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黒い紳士と幼女(+α)たち  作者: 名無アキラ
獣人邂逅
19/72

遅くなりました。

今回はいつもより短いです。


母「娘の命を助けて貰って…本当にありがとうございます!」


幼「ありがとうございますっ!」


オ「気にしなくて良いよ。ただ…お母さんは昼間のお酒は控えたほうが良いですよ?」


苦笑いをするオニキス。ケモ幼女の母親は酔いも目も覚めたのか、現状を把握して青くなっている。


オ「ところで…何でこんなことに?」


このとき、オニキスはよく聞く獣人差別を想像していた。

しかし、原因はもっと深いところにあったのだ。


――――…


卯「それで、こんな有り様になっている理由を聞こうか?」


ゆっくりと歩いて街まで来た卯月たちが見たのは、ケモ人たちに拝まれているオニキスの姿だった。


オ「ちょっと俺にもわからないんですけど…」


?「儂がご説明いたしますじゃ。」


と、顔中毛だらけの老人が出てきた。眉毛、髭、髪の毛が全て一体化しているがごとく顔中毛だらけである。


爺「儂はこの街の相談役ですじゃ。皆にはじいと呼ばれていますじゃ。お見知りおきくだされ。」


爺はペコリとお辞儀をする。


卯「それで?オニキスはなぜ拝まれているんだ?十戒でも作ったのか?」


爺「いえ、これは獣人の本能ですじゃ。強き者は敬われる。比類なき力をお持ちになっている黒の稀人さまはまさに神に等しき御方ですじゃ。」


卯「どこかで聞いたような話だな…。」


菜「鬼のところだろう。この世界は実力主義なのか?」


爺「ほっほっ、我らはその昔は戦いに産まれ、戦いに生きていた種族。今は平和に暮らしておりますが…血には逆らえんのですじゃ。

爺も昔は戦場に嵐をふかせたものでございますが…稀人さまの戦いぶりは髭が逆立つかと思いましたぞ。ほっほっ。」


エ「どこが髭なのかわからないけどねぇ。」


エメラルドはそう呟いた。


一方、オニキスはほぼ街の全員に囲まれ、途方にくれていた。


オ「俺、どうすればいいの?」


――――…


卯月と菜真理が爺を説得し、なんとかオニキスの現人神現象はおさまった。

詳しい話をするために爺の家に移動する途中、ふと卯月が言った。


卯「それにしても…龍のところでは黒き断罪人、ここでは黒の稀人。そのスーツ、脱がないのか?」


オ「え?脱いでいいんですか?」


卯「エメラルドをみろ。こっちに来てからスーツを着ていたことがあったか?」


エ「あんなの着てらんないわよぉ。そもそも、アタシって後衛だしねぇ。スーツの強化もあんまりないのよぉ。」


唖然とするオニキス。卯月は続ける。


卯「脱がなくても、それ単体で着る意味も無いだろう。何のために薄手の生地にしたと思っているんだ?」


オ「え?動きやすくするためじゃ…?」


卯「非常時以外はインナーとしても使えるようにだ。それならば緊急事態にも即座に対応できるだろう?」


エ「アンタ、昔からそういうセンスは無いもんねぇ。」


ガックリと膝をつくオニキス。


菜「その、なんだ…気を落とすな、オニキス。今度私が服を作ってやる。」


ポン、とオニキスの肩に手を乗せる菜真理。


オ「あ、ありがとう…。やっぱりなーちゃんはいいお嫁さんになるよ。」


菜「そ、そうか…?えへへへ…。」


エ「幼女と黒戦隊スーツ男の桃色空間…シュールねぇ。」


卯「ふむ…やはり伝統的なヒーロースーツは汎用性が無いな。」


――――…


所変わって爺の家。爺は相談役に相応しく、ある程度大きな家に住んでいた。


卯「それで?こんな有り様になった原因はなんだ?」


爺「街に火をつけたのは隣街の伯爵家お抱えの騎士たちですじゃ。」


爺が眉をひそめて言った。もっとも、毛に埋もれてはっきりとはわからないのだが。


爺「儂ら猫族と伯爵家は代々仲が良くありませんのじゃ。もっとも、儂ら別段、伯爵家を嫌うような理由はないのですじゃ。」


卯「ふむ…ならば伯爵家には猫族を嫌う理由があるのか?」


爺「はいですじゃ。」


爺はうなずくと、クローゼットから1着の服を取り出した。


爺「原因の一つはこれですじゃ。」


菜「これは?」


爺「儂ら猫族に伝わる伝統的な衣装、毛服ですじゃ。

儂らは冬と春の境と、夏と秋の境で毛が生え変わりますじゃ。それを集めて、秘伝の方法で布にし、服にしたものがこれですじゃ。

大人は必ず一人一着は持っていますじゃ。」


菜「これがどうして争いの原因になる?」


爺「はいですじゃ。これは儂らの正装でもあるのですじゃ。もちろん、伯爵家の方々がこの街にお出でになるときにもこれを着るのですじゃ。

しかしですじゃ。伯爵家の方々はこの服を儂らが近づくと病気になると言うのですじゃ。」


菜「病気に?」


菜真理が聞くと、爺は頷いて答えた。


爺「はいですじゃ。他のお客人は何ともないのですじゃ。しかし、伯爵家の方々に限って、目が痒くなり、くしゃみやせきが出、時たま湿疹も出ると言うのですじゃ。」


エ「…?それってぇ…」


爺「伯爵家の方々は儂らが病気持ちだと言うのですじゃ。儂らも調べはしたのですが、なにもないのですじゃ。

持っている、持っていないの言い争いが次第に実際の争いになってしまったのですじゃ。」


卯月、菜真理、エメラルド、オニキスは爺の話を聞いて、顔を見合わせる。


エ「ねぇねぇ?これってぇ…。」


オ「そうだな…」


卯「ふむ。」


菜「病気と言うよりは」


「「「「猫アレルギー?」」」」


どうやらオニキスたちは猫アレルギー一族と猫族の争いに巻き込まれたようであった。



――――…


体質ならば仕方ない。だが、実力行使はいかがなものか。オニキスたちは物言いするために伯爵領に乗り込むのであった。


次回、『アレルギー』


爺「たぎる血潮の熱さを!ですじゃ。」



ありがとうございました。

明日、明後日は投稿なしです。

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