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黒い紳士と幼女(+α)たち  作者: 名無アキラ
命灯不滅
39/72

過去

遅くなりました。言い訳は後程…



血「何があったか?代替わりの時に?」


オ「まあ、単に興味があるだけで深い理由とかは無いんだけど。」


じゃれつくブラッディをなんとか引き離して、彼女の部屋に入ったオニキスと江。

当初の目的であるブラッディへの質問をすると、彼女はアッサリこう言った。


血「前のテッペン、エルダーリッチのトメルーってお爺さんなんだけどね?

アタシがここに来たときはもうテッペンやってたんだけど、その時ふざけたこといってたんだよ。」


ブラッディ曰く、トメルーは『生きることに飽きた、何か面白いものを持ってくれば褒美をやる』というむねのお触れを出していたらしい。


血「でね?アタシ、思ったの。『自分から不死になっといてそれは無いんじゃない?』って。」


オ「それはそうだな。死にたくないから不死になったのに、今度は生きることに飽きたってのはなぁ。」


血「でしょ!?マジ自己チューじゃん?」


あり得ないよねー、とほおをふくらませるブラッディの様子を見てオニキスはふと違和感を覚えた。

同じ不死を願った同類の転落をなげくようには聞こえないのだ。

どちらかと言えば『自分の立場になってみろ!』と言っているようだった。


オ「ブラッディは不死になりたくてなったんじゃ無いのか?」


江「ちょっ…」


血「ん?そうだよ?当たり前じゃん!」


オニキスは何気なく聞いたが、場合によっては非常にデリケートなモノになる。そう考えて江はオニキスを止めようとしたが、ブラッディはそんな心配を余所にアッサリと答えてしまった。


オ「ん?どうしたんだ、江さん?」


江「…いや~、なんでもないわ~。」


彼女をよく知る江でさえも把握しきれないほどのポジティブ思考。それこそがブラッディの強みなのだ。


――――…


オ「それじゃ、なんでお前は不死なんてモノになったんだ?」


本来の話題から大きくれ、ブラッディのトメルーへの愚痴を聞くことしばらく。ようやくオニキスが話を元に戻した。


血「そりゃ噛まれたからだよ、ガブッとね。」


オ「吸血鬼にか?」


血「ううん、えっと…」


オニキスが訊ねると、ブラッディは首を横にふって考え込んだ。


血「クロ…じゃなくて、クール…でもなくて、クリ…は違うし…なんだっけかなぁ…」


ブラッディがブツブツとつぶやく単語から予想をしたオニキスは、


オ「多分、グールかグーラってヤツじゃないか?」


血「そう!それそれ!あー、スッキリしたー!」


オニキスの出した答えはどうやら正解だったらしい。


オ「俺もある程度の知識は持ってるけど…こっちではグールってのはどんなヤツなんだ?」


江「ん~?グールってのはねぇ…」


――――…


グール(グーラ)


:グール、もしくは死食鬼と呼ばれる魔物。グールの雌がグーラである。

ヴァンパイアの下位存在であり、生きている生物の血肉や死体の肉を食べる(生きている生物の血肉の方を好むと言われる)。グールが肉を食べなくてはいけないのに対して、ヴァンパイアは血を吸うだけでも大丈夫。

基本的にヴァンパイアに血を吸われても、殺されなかった人間がグールになる。他にも、魔術的方法によって人間が作り出すこともできるが、この場合はグールになった後、術者の命令を聞かないことが多く、危険とされる。

生態はゾンビ(腐死体)に似ているが、全くの別物。

ゾンビはヴァンパイアに血を吸われ、そのまま殺された死体に呪いをかけて生まれた魔物。

ゾンビは完全に生物を襲って肉を喰らうだけの存在であり、自意識も感情も残っていない。元となった死体と同じ部分は外見だけである(次第に肉体が腐り落ちていき、スケルトン(動骨格)になるとも)。

