鬼才
三日連続で、1時に投稿していますが…寝ちゃってるんです!すみません。
鬼才
引き続き、訓練場所。
指揮官候補、皮肉屋アイロニーの側では…
ア「ひっ…!」
皮「これは仕方ないか。威圧感はそれほどある訳じゃないが…圧倒的に強いな。」
その視線の先には、
「おらぉっ!…ひべっ!?」
「囲め囲め…がぁっ!」
「ダメだ!強すぎ…ぬぁっ!」
「流石に少し疲れるな…そらっ!」
「「「ぐぁぁあああっ!」」」
圧倒的なオニキス無双であった。
――――…
一方、オニキス。
オ「…狗頭以上で大鬼以下。集団戦闘的に言ったら小鬼の方がマシだな。」
「なんだとっ!」
オ「異論反論は認めるけど、それは俺を倒してからにしてくれ。」
「がっ!」
卯月の提示した獣士団側の勝利条件は『オニキスに自分で触ること』。オニキスから触れた場合や偶然触れた場合は対象外だ。
獣士団の誰かが判定をどうするのかと言ったとき、卯月は『獣人の誇りとやらに聞けばいいだろう?ちなみに、オニキスは誰に触れられたかを把握できるがな。』と言った。獣士団側の反則をそれで封じたのであった。
オ「まあ、ここまでは卯月さんの予想通りだな。残った奴等はある程度状況判断ができるってことだよな…っと。」
そう言ってオニキスが辺りを見回す。今回の訓練で、負けることは万が一にも無いとオニキスは考えている。オニキスの目的は(人間基準での)強者を見つけること。
オニキスに近づかずに様子を見ていたのは四人。その内、三人はそれなりに歳を重ねた男だった。しかし…
オ「正直意外だな。君、この中で一番若いだろ?」
?「そうね、まだ14歳よ。アルト様は18歳だから、私が一番若いわね。」
最後の一人はまだ少女だった。見た目に反して歳をとっているという訳でもなく、本当に少女だった。
オ「この場に残ってるってことは、その見た目でも相当デキるってことだよな?」
?「…ん?」
オニキスがそう言うと、少女は辺りを見回す。視線の先には残る三人の男たち。
?「…ランキング上位のおじさんたちね。こんな人たちと並べてもらったら困るわ。私、武術大会に出てすらいないもの。」
オ「え?」
「隙ありぃいいグボアッ!」
少女の返事に虚を衝かれたのを隙と見たのか、一人がオニキスの背後から斬りかかり、無惨に散る。
オ「悪くない太刀筋だった。だけど、今のは隙じゃないからな。」
?「今のが、ランキング二位のルーナおじさん。」
地面に倒れ伏す男を指差して言う少女。オニキスがそれを見て驚く。
オ「今のが?」
?「そう。…あっ。」
と、少女がオニキスの背後を指差した。
オ「えっ?」
精神は常人(?)のオニキス、そうされれば反射的に振り向いてしまう。ましてや相手はロリに片足を突っ込んでいる少女である。
「ぜりゃぁああっ!」
「どぅりゃぁあああっ!」
今度こそは隙。残る男二人がオニキスに斬りかかり。一人は高く飛び上がり、頭上から短剣で。もう一人は地面につくほど深く踏み込んで、足下から必殺の槍を。頭と足、一度に守れない体の両端を狙った見事な連携攻撃だ。
オ「っぉお!?」
いかに人外なオニキスとはいえ、その二連撃はガードできない。オニキスは不自然な動きで後ろに地面を滑り、危うく攻撃を避ける。
通常であれば一撃必殺の攻撃。攻撃した二人も追撃ができる体勢ではない。
「クソッ、避けられたか!」
「魔法も使えるのかっ!」
後ろに飛び下がり、体勢を整える二人。
「ナイスサポートだ、ミカ!」
「こりゃ、今回の功労賞はミカで決まりだな!」
ミ「そう?賞品は何かしら?」
口々にミカと呼ばれた少女を褒める二人。少し嬉しそうなミカ。
一方、オニキスの表情は微妙なモノになっている。
オ「あー…正直なところ、今回は使うつもりはなかったんだけどな。」
そのぼやきを聞いたミカが、若干の自慢げな顔で言う。
ミ「…この『真実の瞳』ことミカを侮ったのが運のつきだったわね。」
「…いやいや、そんなの誰も呼んでないぜ。」
「『食いしん坊のミカ』か『調子狂わせのミカ』で通ってるだろ?」
