01.
「ヨロシク」
今まで忙しすぎる彼と会わなかったけれど、この日初めて紹介されて会った日は、七夕の日だった。
少しずつ少しずつ時間を掛けて仲良くなった大切ななくしたくない友達に紹介された。
温和で優しい彼女の恋人だけあってとても素敵な人だった。
出会った瞬間は、そんなことなかったんだ。
だけど、初恋の人を思い出すような溢れんばかりの眩しい笑顔で握手を求められた瞬間、心を鷲掴みにされてしまった。
こんなことになるなんて。 その人は、間違いなく、なくしたくない、と思っている大切な友達の彼なのに。
最初から勝目のない恋だと知りながら好きになってしまった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
あの日以来、彼は、私達いえ、恋人である夕貴の側にいる。
ただ、それだけなのに、自分がどんどん惹かれて諦め切れなくなっていくのがわかる。
目の前にいるのに掴みきれない恋だった。
しかも、二人の仲の良さを目の当りにするから胸が張り裂けそうに痛む。
それでも、溢れだす想いを無理矢理閉じ込め、彼らに必死に取り繕い、うその笑顔を向けていた。
気付かれてはならない恋心。
だけど、当たり前だけどあの眩しい笑顔の先には、何もない、と知っていてなお、気持ちが勝手に募っていく。
恋人の友達に優しくしない彼などいないだろうに。
そうじゃない彼だったら好きにならずにすんだかも知れないけれど。
でも、それは、彼であって彼じゃない。
わかっているはずなのに、この想いが苦しい。
わかっているはずなのに、この想いが醜い。
わかっているはずなのに、ただ、ただ、諦めきれないままに日々は、過ぎて行く。
こんなに人を好きになるなんて思わなかった。
それが友達の彼だとしても。
◆◇◆◇◆◇◆◇
そうして、過ぎて行く中でいじめがエスカレートし始める。
もともと夕貴の親衛隊に目を付けられていた私は、軽いいじめにあっていた。
だけど、その上で松平まで側にいて、私は、目の上のたんこぶ状態。
きっと仲睦まじい恋人(学校公認)である二人の邪魔者というなの排除だ。
「ごめん、忘れ物したから行ってくる」
放課後、もう後は、校門を出るだけ、という所で忘れ物を思い出した私は、夕貴たちと分かれて一人になった。
何か夕貴が叫んでいたようだが早く行かなければ、と帰りだということもあり、かなり油断していた。