対してグールは生きたまま魔物になっているので、自意識も感情もある。ただ、人間としての枠は越えてしまっているので人間よりもかなり強い。

他にも人間と異なる点はいくつかある。

まず、血液が流れていない。そもそも心臓が動いておらず、脳も本来の機能を果たしていない。なぜグールが自意識を保ったまま存在できるかは謎。

次に、栄養の吸収の仕方が違う。人間よりは肉食動物に似た食生活をする。普通の食事も食べることはできるが、エネルギー吸収率は低い。生肉や血液、それも新鮮(?)なモノを食べるのが一番効率が良い。

更に、姿を変えることができる。ヴァンパイア程ではないが、動物や無機物に変身する。

最後に、寿命が無い。肉体は人生で最高の状態で固定され、更に魔物としての力が加わる。人間でいう急所を攻撃されても、本来の生命活動は停止しているため、意味がない。(ちなみにリッチ、枯賢人系列の不死者は寿命や肉体を犠牲に記憶量を激増させ、魔法を使える回数を多くする。血液を使う魔法をほぼ体に水分のないリッチがどう使うのかは不明。)

ヴァンパイアはヴァンパイア、グール、ゾンビ系列の魔物を全て生み出すことができ、グールはグールとゾンビを、ゾンビは生者に噛みつくことで同族を増やす。


――――…


江「…まあ、わかってるのはこれくらいね~。」


江が一気に説明し終え、召し使いらしい女性が持ってきた紅茶を飲んで一息ついた。


オ「俺が知ってるグールとさほど変わらないな。」


オニキスは江に軽く礼を言うと、ブラッディに向き直った。


オ「それで、今の江の説明だとお前はグーラになってるはずだけど、なんでヴァンパイア・レディなんてモノになってるんだ?」


血「あー、それはねぇ…」


と、そこまで調子良く話をしていたブラッディが初めて口ごもった。もしや地雷を踏んでしまったかと焦るオニキスだったが、オニキスが何か言う前にブラッディは続きを始めた。


血「ちょっとこっからは信じて貰えるか分かんない話なんだけどね?」


そう言うと、ブラッディは話を続けた。


血「アタシ、前世?っていうの?そんな感じのヤツの記憶が残ってるんだよねー…。」


それを聞いて、江は冗談かと苦笑いをするが、オニキスは至って真剣に話の続きをうながした。


血「なんか、前世で車にかれて死んじゃったと思ったら、変なお爺さんがいるところにいたのね。んで、お爺さんがちーと?とかてんせい?とか色々言ってたんだけど、ワケ分かんなかったから無視ってたの。そしたら、お爺さん怒っちゃっていきなりアタシを突き飛ばしたんだよ。んで、文句言おうとしたら床が無くなってて、どっかに落ちちゃったの。んで、気がついたら赤ちゃんになってたワケ。」


ここまで話を聞いてオニキスはある可能性に辿り着いた。


血「いきなり赤ちゃんになりましたー、なんて言われても、テンパるじゃん?でも、お母さんっぽい人が色々世話してくれてたからさほど困らなかったワケ。んで、どうするかなーっていつも考えてたんだ。

そしたら、なんか外が騒がしいな、って日があってね?悲鳴とか聞こえてチョー怖かったんだけど、アタシってば赤ちゃんじゃん?外も自分だけじゃ見れないし、ベットからもでられないじゃん?

仕方ないから、ベットで大人しくしてたワケ。そしたら急にドアが開いたのよ。お母さんかなー?って思ったら、知らないオネーサンが入ってきたワケ。誰かなー?って思ったら、急にそのオネーサンがアタシをダッコしたの。んで、急にアタシの腕に噛みついてきたワケ!酷くない!?赤ちゃんのプニプニな腕なんだよ!?」


オ「あー、プニプニな腕の話はあとで聞くから。」


どうやらブラッディはお喋り好きらしい。話がすぐに脇道に逸れるが、一々聞いていては話がまったく進まない。オニキスはブラッディの話をさえぎって元の話に戻るようにうながした。


血「えー、チョー大事なトコなんだけどなー!」


ブラッディは不満げにしながらも話を元に戻す。


血「えっと、どこまで話したっけ?そうそう、噛みつかれたんだよ。

モチ痛いじゃん?ヨユーで泣けるじゃん?んで、泣いてたワケよ。血はメッチャ出るし、変態女にダッコされてるしで最悪だったワケ!

