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黒い紳士と幼女(+α)たち  作者: 名無アキラ
落神砂漠
59/72

死闘

タイトル変更します。

死闘


打って変わって風も砂ぼこりもほとんど舞わなくなった砂漠。オニキスは一人、太陽の欠片に向かって駆けていた。


砂はオニキスの足を奪い、もはや暑いを通り越して熱くなった空気は容赦なくオニキスの体力を削っていく。


オ「こんな環境でも壊れないってことは…俺、あの車より高性能ってことだよな。」


しかし全く問題ない。スーツの温度調節機能は、完璧とは言えないまでもオニキスにとって耐えられる程度の暑さに温度を緩和している。そしてオニキスの脚力は鈍ってもなお尋常ならざる力強さで地を蹴りつけるのであった。


オ「俺の仕事は様子を見てくるだけだからな。さっさと終わらせて暑くない場所に戻ろう。」


季節は冬。普通ならば吐いた息は白くなり、空から小雪舞う季節なのである。


――――…


進めど進めど砂ばかり。太陽の欠片は見えているのに近づかない。


オ「卯月さんにタブレット借りてくれば…いや、どうせ暑さで動かないか。」


オニキスの体力も無尽蔵ではない。延々と続く同じ風景に精神的疲労も溜まっていく。

そのせいか、足下から近づく脅威に気づくことができなかった。


『ジャッ!』


オ「っ!?ちっ!」


地中から飛び出す巨大な影。全力で転がって避けるオニキスの足をかすって空中へ飛び出し、そのまま目の前に着地する。


オ「なんだ…痛っ!?おいおい!!」


一気に意識を切り替え、構えるオニキス。と、脚に激痛が走った。


オ「かすっただけで破れるようなモンじゃないだろ!」


かすられた部分のスーツが一文字に切り裂かれていた。それはつまり、オニキスに匹敵するパワーを持っていることを示している。


『ジャジャッ!!』


それをなしたのはオニキスの対面にいる一匹の巨大な蛇。おまけに首が二本ついている。

形としては地球にもいるコブラによく似ていた。もっとも大きさは優にオニキスの三倍はあるが。


オ「デカいし、早いし、おまけに見るからに毒持ちだよな…」


現に切り裂かれたオニキスの傷口は紫色に変色していた。改造された再生力で毒の進行を抑えているが、傷口の再生はできていない。出血毒ではないらしく、血はさほどでていないが激しい痛みをオニキスにもたらしていた。


『ジャジャッ!!』


オ「くっ…!でも、避けられなくはないな。」


突然、蛇がオニキスに向かって半ばジャンプするように突進した。

蛇に手足は無いが、そのかわりに全身が筋肉の塊になっている。故に、そのパワーは生半可なものでは無くなっている。現に着地地点にあった大岩が蛇の突進をうけてバラバラに砕け散っている。


オ「だけど、余裕も無い。ならっ!」


ならば避けずに攻めるまで。突進の後の隙をついて蛇の頭を『全力』で殴り付ける。


『ジャッ!?』


頭蓋骨を大きく陥没させて地面に倒れる蛇。だが、オニキスは顔をしかめる。


オ「爆散させる勢いだったんだが…そこらの岩よりは遥かに堅い、ということか?」


重症ではあるが死にはしない。元々ハ虫類が怪我に鈍いことも相まって蛇はよろめきながらも起き上がった。


『ジャ、ジャァァアアッ!!』


体を大きく広げて威嚇する蛇。オニキスは油断なく構えながら、手の中に『ベルーガ』を呼び出す。


オ「まさかコレを使う日が来るとは思っていなかったが!」


赤熱する合金製の斧を蛇の二つの頭に叩きつける。


『ジャ…ジャァァアア…』


流石の蛇も頭を割られればおしまい。ズゥゥン…という重い響きをたてながら地面に倒れこみ、起き上がらない。


オ「…ヤバイな、ここ。」


オニキスは手の中にあるベルーガを見ながら驚愕の表情を浮かべていた。

以前金属人形を切り裂いたときにさえ感じなかった手応えを感じていたのだ。皮膚、筋肉、骨、全てがオニキスの攻撃に耐えうるだけの耐久力を持っていたのだ。


オ「外とのパワーバランスが違いすぎるだろう…。龍はこんなこと一言も言ってなかったぞ?」


オニキスでさえこの有り様なのだ。若かりし頃の龍がこんな所に立ち入って無事でいられるとは到底思えない。


オ「あいつがこない間に変わった、か。厄介だな…」


と、オニキスの背後に忍び寄る影。


『……!』


オ「おっと。鳴かない相手も中々面倒だな。」


オニキスのいた場所に突き刺さる毒針。音も無く忍び寄ってきたのは巨大なさそりだった。


オ「蠍ってのは非好戦的でそこまで動きの速くない生き物だったはずだぞ!っつ!?」


目にも止まらぬ速さで振り回される毒針付きの尻尾。それを必死に避けるオニキスだったが、脚の傷のせいで思うように動けずに、毒におかされて再生しない傷が増えていく。


オ「っ…ぅおっ!?」


突如突き出されるハサミ。虚をつかれたオニキスはそのハサミに捕まってしまった。

そして毒針が降り下ろされる。


オ「このっ!」


だが、それに突き通されるオニキスではない。その尻尾を紙一重で避け、逆にベルーガを叩きつける。


『……!?』


オニキスを投げ出して暴れだす大蠍。尻尾は半ば過ぎまで切り込みを入れられ、皮一枚で繋がっているような状態である。


オ「切り落とせない、か。」


卯月謹製のベルーガでさえ切り落とせない堅さの体。脅威的である。

だか、放心している暇は無い。どちらにせよかなり負傷を与えることは可能。ならば何度も叩きつけるのみ。


『……!?…!?』


暴れまわる大蠍を押さえつけ、ハサミの根本に何度もベルーガを降り下ろす。大蠍も負けじと暴れまわるのだが、オニキスは死角に入りその攻撃を避けきる。


『……!!!』


そして、もぎ取れる巨大なハサミ。一つだけでもオニキスの身長ほどの大きさがある。


オ「堅い相手には鈍器の方が効果的だからな。借りるぞ?」


そして、大蠍の頭をかち割ってとどめを刺す。節足類ゆえにしばらくは暴れまわるのだが、オニキスは距離をとってそれを避ける。


オ「この隙に逃げ…るのは無理そうだな。」


四方八方から迫る大小いくつもの砂煙。こんな所に援軍が来るわけもなく、砂煙の中には魔物のシルエットが見えていた。


オ「ここまで来ればもう生きるか死ぬかだ!かかってこい!」


大ハサミを構える。オニキス史上最高に危険な戦いが幕を開けた。


――――…


卯「…どうなっている!?オニキスからの情報が途絶えた!なーちゃん!」


菜「私の方もダメだ!クソッ!オニキスに何が起こった!?」


卯月と菜真理は焦っていた。暑さにも耐えてオニキスからの情報を送り続けていた各種装置が突然沈黙してしまったのだ。

ただなにも分からなくなっただけなら暑さの限界を超えたとも考えられるのだが、そうではない。

轟音がしてオニキスの焦ったような声が聞こえたと思うと、全ての機械が動かなくなってしまったのだ。


戻ろうにも車がオニキスの所までたどり着けないだろう。


卯「無事でいろよ、オニキス…!」


ただ無事を祈って自らのすべきことをするしか、彼女たちにできることはないのだ。


――――…


かつて無い脅威に立ち向かうオニキス。その無事を願う卯月たち。オニキスは一体…!?


次回、『岩戸』。




ありがとうございました。

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