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黒い紳士と幼女(+α)たち  作者: 名無アキラ
白河騒動
12/72

河辺

ライ、フーとセンの違い、イリオモテヤマネコと野良猫の違い、とかでも良かったですね。

河辺


オニキス、エメラルド、その他の皆が卯月たちと合流した。


エ「お魚、美味しかったわぁ…どうしたのぉ、シリアスな顔しちゃってぇ。」


オ「ん?あぁ、後で卯月さんから言われると思うぞ。」


やはり、オニキスと観光組には温度差があった。


――――…


卯月が事情を説明し、オニキスがそれに補足をすると、観光組の顔も真剣になった。

中でも、ライとフーの表情はいぶかしげである。


ラ「魔物が主に逆らうなんてあるのか?」


フ「神力持ちの主ですよね…」


二人はいくら魔物であろうと、いや、魔物であるからこそ、その程度の力の差も分からないのはおかしいと言うのだ。


龍「ふむ…恐らくは中途半端に知能を持ってしまったのが悪いのであろうな。知恵を使えば使うほど、野生も本能も薄くなる。小賢こざかしくなった魔物が他の魔物を説き伏せたのだろう。

そうでもなければ我に逆らう魔物などいるわけがなかろう。」


聞けば、龍が姿を現すのはまれだという。

人間が動物園で猛獣を見ても怖がらないように、知恵を持った魔物たちにとって、龍はどこか現実感のない存在となっていたのだ。


ラ「むむ…」


フ「知恵の神力というのも扱いが大変なのです…」


ライとフーが黙ってしまうと卯月が龍に聞く。


卯「必要な情報を教えてもらおうか。一先ひとまずこちらの戦力、相手の戦力と情報だ。」


龍「ふむ…」


龍主は少し考えると、そばに控えていた河童かっぱに何やら耳打ちをした。河童かっぱは頷くと何処かへ走っていった。


龍「先に相手のことを教えよう。

相手は主に大鬼、小鬼、狗頭くとう豚人ぶたひとといったところだろう。この辺りではその程度しか生まれんのだが。」


龍が説明するには…


大鬼…博生はくき(『樹海』参照)の種族。オーガ。

力は強いが頭は弱い。個としての破壊力は恐ろしいが、軍としてはほとんど機能しない。

敵を見つければ本能のままに襲いかかる。サーチアンドデストロイのバーサーカー。


小鬼…小さな鬼。ゴブリン。

力は弱いが数が多く、それぞれがまあまあ知能が高い。個よりは群として脅威になる。一匹一匹は弱いが、倒しても倒しても底が見えない。一説として生まれた赤ん坊は数時間で自立行動が可能になるというものがある。

手先が器用で、剣や弓、魔法を使うなど攻撃手段が豊富。


狗頭…犬の頭を持ち、体は人間に近い。コボルト。

動きが早く、少人数の集団で狩りをする。戦闘になれば、遊撃及び隠密活動を主とする。

狩猟種族らしく、攻撃が効率的で油断できない。

攻撃が当たれば倒せるがそれがなかなか当たらない、難敵である。


豚人…豚を二足歩行させ、体つきをよりそれに適した形にした魔物。オーク。

驚異的なのはその防御力。皮膚はゴムのように弾力があり、その下にある分厚い脂肪と筋肉が内臓まで衝撃を通さない。動きは遅いが、前に出られると厄介な相手。

それなりに力も強く、それなりに知能も高い。比較的指揮官向きの種族。


龍「…まぁ、こんなところだ。この河の周りは人間たちが栄えている。魔物の暮らす森はそこまで広くはない。相手の数が多すぎるということはないはずだ。

しかし、河の両岸は森だ。同時に攻められれば自然と挟み撃ちされることになる。片岸は黒き断罪人と我の配下に当たらせるとして、もう片方の岸は…」


卯「心配することはない。」


卯月が龍の言葉を遮る。


卯「エメラルドもオニキスほどではないが、そこらの有象無象には指一本触れられぬ程度の強さは持っている。オニキスの対岸はエメラルドに当たらせよう。」


龍「ありがたい。配下に強者が多いのは羨ましいことだ。」


龍が頭を下げ、言う。


卯「お前の配下はどうなんだ?河童かっぱと魚人だけか?」


龍「そんなわけがなかろう。先程呼びに行かせた。じきに来るだろう。」


そして、しばらく経ち…


河「失礼いたしますクエ!」


始めに何処かへ行った河童かっぱが戻ってきた。その後ろには幾つかの姿が見える。


龍「これが我の配下だ。河童かっぱと魚人は既に知っているだろう?

