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黒い紳士と幼女(+α)たち  作者: 名無アキラ
白河騒動
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白河戦

白河戦


オニキスのいるのとは反対の岸にいるエメラルドは、敵を警戒しながらもオニキスを心配していた。


エ「改造し直してすぐだからぁ…何もなければいいけどぉ…

こっちには敵はいないみたいだしぃ。」


と、オニキスから通信が入った。


オ『エメラルド、戦闘終了だ。帰ってきていいぞ。』


エ「はぁ?」


戦闘終了のお知らせだ。


――――…


卯「…完全に想定外だ。」


菜「うむ、まったくだ。」


龍の城、子供部屋の正面にある部屋に、オニキスを除く全員が揃っていた。

司令塔である卯月、菜真理は渋い顔をしている。


エ「それでぇ?今回の問題点はなんだったのぉ?」


卯・菜「「オニキスを強くしすぎた。」」


その一点である。

ため息をついて卯月が言う。


卯「一応、戦闘だったからな。事後反省はしなければならない。進行は…」


そこで、周りをキョロキョロと見渡し、龍の側に立っていた河童かっぱで視線を止めた。


卯「ふむ、そこの河童かっぱでいい。おい、今回の結果を報告しろ。」


いきなり話を振られた河童かっぱは焦ったように周りを見る。と、そこにエメラルドが資料を差し出した。


エ「(とりあえず、これ読んでぇ。)」


河「(感謝します、エメラルドさま。)」


そして、咳払いをひとつすると、河童は話し始めた。


河「今回の戦闘地帯は白河の西岸、敵対勢力は魔物混合軍およそ800体。

戦果は魔物軍の無力化および捕獲。取りこぼしはほぼありません。対してこちらの被害はゼロ。全戦闘はオニキスさまが行われました。

白河に継続的に流されていた毒も、龍主さまおよびオニキスさまのご活躍により、取り除かれました。」


卯「ふむ、ご苦労。」


エ「何と言うかぁ…オニキスって元々強かったけどぉ、ここまで酷くは無かったわぁ。」


龍「我も戦えば負けるやも知れぬな…」


卯「おそらく、肉体を持っている生物で今のオニキスに勝てるモノはほぼいないだろうな。」


菜「私と卯月の技術の掛け合わせがここまでになるとはな。元々のオニキスの素質というものもあるのだろうが…」


エメラルド、龍、卯月、菜真理は顔を見合わせてため息をついた。


卯「はぁ…ともかく、だ。そのオニキスは今どこにいる?」


エ「残党捜索中、ですってぇ。」


――――…


森の中、道なき道をオニキスは歩いていた。


オ「残党捜索っていってもなぁ…もう向こうさんも戦意喪失してるでしょ。敵意の無い相手なんて無駄な殺生そのものだろうに。

抵抗しないで降参してくれれば…いや、逃がしちゃえばいいのか!」


ぽん!と拳を手のひらに打ち付けた瞬間、オニキスは足を持ち上げられ、近くの木に逆さ釣りになった。


オ「ぬぅおっ!?」


?「やった?」


?「つかまえた?」


?「獲物?」


オ「ん?こお…(プシッ)グフッ…!」


罠にかかったオニキスの前に現れたのは三人の小鬼だった。

ただの小鬼であれば、オニキスはすぐさま罠を破り、戦闘態勢になっただろう。しかし、その小鬼たちはただの小鬼ではなかった。


オ「小さな小鬼の…小さな幼女…だと!?」


そう、それらの小鬼は『小さな女の子』の小鬼だったのだ。そして、野生に生きる小鬼故に、衣服は最低限であった。

こうなればもう、オニキスに抗うすべはない。


小1「どうする?」


小2「連れてく?」


小3「洞窟?」


小鬼幼女三人は頷きあうとオニキスをぐるぐる巻きに縛り、どこかへ連れていくのであった。


――――…


小鬼幼女に担がれることしばらく、オニキスは洞窟にたどり着いた。


小1「ただいまー!」


小2「帰ったー!」


小3「獲物ー!」


?「あんだだぢ!(あんたたち)どごいっでだんだ!(どこ行ってたんだ)どうぢゃんだぢが(父ちゃんたちが)だいべんなのに(大変なのに)!」


(小鬼語は濁点をつけられる音に全部濁点をつける。幼いと濁点を上手くつけられない。

狗頭語はワンワンだけ、豚人語は半濁音。

以下は通常通り。)


小1「ごめーん。」


小2「元気ー。」


小3「ご飯ー。」


何やら大変らしい父親を元気にするためにご飯をとってきたらしい。何と献身的な娘たちか。おそらく小鬼幼女三人たちの父親が大変である原因である、ご飯ことオニキスは感動した。


