戦隊ヒーロー
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真っ黒な体表のヒトガタと赤、青、黄のヒーロースーツをきた三人が対峙していた。
三人は高らかに名乗りをあげた。
「母なる大海の如く、サファイア!」
「力たる雷の如く、トパーズ!」
「命なる太陽の如く、ルビー!」
「「「大自然に愛を!自然戦隊ジュエラーズ、ここに参上!」」」
「貴様らの悪事は全てお見通しだ!」
「私たちがいる限り!」
「この世に悪は栄えない!」
「「「覚悟しろ!」」」
三人は一斉にヒトガタに向かっていった。
――――…
「とかやってんのかね、今ごろ。」
「かもねぇ。暑苦しいったらないわぁ~。」
「あいつらの横にいるとスーツ脱ぎたくなるよな。」
「ちょっとぉwwwwアタシらスーツ脱いだらただの人じゃないのぉwwww」
アパートの一室。炬燵の中に二人の男が入っていた。もっとも、片方は見た目だけは女だが。
「だってあいつら、ガチであの自己紹介的なのやってんだぜ?」
「なんだっけ…命なる太陽の如く~だっけぇ?」
「そうそう。俺なんてあれだぜ?混沌なる宇宙の如く、だぜ?正義の味方が混沌て。」
「アタシなんて父なる大地のごとく、よぉ?まったく、乙女に向かって失礼しちゃうわよねぇ。」
「いやいや、それは当たってるだろ。」
彼らは自然戦隊ジュエラーズというヒーロー隊の一員、ブラックオニキスとエメラルドである。
ちなみに他の隊員はルビー、サファイア、トパーズである。
「なんで俺たちの所にはピンクがいないのかね。正直ブラックなんて相手戦闘員と見間違えるでしょ。」
「ピンクの宝石がパッと浮かばなかったんじゃないかしらぁ?しいていうなら代表がダイヤだからピンクダイヤってことでぇ。」
「でもよ、ピンクっていえば淫乱ピンクだろ。あの人ってどうよ?」
「いやいや、じつは裏で…とかありえるかもよぉ?」
「いやぁ、にしたって…あの人俺たちでも勝てないからな。探りようも無いだろ。」
「そうよねぇ、レンジャーのプロトタイプかつ最高傑作だもんねぇ。レンジャーって所詮あの人の劣化コピーでしょぉ?」
「そりゃそうだけど…」
――――…
赤色、ルビーは左胸を拳で叩き、そのまま構える。すると、拳を炎が覆い、燃え上がった。
「たぎる魂、燃える拳!バーニングナックル!」
――――…
「これとは一緒にしないで欲しい。」
「そうよねぇ。戦闘員といっても火傷で死ぬほど雑魚い改造じゃないでしょ。再生するし。」
「それに、アイツ『敵でも話せば分かってくれる』とか言って火力抑えるしな。」
「元々アンタの火じゃ殺せないわぁwwww」
――――…
青色、サファイアは胸の前で掌を構え、三角をつくり、そのまま頭上に掲げた。
「降りしきる豪雪、凍る海!アイスレイン!」
――――…
「あれも無いわな。」
「そうねぇ、氷の塊なら相当な威力だけどぉ…ただのみぞれだものねぇ…」
「もはや改造云々以前に戦闘員スーツで阻まれるからな。」
「アクアスフィアってのもあるけどぉ…」
「戦闘員レベルの改造でも10分ぐらいは息しなくても大丈夫だしな。そもそも集団戦の時にはまったく使えないしな。」
「トパーズと合わせるとな良い感じになりそうとか思ってたんだけどねぇ…」
――――…
黄色、トパーズは片足で立ち、浮いた足を勢いよく一回転させた。
「奔る稲妻、轟く天雷!サンダースライド!」
――――…
「そもそも戦闘員のスーツが特別製のゴムな時点で詰みなんだよなぁ…」
「対人戦だとスゴいんだけどねぇ…」
と、部屋にあるオーディオから声が聞こえてきた。
『(…ッ、ザザッ…)オニキス!エメラルド!何をしている!出動しないか!』
ジュエラーズのボス、ダイヤモンドである。
「あ、どうもです。」
「おはよ~、ダイヤさぁん。」
『貴様ら…病欠などと言いおって…仮病ではないか!』
「いやぁ、病気ですよ、病気。炬燵依存症です。」
「アタシはぁ、温み欠乏症でぇす。」
『貴様らっ!』
「あはは、冗談ですよ。」
「ヒーローは遅れて登場ってのがセオリーだものねぇ。」
二人は億劫そうに立ち上がり、光と共にその場から姿を消した。
――――…
強敵に手を焼くルビー、サファイア、トパーズ。
しかし、そこに新たな仲間が手を差しのべる!
次回、『真打ち』。
ルビー「ジュエルの輝きを君に!」
お読みくださりありがとうございました。次は連続で投稿します。