そして、水蛇、水馬、蛙人、井守いもり人だ。」


河童かっぱ…頭に皿、背中に甲羅、想像通りの河童かっぱ

力が強く、馬を軽く投げ飛ばすほど。皿の水は時間と共に少なくなっていき、水が完全に無くなると人間と同程度の身体能力になってしまう。皿が割れると気絶する。修復可能。


魚人…魚に人間の手足をつけた姿。

水から長くは離れられないが、水辺での戦闘では右に出るものがいない。

体の一部でも水に浸かっていればそこから皮膚呼吸ができる。水に浸かっている面積に比例して身体能力が上がる。全身水に浸かってもエラ呼吸ができる。


水蛇…見た目は大きな蛇。体は平たく、泳ぎやすい形になっている。

牙には強い神経毒を持ち、噛んだ相手は痛みに苦しむ。全身が筋肉の塊であり、巻き付かれれば詰みである。鱗は並みの刃物では切れない。

陸上でも活動できるが、性能は落ちる。


水馬…エラをもち、蹄とヒレをあわせ持つ馬。水中でも陸上でも変わらず走ることができる。

因みにだが、水馬を種馬にするといい馬が生まれるという。


蛙人…蛙をそのまま立ち上がらせたような姿。

周囲と息を合わせた合唱により、味方の士気を高め、相手の戦意や集中力をぐ。

すぐれた跳躍力や機動力を生かし、直接戦闘も可能。四つんいになれば垂直壁面を歩くこともできる。


井守いもり人…人の体表を湿った肌にし、全体的にフォルムを井守いもりに寄せたような見た目。リザードマンの鱗なし。

水中でも陸上でも身体能力は並み。しかし、全身から粘りのある水のような液体を出すことができる。後方支援組。


龍の説明を聞いていた菜真理が言う。


菜「これだけの戦力があれば、私たちに頼るまでもなかったんじゃないか?」


龍「そうであればよかったんだがな…如何いかんせん数が少ない。今、この城の周辺に居るのは精々100人。河全体ならばもっと多く居るのだが、各地の守りを薄くすることもできない。

数というものは力であるからな。」


苦笑いをする龍。


龍「しかし、質では劣る訳もない。

これらに加え、他の者より一層の武威を誇るものもいる。」


と、5人が進み出る。


龍「無双の兄弟、金魚、銀魚。並みの河童かっぱの十倍の怪力をほこる角力かくりき。楽士、喉袋。軍師、守主もりぬし

この辺りにいる我の配下では最強であろう。」


龍は自慢げに言った。


――――…


戦力の確認を終え、側付きの河童かっぱ以外が退出すると、会議は続いた。


卯「お前が絶対に守りたいものは何だ?それを最終防衛ラインとしよう。」


龍「睡蓮と我らの娘、それに…」


と、いきなり部屋の扉が開き、一人の女性が入ってきた。


?「渟~、客が来てるって聞いたんだが~。」


龍が焦ったようにその女性を止める。


龍「おい、コウ!」


しかし、コウと呼ばれたその女性はスルリと龍の横をすり抜け、オニキスたちの前に立った。


?「渟が迷惑かけてすまんな~。ウチはコウ。この白河の元の水精やってる者だよ~。」


そして、退屈そうにしているライ、フー、センの幼女組を見て、ため息をつく。


江「なんだか懐かしい匂いがすると思ったら~、水精のお嬢ちゃんは始湖しこの生まれかな~?」


江に話しかけられたセンは珍しく人見知りをしているようで、オニキスの背中に半分隠れながら答える。


セ「そ、そうだぞ。」


そして、オニキスに小声でいう。


セ「(あの女の人、怖いぞ…)」


オ「(そう?優しそうに見えるけど…)」


それを見て江は困ったように頭を掻く。


江「あちゃ~…すまんね~、どうにも力を隠すのが苦手でねぇ~…そこんところは渟に負けるんだよね~。」


たはは、と困ったように笑う江。


ラ「怖がることないと思うぜ!」


フ「ただの体のおっきい人とおんなじです!」


ライとフーがセンをオニキスの背中から引っ張り出す。


江「そうそう。お姉さんはやさしいんだよ~。一緒に遊びに行こうよ~。こんな小難しい話つまんないでしょ~?」


そう言って幼女組を部屋の外に連れ出す。

扉が閉まると龍はため息をついて言った。


龍「…あれも我が守るべき者の一人だ。我とあれとは一心同体故にな。」


それを聞いた卯月がうなずいて言う。


卯「わかった。それらを一ヶ所に集めろ。その周辺を防衛ラインとする。」


――――…


魔物たちの闘志は最高潮に達していた。この戦争で大河は彼らのものとなると誰もが信じている。


森の中にある各種族の拠点から歩くとこ数刻こくついに森が開け、彼らの目前に大河が広がった。


と、河のほとりに人影がいた。


すわ河の主の手勢だ、と先頭にいた大鬼数体が襲いかかる。


人影に走りより、飛びかかろうとした瞬間


「ひれ伏せ!」


人影の声と共に、先行した大鬼たちは皆地面に倒れ伏す。


「この世に幼女がいる限り、俺の正義は終わらない!幼女に害をなす者たちよ!まとめてかかって来い!俺はブラックオニキス!幼き者の平和を願う者なり!」


過去に例を見ないノリにノった名乗りをあげるオニキス。

戦争がはじまった。


――――…


遂に始まった白河攻防戦。オニキス、エメラルド両名は圧倒的な強さを見せる!


次回『白河戦』


江「思い出の温かさに包まれて~。」

ありがとうございました。

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