んで、何とかして逃げないとなーって思ってたら急にその変態女がアタシを床に落としたワケ。

背中おもっきしぶつけて、流石にこりゃヤバイなーって思ったら、急に周りのモノがグングンちっちゃくなってたの。ナニコレ!?って思ったんだけど、よく見たらアタシの身長が伸びてたのね?いつの間にか腕の噛まれたトコも治ってたし。

んで、ビックリしてボーっとしてたんだけど、目の前の変態女が赤ん坊の精神なら~、とか従順な奴隷~、とか色々言ってたの。なんか、それ見てたらメッチャムカついたから、変態女の顔面ぶん殴ってやったワケ。そしたら、変態女の頭が吹っ飛んじゃったの。うわ、グロッ!ってちょっとビビったんだけど、いつまでも突っ立ってるのも何だし、外に出たワケ。何だかんだ、赤ちゃんになってから外に出るの初めてだったんだけど、もう外とかゾンビのゲームみたいになってて。お母さんっぽい人とかもゾンビになってたし。

怖かったから逃げちゃったけど、行く先もないし、食べ物もないしで困ってたら、空からチョー美人なオネーサンが降りてきたワケ!オネーサンはもうこりごりだなーって隠れてたんだけど、あっさり見つかっちゃって。変態女がグーラってのだってこととか、オネーサンがヴァンパイアだってこととか、アタシもヴァンパイアになっちゃったってこととか聞いてね。

オネーサンが『貴女からは神の力を感じる。』って言い始めて。こりゃオネーサンもヤバい人かなーって思ったんだけど、本人大真面目でさ。

『神の加護で貴女は常に最上の可能性に辿たどり着くことができるようになっている。』って言われて、なんじゃそりゃ?って思ったんだけど、オネーサンが言うにはヴァンパイア・レディってのはグーラとかのもっと上な存在で、でも生まれかたはおんなじだから、その最上の可能性ってやつがヴァンパイア・レディになることだったみたい。

まあ、アタシがヴァンパイア・レディになったのはこういうことがあったからってワケ。」


オネーサンの話もムズかったから、半分くらい分かんなかったけどねー!と自虐気味なことを口にして、ケラケラと笑うブラッディ。

江は初めから半信半疑で聞いていたが、オニキスは違うことを考えていた。

笑うブラッディに真面目な顔で聞く。


オ「なあ。ケータイとかスマートフォンって言葉、わかるか?」


オニキスたちの世界では一昔前のモバイル端末。

もちろんこちらにはそんなものはあるはずもなく、実際に江はまったくピンときていない顔をしている。

が、ブラッディの表情はそうではない。恐怖や疑惑、期待や戸惑いが顔にハッキリ出ていた。


血「え…なんでそれ…は?」


ビンゴ。オニキスの予想は当たっていた。


オ「俺はお前の世界、もしくはよく似た世界の未来から来た。」


死者の都の支配者、ヴァンパイア・レディ、ブラッディ。彼女はオニキスから見た過去人だったのである。


――――…


とっくの昔に諦めていた元の世界。しかし、目の前にそこに繋がる手がかりがあるのならばそれを手放しはしないだろう。例え、それが蜘蛛の糸のように細くとも。


血「嘘…でしょ?」

ありがとうございました。

馴れない飛行機に乗ってはるばる九州へ。なんとか乗りきって帰ってきたものの、体調を崩し…

文字を見ると頭痛がすることも多く、中々筆が進みませんでした。いや、申し訳無い。

ここからは日一になる予定です。

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