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黒い紳士と幼女(+α)たち  作者: 名無アキラ
獣人邂逅
22/72

侵略

侵略


門を大破させたにも関わらず、堂々と正面から近づくオニキスとエメラルド。


門「止まれ!貴様ら、何者だ!」


壊れた門を守るように固まり、警戒姿勢をとる門兵たち。

だが、二人は止まらない。


エ「ほらぁ、誰だってぇ。」


オ「言ってもわからないだろ。有名人でもないし。」


エ「それもそうねぇ。」


少しずつ二人と門兵との距離が近づいていく。


門「止まれ!止まらんと攻撃する!」


エ「ほらぁ、攻撃するってぇ。」


オ「穏やかじゃないな。」


門兵の警告にも動じない。そして、距離が10m程になったとき、


門「魔法隊、打てっ!」


役職が上なのか、少し豪華な鎧を着た兵の合図で、門兵たちの一部が色とりどりの魔法を撃つ。


門A「ファイヤボール!」


門B「ウィンドカッター!」


門C「アクアアロー!」


だが、二人は余裕の姿勢を崩さない。


オ「おぉ、魔法だ。しっかり見るの、初めてじゃないか?」


エ「そんなことより前衛さぁん、お仕事よぉ。」


オ「わかってるって…!」


オニキスの姿が一瞬消えたかと思うと、次の瞬間には隊長格の門兵のすぐ目の前にいた。


オ「手加減はしてやる!グラビティシェイク!」


オニキスが少し触れると、門兵は地面に崩れ落ちた。


門「た、隊長っ!?」


エ「あ、やっぱり隊長だったのねぇ。」


呑気に言うエメラルドとは逆に、門兵たちは戦闘態勢にはいる。


門「よくも隊長をっ!かかれっ…」


オ「ひれ伏せっ!」


一斉にオニキスに攻撃しようとした矢先、オニキスが叫んだ。

瞬間、門兵たちは全員地面にしゃがみこむ。


オ「別に殺しちゃいない。害意は無い…とは言い難いが、殺す気もない。みたところ騎士とも所属が違うみたいだし…まあ、しばらくしたら治るからな。」


エ「あ、待ちなさいよぅ!」


言うだけ言うと、オニキスは都市に入っていった。エメラルドもそのあとを追う。


――――…


一方、卯月たちは…


伯「えぇい、何をしている!さっさと捕らえんか!」


伯爵が衛兵を叱咤する。


衛「ですがっ!この魔物っぐあっ!」


卯「失礼な。ウルフちゃんをその辺の魔物と一緒にしてもらっては困る。」


卯月が憤慨したように言う。


ウ「ガァッ!」


衛「グッ!?まさか…戦狼人かっ!」


戦狼人とは、ファンタジーで言うところのウェアウルフである。


菜「…(元が狗頭だと知ったらコイツは自信を無くすんだろうな。)」


菜真理は何もすることがなく、そんなことを考えていた。

彼女も、戦うことができるだけの装備を用意していた。しかし、菜真理の出る幕がない。

あらかたの衛兵はウルフが相手取っている。まれに抜けてくる兵士がいても…


衛「クソッ!ガキがっ!」


卯「む、抜けたか。次は…これにするか。『幻覚霧』だ!」


衛「くっ!?……あれ?どうして母さんがこんなところにいるんだよ?というか、ここは?」


卯「ふむ、効果は上々と。」


卯月が何事もなく撃退する。


ウ「命、無事?」


卯「あぁ、()別状はない。」


実は幻覚霧には強い後遺症があるのだが…卯月の言う通り命に別状はない。


――――…


しばらくすると…


伯「衛兵が…一人残らず…?」


卯「さて、『話し合い』をしようか。」


伯「き、貴様らと話し合うことなど何も…っ!?」


伯爵が卯月にむかって怒鳴ったその時、外から轟音が聞こえた。


卯「ふむ、派手にやっているようだな。」


伯「い、一体何がっ!?」


そう言う間にも音は止まない。