小鬼母と小鬼幼女三人は更に二言三言話すと、オニキスを担いで洞窟に入っていった。


母「おーい、父ちゃん!ゴブとブリとリンが父ちゃんの為に獲物とってきたよー!」


小鬼母が洞窟の奥に向かって叫ぶ。しばらくすると洞窟の奥から、怪我をしている雄の小鬼が出てきた。彼が『父ちゃん』らしい。


父「あんまり危ない真似させるなよ。今は龍主の所にとんでもない助っ人が来てるんだから。」


父ちゃんが顔をしかめて言う。

しかし、すぐに顔をほころばせる。


父「でも、うれしいぞ!ゴブもブリもリンも立派な狩人だなぁ!それで、その獲物は?」


父ちゃんに聞かれた小鬼幼女三人、いや、ゴブとブリとリンはオニキスを指さす。


ゴ「あれ!」


ブ「おっきい!」


リ「獲物!」


そして、オニキスを見た父ちゃんの表情が凍りつく。


父「お、おい、ありゃ…!」


そしてその瞬間、オニキスは自分の体を縛っていた縄を引きちぎり、立ち上がる。


父「こいつは…『黒の死神』じゃねぇか!」


父ちゃんの絶叫が洞窟に響き渡る。


オ「ふむ…そうか、そうか…」


洞窟の中の空気は一気に冷たく、緊張したものになる。


父「ゴブ、ブリ、リン、それに母ちゃん!早く俺の後ろに!そいつは龍主の助っ人だ!」


オ「おっと、落ち着いてくれ。」


叫ぶ父ちゃんにオニキスは両手を上げて呼びかける。


オ「信じてもらえるかはわからないが、今の俺に敵対する意思はない。」


父「嘘つけ!俺たちの住み処まで入り込んでおいて!」


警戒をとかない父ちゃん。

しかし、オニキスは父ちゃんを無視し、ゴブ、ブリ、リンに話しかける。


オ「えっと…ゴブちゃんとブリちゃんとリンちゃん…だったかな?」


オニキスを知らない小鬼幼女三人は元気よく返事をする。つい先程まではオニキスを食べようとしていたのに。


ゴ「ゴブ!」


ブ「ブリ!」


リ「リン!」


オ「うん、元気な良いお返事だ。」


そして、オニキスは続ける。


オ「君たちはここの暮らしが好きかい?」


ゴ「いっぱい!」


ブ「うれしい!」


リ「獲物!」


ゴ「優しい!」


ブ「うれしい!」


リ「父ちゃん、母ちゃん!」


ニコニコと笑いながら元気よく返事をする小鬼幼女三人。


オニキスはそれを見て、父ちゃんに言う。


オ「お前たちは何のために白河を狙う?」


父「それは…そう!家族にもっと良いくらしをさせるためだ!」


オ「それはお前の意見か?」


父ちゃんの言葉にオニキスが更に問う。


父「ぶ、部族の知恵モンが言ってたんだ!だから間違いねぇ!」


オ「ふむ…それは家族を不幸せにしてでもするものか?」


オニキスの言葉に父ちゃんは明らかに狼狽える。


父「ど、どういうことだ!?」


オ「お前が死ねば、この家族はどうなる?俺は小鬼の風習はよく知らんが…今より良くなることはないだろう?」


父「そ、それは…」


口ごもる父ちゃん。そして、オニキスが続ける。


オ「龍主の配下に任せなくてよかった。

あいつらなら、全力でお前たちを倒しに来ただろう。もしかするとお前も死んでいたかもしれない。

思い出してみろ、家族の笑顔を。お前は危うくそれを壊すところだったんだぞ。」


父「…っ!」


オ「お前が今思い浮かべている笑顔、それが俺が守りたいモノ。幼女にその家族、友達。無駄に殺せばその分幼女の悲しみは増えていく。俺はそんなことはしたくない。」


黙ったままの父ちゃんにオニキスは心から言う。


オ「もし、お前が今の話を理解したのであれば、仲間にもその話をしてみろ。そして、お前は白河へは行くな。」


それだけ言うと、オニキスは立ち上がり、洞窟から出ていった。


その後ろには、涙を流しながら家族を抱きしめる一人の小鬼の父がいた。


オ「(…あぶねー!小鬼にも幼女いたのか!いきなり大人になるのかと思ってたよ…)」


――――…


卯『おい、オニキス!何をしている!早く戻ってこい!』


オ「あ、すみません。ちょっと幼女と戯れついでに和睦してきました。」


卯「はぁ?」


――――…


あっさりと終わった白河攻防戦。

しかし、約束は約束。はたして龍がオニキスに授ける力とは!


次回『孵化』。


ゴ「いっぱい!」


ブ「おいしい!」


リ「ご飯!」



ありがとうございました。

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