ミ「そんなのカッコ良く無いじゃない。」
少し頬を膨らませるミカ。それを聞いたオニキスは納得したような表情で頷く。
オ「『調子狂わせのミカ』、か。なるほど、一理あるな。」
ミ「勝手に納得しないで欲しいわ。」
不満げな顔をするミカ。と、何かを思い出したようだ。
ミ「そうそう。本題を忘れるところだったわ。」
オ「本題って…訓練のことか?」
オニキスが聞くと、ミカは首を横にふる。
ミ「私は英雄様に会いに来たのよ。
ルカっていう子のこと、覚えてない?」
オ「ルカ…うーん、子供たちのことは皆アダ名で覚えてるからなぁ。」
オニキスが首を捻ると、ミカは、最初に自分の頭を、次に腰を指差して言う。
ミ「こんな耳とこんな尻尾をした子よ?」
オ「ん?んん?…あっ!」
ミカは、猫耳と猫尻尾をしていた。そして、オニキスはその耳と尻尾に見覚えがあった。
オ「ルーちゃんのことか!お母さんがお酒好きの!」
それは、この街に来て一番最初に助けたケモ耳ケモ尻尾の猫ロリと同じものだった。
ミ「お母さんがお酒好きってのは甚だ遺憾だけど、その子のこと。
あなたに会って一言お礼が言いたかったの。妹を助けてくれて、ありがとう。」
そう言って、頭を下げるミカ。
オ「そうか、ルーちゃんのお姉ちゃんだったか…とりあえず、どういたしまして。次からは君がしっかり守ってあげてくれよ?」
ミ「分かってる。そのために獣士団に入ったんだから。」
ミカが表情を引き締めて頷く。
と、側でそれを聞いていた男二人が構えをとる。
「さて、と!お礼を言うだけの時間は待ってやったぜ!」
「俺たちも一丁良いとこ見せなきゃなぁ、おい!」
目配せをして、一気に走り出す二人。常人の域を越えた、達人の速さ。まさに駆け抜ける獣の如し。
オ「温いぜ!」
「ぐっ!」
「がっ!」
それでも、人外には届かない。オニキスは二人の攻撃を避け、カウンターをいれる。
「くそっ!」
「まだまだっ!」
ギリギリで体をずらし、一撃で倒れ無かったのは流石と言えるだろう。
オ「いや、終わりだ!『加重領域』!」
しかし、オニキスが手を振り下ろすと同時に何かに押し潰されるように地面に膝をつく二人。
「なっ!?」
「なんだ!?」
一瞬、重みが加わり、次の瞬間には消える。そんなことをされれば、誰でもバランスを崩す。
オ「惜しかったな。」
「ぐあっ!」
「ごっ!?」
そして、オニキスに意識を刈り取られる。
残ったのはミカ一人。
オ「さて、残すは君一人な訳だが…降参する訳にはいかないか?正直なところ、あまり女の子には手を上げたくないんだけど…」
ミ「アルトさんはトラウマが残るほど痛めつけたのに?」
オ「俺の中で、良い歳して礼儀も弁えられないのは女の子に分類されないんでね。」
いや、幼女では無かったからだろう。
ミ「酷い言い様ね。それがあながち外れてないってのが、なんだか複雑だけど。」
オ「さて、どうする?見た感じ、君が俺に勝てるとは思えないんだが。」
オニキスがそう聞くと、ミカは不敵に笑った。
ミ「私の才知溢れる頭脳が、私を勝利に導くわ。」
そう言って、構える。そして、すぐさまオニキスに向かって真っ直ぐ走っていく。
オ「ん?…せいっ。」
しかし、直前でオニキスに額を押さえられ、止められる。ミカの両手は前につき出され、唇はすぼめられていた。
オ「…何のつもりだ?」
ミ「…抱きついてキスすれば、動揺して止められないと思った。」
てへっ、と口で言い、舌をだすミカ。
オ「出直してこい。」
ミ「うにゃっ!?」
そして、最後の一人はデコピンで沈められた。
卯「そこまでっ!この勝負、オニキスの勝利!」
卯月の声が平原に響き、第一回模擬訓練は幕を閉じた。
――――…
オ「(あ、あぶねー!危うく止め損ねるとこだった!)」
実は、結構動揺させられていたオニキスであった。
――――…
第一回模擬訓練はオニキスの勝利に終わった。負けた獣士団の面々は…!?
次回、『宴』
「ぜったいみろよなっ!…おねーちゃん、これでいいの?」
ミ「そうそう、上出来よ。」
ありがとうございました。