卯「見てみるといい。そして、お前の意思が変わることを願っているぞ。」


そう言うと、卯月は四つ足に戻ったウルフの背中に腰かけた。


菜「先に外に出ていてもいいか?正直、ここにいてもやることがない。」


卯「あぁ、いいぞ。くれぐれも気を付けるんだぞ。」


菜「わかってる。」


菜真理は卯月に声をかけると、部屋を出ていった。


――――…


壊した城門をぬけたオニキスとエメラルドは


オ「さて、と。中に入ったはいいけど…これ、どうするよ?」


エ「まぁ、あんだけ騒いでりゃねぇ。」


見事に囲まれていた。


オ「手っ取り早くいこうか。エメラルド、いい感じにデカイ岩とか持ってこれるか?」


エ「おまかせぇ。」


エメラルドがチョイと指を動かすと、城門と一緒に壊れた防壁の残骸が飛んでくる。

大きさはおおよそ軽自動車程度。


オ「ちょっと大きすぎやしないか?…っふん!」


と、言いながらもその残骸を全力で殴り付ける。

そして、轟音と共に残骸が粉々になる。


エ「はぁい、おかわりぃ!」


オ「おい!」


エメラルドが、城門を壊した大岩をそのままオニキスに飛ばす。


オ「ちょっと危ない…かもしれないだろっ!」


言うと同時に大岩を殴り壊す。こちらも問題なく粉々になった。


と、オニキスは周囲を囲む兵たちに向き直った。


オ「さて、今の岩とお前たちの体、どっちの方が硬いと思う?」


戦々恐々、阿鼻叫喚。しばらくすると周りには誰もいなくなった。


エ「馬鹿力もたまには便利ねぇ。アタシはいらないけど。」


オ「俺もちょっとビックリしてる。」


オニキスもまさかあそこまでできるとは思っていなかったのだ。精々が真っ二つになるぐらいだと思っていたのだ。


オ「粉々になるなんてな…」


エ「やっぱり、一撃の威力もアンタの方が上だわぁ。」


――――…


卯「さて、あれは私の部下なのだが…話し合いをする気にはなったか?」


窓からその光景をみて、顔を青くして震える伯爵。

卯月が声をかけると、ビクッと肩をはねさせた後に小さな声で言った。


伯「よ、要求はなんだ?」


卯「獣人たちへの不干渉。私からの要求はそれだけだ。」


伯「それだけの為にこんなことを?」


伯爵が言うと、卯月が眉間にシワをつくる。


卯「『それだけ』?違うな。これはれっきとした悪だ。お前は自分達が何をしていたかわかっているのか?

罪の無い獣人たちを攻撃し、家を焼き、殺そうとした。これが悪でなくてなんだと言うのだ。

これを見逃すのは私の正義に反することなのだ。」


そして、卯月は口角を上げて更に言った。


卯「そうそう。言い忘れていたが、あの岩を砕いた私の部下はな、幼い子供を傷つけられるのを何よりも嫌う。そして、お前の家来は獣人の子供を殺そうとしたそうだ。

どう言うことか、わかるな?」


オニキスは現状、さほど怒っているわけでは無い。獣人の幼女は傷一つ無く、相手の騎士は半死半生はんしはんしょうの目に合わせた。オニキスの正義はそれで満足した。

しかし、伯爵は違う捉え方をした。

あの恐ろしい怪力の男は、怒り狂って都市を攻撃している、と。


伯「わ、分かった。要求をのもう。」


結果、伯爵は卯月の要求をのむ以外に選択肢を見つけることができなかった。



――――…


当初の目的は達成された。だが、戦いはまだ終わっていなかった!?


次回、『激昂』


卯「正義が道を照らすように!」

ありがとうございました。

少し忙しくなってきたので、しばらく不定期更新になってしまいます。

できる限り書いていきたいと思うので、今後ともよろしくお願いします。

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