表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

1

このお話は詰めてみました。

見にくかったらすいません。

 

「ぎゃあああああっ!! た、助けてエール﹏﹏﹏﹏﹏﹏っ!」


 機能の多いキッチンの前で悲鳴をあげているのは夏希。焦げ茶色ショートヘアが後ろの方で立っていて、夏希が動く度にぴょこぴょこ揺れていた。シンプルなTシャツとジーンズの組み合わせの上からエプロンをかけている。手には赤い綺麗なフライパンが握られていて、黒い炭のような塊を中心に炎が燃えていた。

 水道に置いて水で火を消せばいいことだというのに、何を思ったか夏希はフライパンを火がついたままのコンロの上に放り投げた。そして裸足で走りながらリビングのドアを開け、階段を勢い良く登ると階段登ってすぐ近くの部屋の扉を叩きまくった。


「エール――――! ちょっと起き――」


 叩きながら声を張り上げる夏希の声を、迷惑そうなエールの声が遮った。


「うるさい! こんな朝っぱらから……! 何なんだ!」


 二階の廊下はTを左に90度回転した形になっていて、標準のTの横棒がこの廊下だ。廊下の奥の壁には、秒針の規則正しい音が聞こえる時計が掛けられている。夏希が時計を見上げると、針は五時十五分頃を指していた。因みに五時は五時でも午前だ。


「分かっただろう? 睡眠妨害で訴えるぞ」


 何でこれだけで訴えられなきゃいけないのよ! と内心思いつつ、慌ててエールを引き止める。


「ちょ、待って!」


 ところが部屋からの反応は無し。無視されているのだろう。このままだと大変な事になりそうだったので、夏希は切り札を使うことにした。


「そっか、この家が家事になって、新しい家を買う! ことになってもいいのか!」


 “買う”を強調し、挑発するように言った切り札はかなりの効果だった。

 言ってから二秒くらいで、エールは自室のドアを思いっきり開けた。当然、ドアの真ん前に立っていた夏希は顔面にドアが当たって後ろに倒れてしまった。

 そんな夏希に見向きもせず、エールは震えた声で言った。


「……特、別だぞ……! 何で呼んだんだ!」


 夏希は顔面に当たった痛さを我慢しながら、視線を泳がせた。


「……フライパンから火が出てきちゃってさ」


 その瞬間、エールは目がこれでもかと言うくらい大きくし、上からさぁーっと青ざめていった。夏希がその時のエールの顔が可笑しくて笑いそうになってしまったのは内緒だ。


「それを早く言えっ! 燃えたらどうするんだ!」


 エールは階段を三段飛ばしで駆け下り、走りながらリビングのテーブルの上にあったペットボトルを手に取る。夏希はその後を慌てて追いかけた。フライパンが放り投げてあったコンロの前に立った時にはもうペットボトルのキャップか外れていて、エールは躊躇いながらもペットボトルの中身をコンロに振りかけた。ペットボトルから放出したオレンジ色の液体、もといオレンジジュースは、オレンジ色の炎を肉でも焼くような音で消してていく。すっかり炎が消え、フライパンには黒い炭のような塊が残る。もう何だったのか分からないくらいだ。

 

 エールは握っていたペットボトルを水道に放り投げ、リビングのソファに腰を下ろした。

 さっきは急いでてじっくり見てくる暇なんかなかったから見れなかったけど、寝起きのエールもまた美しい。

 付けまつ毛はしていないと言っていたが、付けているように長い。黒髪が外に出たことが無いのかというかくらいの白い肌に冴え、着ている薄紫色のネグリジェがマッチしている。高級感のある布地で、レースやリボンもあまりない。胸元に黒い小さなリボンと黒いレースがあるだけだ。綺麗な黒髪のエールに、そのネグリジェはとても良く似合っている。着せ替え人形でありそうなくらいだ。


「ハァ…………」


 エールの暗い溜息で夏希はハッと我に返り、慌ててエールに声を掛けた。


「お、おつかれ、エール! ……あのー、ごめんな、さい……」


 自分のしでかしてしまったことがどれだけ大変な事だったのかを改めて考えると、テンションは下がっていくばかりだ。肩身が狭い。


 夏希の申し訳無さをよそに、エールは全く違う事で悲しんでいた。


「いいんだ、別に……オレンジジュースはまた夏希に買ってきてもらうから……」


 (そっちか!)

 エールも暗いし、夏希も家事未遂を犯した身なので突っ込みは敢えてしなかった。

 というかエール、どんだけオレンジジュースが好きなんだ? 大人並みの凄い人っぽいのに、変なところで子供みたいになる。

 決して言い訳ではないが、夏希はこんな事になった理由を説明することにした。


「ほんとにごめんね、エール……。あたし、エールの家に泊めてもらってるんだもん。何か役に立ちたいと思って朝ご飯を作ろうとしたんだけど、失敗しちゃって……」



 今の言葉を聞いて、単なる友達同士のお泊り会だと思った人も多いだろう。そこで、昨夜の事をお話しよう――――――――――。



タイムスリップ、始まりました。

最初から慌しくすいませんね(笑)

ちょっと場面が移り変わったりで、意味が分からなくなってしまったら申し訳ないです。

感想やアドバイス、ポイントを入れただとか、お気に入り登録しただとかのメッセージをくれると嬉しいです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