川底
遅れました。
川底
龍に誘われたが、そのままついていくわけにはいかない。
エ「アタシもオニキスも水中戦闘系の改造はされてないわよぉ?」
オ「流石に水の中じゃなぁ…」
機能は強化されているが、限界はある。
しかし、それを聞いた龍が言う。
龍『何を言っている、黒き断罪人。水の精を連れているではないか。さぁ、早く来い。我も長く城を開けるわけにはいかないのだ。』
卯「ふむ、水の精とは随分万能なのだな。」
オ「センちゃん、そんなことできるの?」
鬼たちに何か言っていたセンが振り向く。
セ「お前たちを水の中に連れてけばいいのかー?そんなの簡単だぞー?」
水脈探知、バイリンガル、スキューバ。水の精は万能である。
――――…
エ「この河ってこんなに深いのぉ?」
龍『大陸でもっとも大きい河だ。浅い大河などこけおどしの張りぼてだろう。』
龍に続き、河を潜っていく一行。行けども行けども底につかないことに不安を覚えるが、龍にとっては普通の深さらしい。
オ「ところで、センちゃんはさっき鬼たちになんて言ってたの?」
暇なのかオニキスがセンに聞く。
セ「んー?河を汚さないようにって言ってたんだぞー。あと、龍にちょっかい出さないようにって言ったんだ。」
オ「…完全に鬼たちのこと忘れてた!センちゃんありがとう!」
セ「ふふん!センはお前たちより賢いからな!当たり前だぞ!」
水中だと言うのに器用に胸を張るセン。オニキスはどうにかして鼻血をおさえていた。
と、龍が言った。
龍『黒き断罪人、それに水の精。そろそろ我が城につくぞ。』
エ「やっと泳ぎ終わるのねぇ…あれぇ?城の中も泳いで移動するのぉ?」
ほっとしたエメラルドだが、すぐに顔をしかめる。
しかし、龍の次の言葉に安堵する。
龍『なに、心配は無用だ。我も城の中では汝たちに近い姿になる。この姿では幾分か大きすぎるのでな。』
――――…
龍『ほら、あれだ。我が城へようこそ、黒き断罪人、水の精、そしてその仲間たち。』
龍が顎をしゃくる先には巨大な中華風の城があった。
更に進むと門の前に出た。
?1「おや、お帰りなさいませクア!」
?2「そちらの方たちはお客人クェ?」
菜「…河童?」
門の前には二人(二匹?)の河童がいた。
龍『この者たちは我の配下だ。詳しいことは後で説明しよう。』
河1,2「「お入りくださいクア!」クェ!」
そして門が開かれる。そして
龍「改めて、ようこそ、我が城へ。歓迎しよう。」
オ「アンタ、龍か?」
龍「いかにも。言っただろう?我も汝たちに近い姿になると。」
そこにいたのは壮齢の男。
龍「さぁ、ついてくるが良い。我の妻と子を紹介しよう。」
――――…
?「お帰りなさいませ、龍主さま。お客人方もようこそお出でくださいました。私は龍主さまにご寵愛を頂いております、睡蓮と申します。」
しばらく廊下を歩いていると、一行の前に一人の女性が現れた。
龍「これが我が妻、睡蓮だ。睡蓮、我らの子はどうだ?」
睡蓮|(以下蓮)「えぇ、龍主さまがお帰りになられましたので、水も綺麗になりました。」
ニコリと微笑み、睡蓮が言う。
卯「水が綺麗になった、とは?」
龍「ふむ、一先ず部屋へ案内しよう。話はそこでする。」
龍が廊下を進むのに一行はついていく。
――――…
一際大きく、豪華な部屋で対面に座る卯月、菜真理、オニキス、龍、睡蓮。
エメラルド、セン、ブリキは城の探検にいった。
卯「さて、全て説明して貰おうか?状況が何も分からない。」
菜「なにをしようにも情報がなくては。」
オ「…俺は卯月さんたちみたいに小難しい話を聞くのはあんまり好きじゃない。娘さんの様子を見てきてもいいか?」
卯月と菜真理からじっとりとした視線が送られる。
龍「ふむ、それも良いだろう。睡蓮、案内して差し上げろ。」
蓮「わかりました、龍主さま。さあ、黒き断罪人さま。我らの子の間へお連れします。」
――――…
睡蓮に連れられて子供部屋に向かうオニキス。
オ「アンタたちの子供は無事なのか?鬼が河に毒を流していたようだが…」
蓮「はい、龍主さまのお力で河の水は綺麗になります。」
オ「俺はあまり魔法とかには詳しくないんだが…その『お力』ってのはなんなんだ?龍ってのは浄水機能があるのか?」
睡蓮が言う。
蓮「いえ、そうではございません。龍主さまはこの河の主であり、力ある水龍であられます。その二つを備えられている龍主さまだからこと、お出来になるのです。水を穢れから清める、清浄の力でございます。」
ある部屋の前で睡蓮が立ち止まった。
蓮「ここが我らの子の間でございます。お入りくださいませ。」
オニキスが顔をしかめる。
オ「警備も何もいないのか?話はわからないがあまり穏やかな状況ではないだろう?」
蓮「ここに来るまでにはいくつも結界がございます。断罪人さまも私と一緒でなければ通り抜けることはおできになりませんでした。」
微笑みながらそう返し、睡蓮は部屋の扉を開いた。
蓮「ここが我らの子の間、そしてこれが我らの子でございます。」
睡蓮が指差した先にあったのは
オ「卵か…」
そう、卵であった。
オ「近づいてもいいか?」
蓮「ええ、勿論。我らの子に祝福を授けてやってくださいませ。」
睡蓮の許可をとり、卵に近づくオニキス。
オ「…うん、しっかりした命の雰囲気を感じる。毒の影響は無いみたいだね。」
蓮「おや、そちらが断罪人さまの本当の喋られ方なのですか?」
オ「本当の、というよりは今までが緊張していただけなんだ。大掛かりな罠かも知れなかったから。」
そして卵に向き直る。
オ「…俺がいた世界じゃ祝福なんて眉唾物だったけどね。ここじゃ本物になるのかな?
…君は凄い龍の娘さんだ。将来は大変なことになるだろう。でも、俺は君の将来は君がなんとかすると思ってる。だから、願うのは1つだけ。君が美しく生まれて、美しく育ってくれますように…。」
卵に手を当て、目を瞑るオニキス。
と、オニキスの手から光が発せられた。蝋燭の光のように暖かく、穏やかな光、それがオニキスの手から出、卵に入っていく。
もっとも、オニキスは目を瞑っていて、知らないのだが。
それをみた睡蓮が感動に震える声で言う。
蓮「あぁ、私も龍主さまも暖めることができなかったのに…決して油断しない冷静さに、この暖かな祈り。あぁ…」
その目には涙。
その場の時が止まったように二人はしばらく動かなかった。
――――…
オニキスの脳内では…
(卵かな、とはおもってたけど…でも、龍も人化できたんだから、この娘も出きるはず。鱗ロリ、角ロリ、尻尾ロリ、ハ虫類ロリ…全然いける!睡蓮さんも綺麗だから…絶対美ロリだな!
あ、でも一応神頼みってことで…)先の祈りに続く…。
――――…
龍の城に入った一行。卯月、菜真理は龍から、オニキスは睡蓮から現状の危うさを聞く。そしてそれを聞いたオニキスたちは…!
次回、『知恵』
龍『汝らに大河の祝福あれ!』
ありがとうございました。




