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黒い紳士と幼女(+α)たち  作者: 名無アキラ
落神砂漠
68/72

同類

同類


バァン!という大きな打撃音の後、ゆっくりと大きな扉が倒れる。

そしてそこから現れる二つの人影。


エ「ちょっとぉ、わざわざ壊すことなかったんじゃないのぉ?」


オ「どの口が言うんだ、それ。」


倒れた扉は両開きであり、両方同時に倒すには二人必要なのだ。つまりはそういうことである。


――――…


「来たか、死を恐れぬ亡者たち。」


部屋の奥から聞こえてくる声。体の奥に響くような重低音は聞くものによってはある種の畏怖を抱かせるだろう。

だが、オニキスたちはその程度のことでたじろぐような弱い精神は持ち合わせていない。


オ「亡者ってのはあながち間違いじゃないが…」


エ「大人しく死んであげる気もぉ、無いのよねぇ。」


全く怖れる気配もなく言いきるオニキスとエメラルド。その視線の先には一人の男。


「ふ…言いおる。死はそこまで簡単に乗り越えられるものではない。」


口角を軽く上げて、二人を見据える男。その視線にはいくらかの哀れみが含まれていた。

だが、オニキスはその言葉を聞いてニヤリと笑った。


オ「何も俺たちも『簡単に』乗り越えられるとは思っている訳じゃない。何とかして乗り越えようとしているだけだ。

そして、お前は『乗り越えられない』とは言わなかった。」


エ「まぁ、アタシはオニキスに頑張ってもらうだけなんだけどねぇ。

とりあえずぅ、生き返る方法だけ教えてくれればいいからぁ。」


どこまでも不適に言うオニキス。一歩後ろに引いたように見せて全く引かないエメラルド。正義の味方とはかけ離れて見えるが、生を求めるこの二人こそが人間のあるべき姿だとも言えるだろう。


「『生き返る方法』、か。死ねば全ては終わりだ、とは教わらなかったか?」


オ「ん?そんなこと教わるまでも無いだろう。」


何を言っている?とでも言いたげな表情。そして一転、犬歯を剥き出しにして笑いかける。


オ「生きとし生けるものは皆、生を望む。死んでも諦められないから輪廻転生なんていう考えが浮かぶんだろう?俺たちも同じだ。心残りがある。まだ向こうでやるべきこともある。残してきた人もいる。だから帰る。

ただ、馬鹿みたいに途方もない時間を耐え続けるつもりもない。だからお前に聞いている。生き返る方法を教えろ!」


瞬間、オニキスの全身から光が発せられた。赤、黄、白、青、そして黒。黒い光などという謎の現象が起きるのか疑問に思うが、そうとしか言い様の無いモノなのだ。


「…それほどまでに死を拒むか。いずれは辿り着かなければならないというのに。」


更に、オニキスのはめている腕輪が一際明るく光始める。

オニキスを覆う光は止まるところを知らず、さながら後光のようになっている。


オ「そうだな、いずれは俺も死ぬ。だけどそれは今じゃない。やりたいこと、やるべきことをやりきるまでは死んでも死んでも死なないさ。」


死してなお光輝く意思の力。そして、彼を祝福する数多の光。それは彼の生還を望む者たちの願いの力である。


そんなオニキスをしばらくジッと見ていた閻魔であったが、目をつぶって顔を背けてポツリと呟く。


「ただ死を恐れ生にしがみつくのではなく、死をも恐れず生をかちとる、か。…朕にはそれは眩しすぎる。」


それは羨望の呟き。かつての自分には成し得ることのできなかったことを軽々とやってのけようとする勇士への畏怖。

そんな閻魔にオニキスが問う。


オ「お前にもこの気持ちはわかるだろう。中華の頂点を踏み、皇帝となったお前なら。不死を願って成し得なかったお前なら!そうだろう、秦皇帝、(えい)!それとも政と呼ばれる方がいいか?」


その言葉に顔を背けていた閻魔が振り返る。その表情は驚愕。


「な、なぜお前がそれを…!?」


それとは対照的にオニキスの顔を浮かぶのは苦笑。先ほどまでの鬼気迫る雰囲気を薄くして種を明かす。


オ「死んで脳が弱くなったんじゃないか?」


「何?」


オ「カマを掛けたんだ。『朕』なんて一人称を使う奴でパッと浮かぶのは一人ぐらいしかいなかったからな。まあ、その反応を見るに正解らしいが。」


「くっ…朕も耄碌したか。」


悔しげに歯噛みする閻魔。

秦皇帝(えい)いみなは政。分かりやすく言えば始皇帝である。

中国を統一し、中華皇帝の始まりとなった男である。歳を重ねると不老不死を願うようになり、様々な方面を調査させ、少しでも可能性のあることなら全て実行した。そして最後はそれが祟って体を跳ねさせる壊し、死んだと言われている。


と、閻魔か座る巨大な椅子の陰から小さな人影が飛び出してオニキスへ向かっていく。


「おぢさんをいぢめるなー!」


見れば小さな鬼の女の子。鬼幼女である。もう一度言おう。()()である。


「ま、待て!」


鬼幼女は手にお子様サイズの金棒を持っている。一見無害そうに聞こえるが、よく考えてほしい。お子様サイズとは言え金棒である。30cmほどの金属の塊である。普通の人間なら辺りどころが悪ければ死ねるだろう。


閻魔は鬼幼女がそのままいけばオニキスに何らかの攻撃をし、報復行為を受けるだろうと予想した。故に止めた。

だが鬼幼女の動きは予想以上に素早く、あっという間に閻魔の手の届かないところに行ってしまった。


「かくごぉーっ!」


「やめろ!勇士よ、避けてくれ!」


が、


オ「女の子があんまり危ないものを振り回すんじゃないよ?」


オニキスはロリコンである。そして被虐趣味ではない…だろう。幼女からの攻撃は避けるし、幼女に攻撃など絶対にしない。

鬼幼女のお子様サイズ金棒を受け止めると、ひょいと取り上げた。

と、金棒を取り上げられた鬼幼女が目を潤ませながらオニキスに言う。


「かえちてっ!あたちのかなぼう、かえちてよっ!」


身長差があるので絶対に届かないのだが、ぴょんぴょんととびはねてオニキスの手から金棒を取り返そうとする。

普通ならば自分に危害が及ぶことを考えてこんな凶器を返すことは無いだろう。しかし、オニキスは普通ではない。


オ「はい。」


アッサリと鬼幼女に金棒を返してしまった。


「とぉーっ!」


当然、鬼幼女は殴りかかる。


「止めないか、鬼姫。」


だが、こんどは閻魔が止めた。鬼姫とよんだ鬼幼女の胴体を両手で掴んで抱き上げる。嫌がって暴れる鬼姫のお子様サイズ金棒が当たっているのに意に介さない辺り、だいぶ頑丈な体をしているのだろう。


エ「なんていうかぁ…オニキスと同類の臭いがするわぁ。」


その通りである。永遠の命を求めた先にあったのは幼い命への愛であった。

その様子を見ていたオニキスがふと閻魔に聞く。


オ「始湖のそばの屋敷にあったメモはやっぱりお前か?」


その問いを聞いた閻魔が顔を綻ばせる。


「ん?あれを見つけたか!それなら生き返りたいのも無理はない!」


ロリコンロリコンを呼び、ロリコンであれば話は有利に進む。


「さぁ、生き返る道を教えよう!」


オ「わかってくれたか!」


ガッチリと握手をする閻魔とオニキス。その様子を見ていたエメラルドが一言。


エ「…釈然としないわぁ。」



エンディングまであと1!

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