結論
遅くなりました。
結論
璃楽亭で更に一泊し、朝からマッタリと過ごす一行。と、オニキスが何か思案顔をしている。
オ「なあ、江さん。何か忘れてるような気がするんだが…」
江「ん~?そういえばそんな気もするような~…なんだっけ~?」
江に覚えがないか聞いてみるが、江も心当たりがあるような無いようなといった様子。
二人はしばらく考えていたが…
江「まあ~、思い出せないなら大したことないんじゃない~?」
オ「…そうだな。気にしなくていいか。」
気にしないことにしたようだ。
――――…
朝の穏やかな時間。朝食をとりつつ、オニキスは幼女'sに尋ねる。
オ「昨日は動物園に行ったけど…他に行きたいところはあるかな?」
昨日の様子では他にも行きたいところはある筈、そう読んだオニキスの問いだったがどうやら正解だったようだ。
セン、美和にライとフーを加えた四人は、なんとも楽しげに相談を始める。
それを微笑ましくながめながら待つことしばらく。どうやら結論が出たようでオニキスの周囲に集まる。
セ「買い物に行きたいぞー!」
美「ん、おかいもの。」
ラ「どこでもいいけどな!」
フ「お店屋さん、楽しそうです!」
本日の行程はお買い物に決定。オニキスはより幼女四人組に楽しんでもらうべく、女将から情報を仕入れに行く。
江「ウチも行きたいな~。」
美「ん、おばちゃんもいく。」
「コウさんが前に来てからだいぶ経ってるからね。商店街もだいぶ様子が変わってるよ。」
江の参加表明を聞き案内をまかせようとしていたが、女将のそんな異論により大人しく地図等を買うことにしたのであった。
――――…
璃楽亭を出てしばらく。地図に導かれて賑やかな方向へ来たオニキスたち。
オ「えっと…『アンデットアーケード、死者の都随一の繁華街。』だって。」
紹介に偽りは無かったようで、かなりの賑わいを見せている。
この賑わいのタネを明かしてしまえば、女将が久し振りの外界の住人が来ることを先に店主たちに伝えたので、店々が全力で客引きをしているのである。
動物園同様、どの店もこの町の住人にとっては娯楽の域を出なくなってしまったのだ。
不死者は普通の人間に比べれば食事の量及び種類は圧倒的に少なくてすむ。故に食物も半分嗜好品のようなものになってしまう。
衣類、装飾品の類いもまた然り。この町の住人は殆ど変わらない。加わることも少なければ、減ることもほぼ無いと言っていいだろう。初めの内は普通の町と同じような住人同士の関わり合い方をするが、何年何十年何百年と経てば家族も同然になってしまう。夫婦や恋人でも無い限り、そんな人を相手にオシャレに着飾るだろうか?
時偶、突発的に開催されるファッションショーでも無い限り衣類や装飾品を買うことも無いのだ。
と、長々と語ってみたが、結局はセールスチャンスを逃すまいと商売人たちが頑張っている、ということだ。
そこここにいる客らしき人々は店主たちによって雇われたエキストラ、サクラである。
セ「お店が一杯だぞー!」
美「ん、すごい。」
店が見えてくるや否や、センと美和がその方向に駆けていく。
オ「迷子にならないようにねー!」
そう言いつつ、オニキスの目は完全に幼女二人を捕捉している。二人の身に危険が及ぶようなことがあれば、一瞬の間もあけずに駆けつける構えだ。
オ「二人は行かなくてもいいのか?」
ラ「大丈夫!」
フ「おにぃちゃんと一緒にいるです!」
なんとロリコン喜ばせの発言だろうか。積み重なる試練により鼻の毛細血管は強靭になったが、それでも萌えは止まらない。
オ「そうかー!じゃあ一緒に見て回ろうか!」
気分はプチデート。オニキスにとって死者の都は天国である。
――――…
セ「オニキスー!こっちこっち!」
美「ん、こっち。」
オ「どうしたの?」
先行幼女組が大きな身ぶりでオニキスを呼ぶ。オニキスがライとフーの手を引きながら近づくと、そこは宝石店の前だった。
セ「これ!」
美「ん、おにきす、やって。」
二人が示す先には
オ「『腕相撲、買ったらお会計半額』?」
「おう、兄ちゃん。試してみるか?」
店から出てきたのは筋骨隆々とした男性店主。
オ「いや…」
これは流石にオニキスに有利すぎる。だが、店主はそれを怯えととったらしい。ニヤリと笑ってオニキスを煽る。
「おいおい、女の子たちの前でそれはねぇんじゃねぇか?」
オ「…いいぞ、やってやる。」
オニキス、幼女にはいい格好をしたいのである。
腕相撲用と思われる台に腕を置いて構える店主に小指を立てて相対する。
オ「小指だけでもやりすぎなくらいだ。怪我をしないように気を付けろ。」
「おいおい、兄ちゃん。流石にそれは吹きすぎじゃねえの?指、折れちまうぜ?」
オ「なんだ?ビビってるのか?」
オニキスは事実を述べているまで。だが、店主はそれを侮辱ととったらしい。青筋を浮かべてオニキスの小指を掴む。
「後悔すんなよ?」
オ「問題ない。江さん、合図を頼めるか?」
江「いいよ~。よーい…どんっ!」
江が掛け声と共に手を上げる。
店主はオニキスの指を折る勢いで手に力を込めるが…
「なっ!?」
オ「ん?どうした?」
もちろん、微動だにしない。
オ「その程度の力があれば痛める程度ですむだろう。後悔するな、よっ!」
瞬間、店主の手が台に叩きつけられる。
「ぐっ…!?ったぁぁああっ!?」
オ「折れなくてよかったな。」
オニキスから見れば当然の結果。だが、周りからすればそうではない。
「おい、兄ちゃん!俺とも勝負しようぜ!」
ちらほらと集まっていた野次馬の中から力が強そうな男が出てくる。
オ「対価はキッチリ貰うぞ?」
アンデットアーケード始まって以来の財政危機の訪れである。
――――…
セ「やったな、オニキス!」
美「ん、すごい。」
ラ「やるじゃん!」
フ「かっこよかったです!」
一行の手には大量の買物袋。男女問わずに人間を遥かに越える力を持っている不死者たち。オニキスに挑戦する者は数知れず、最終的に買い物はほぼタダ同然の値段で済ますことができたのだ。
オ「ちょっと大人げなかったか?」
江「別にいいと思うよ~。皆楽しんでたみたいだしね~。」
少し決まり悪げにするオニキスだったが、幼女に喜んでもらえたので良しとした。
――――…
そこからも町を散策することしばらく。いい時間になったので璃楽亭に戻ってきたのだが…
?「ここに泊まってるって言ってたんだけど!」
「だから、今は出掛けてるんだってば。」
聞き覚えのある声。
一瞬の沈黙の後、オニキスと江が顔を見合わせる。
オ「…完全に忘れてたな。」
江「悪いことしちゃったな~…」
中から聞こえてくるのはこの町の支配者、ブラッディの声だった。
オニキスは幼女に夢中になって彼女のことを完全に忘れていたのである。
――――…
元の世界に戻ることを望むブラッディ。彼女が提案する対価とは…!?
血「なんでいないワケ!?」
ありがとうございました。




