」
翔太の言葉に、こくん、と女の子は頷いた。
幸い怪我はないようだ。
心なしか頬が赤く染まっている。
「…なんか、ごめんなさい…」
翔太は女の子を見つめた。
…あ。この制服、俺の家の近くにある女子高のじゃん。
おまけにこの子、かなりかわいいし。
やべ、スカートちょっとめくれてる。うわー、理性飛ぶわ、まじで。
てかやばいってこれ‼︎生脚だよ生脚‼︎俺の目の前に‼︎
本日の特ダネだ。
…いや、待てよ。
遅刻しそうになって走ってたら十字路でかわいい女の子とぶつかって…
って‼︎これ、恋が始まるパターンだよな‼︎
俺が長年望んできたやつじゃん。
このチャンスを逃すわけにはいかないな。
よし、頑張れ、俺。
クールに振る舞うんだ‼︎
以上のことを一瞬で考えた翔太は、しゃがんで女の子に話しかけた。
「あの…さ、その制服って、森高だよね?」
森高とは森岡女子高等学校の略である。
「うん。そうだよ…?」
少しどぎまぎしながら女の子は答える。
よし、次ステージに進もう。
「名前、なんていうの?」
「森田 裕貴子です」
うわ、名前もかわいい。「子」って付く名前最近あまり多くないけど、俺は大好きなんだよな。
「俺は田渕翔太。よろしく」
「よろしくね」
裕貴子ちゃんは花のような笑顔を浮かべた。
よし、ステージクリア。
本当は次の「LINEやってる?」ステージに進みたかったが、もう時間がない。
この時間にここに来れば裕貴子ちゃんに出会えることはわかったので、今日はこのくらいにしておこうと翔太は思った。
なにより今は、裕貴子ちゃんが無事に立って歩けるかが最優先だ。
「大丈夫?手を貸そうか?」
大丈夫、と裕貴子ちゃんは答え、自力で立った。
やっぱ綺麗な脚だな。朝からマジで刺激強すぎだろ。
ていうかこんなかわいい子と会えるなんて、俺も運がいいよ。
…あれ、さっきから俺の下半身が…
頭の中でよろしくない妄想を繰り広げている翔太に、裕貴子ちゃんは「迷惑かけてすみませんでした‼︎」と頭を下げた。
一方、先ほどからずっと裕貴子ちゃんの脚を凝視していた翔太は、「あること」に気が付いた。
___裕貴子ちゃんの靴下に何か白いものがついてる。
「いえいえ、こちらこそごめんなさい」
とお辞儀を返したとき、翔太はそれが何なのか確認した。
するとその白いものには、
「SEIYU 割引価格 350円」
と書かれていた。
値札のシールだった。
翔太は頭の中で何かが音を立てて崩れていくのを感じた。
下半身に集結していた血液が一挙に退散した。
そんな翔太の異変にも気づかず、裕貴子ちゃんは「では‼︎」というとドラえもんのオープニングを歌いながら陽気に去っていった。
しかし翔太の眼には、あの「SEIYU 割引価格 350円」の文字が焼きついて離れなかった。
ある冬の日のこと。
1人の男子高校生の甘い期待は無残にも崩れ去ったのだった。
読んでいただきありがとうございます‼︎
コメント書いていただけると嬉しいです★