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妖の食欲は底知れない。

前半は真視点です。

後半から一夜視点になっています。

性的描写が少しあります。苦手な方はお気をつけ下さい。

「貴方達、よく食べるのね」

日本の成人男性の軽く五倍はペロリと食べ尽くす。

圭ちゃんまでもが私の倍は軽く食べてるから驚き。


「どーした真。全然食べて無いな。」

「いやいや、これが普通だから」

「姫様、遠慮せずにどんどん食べて下さいね。」

炊飯器の隣に座り、茶碗を出せ出せと笑顔でしゃもじを持つ圭ちゃんを私は本当に怖く思う。

圭ちゃん…私…三杯目。

既にげぷっと喉を鳴らしており、お腹がいっぱいだとぐーと腹も鳴る。


やばい…この人達、並の食欲じゃない。

「私、そろそろお風呂に入ってこよーかな。」

「あっ、では沸かして参ります。」

いよっし!これで小さな悪魔は少しの間帰って来ない。

と、思った数分後。

「梨が有りましたので切って参りました~」

はやっ!

「け、け、圭ちゃん…お風呂って火を起こすんじゃ…」

「え?姫様の家はボタンをポチッと押すやつでは無いのですか?今、自動で湯が入っております。」

かっ、活気的!!くっ、私…妖を舐めてたわっ!

「もう10分程度で湯が入りますので、それまで梨をどうぞ。」

「ありがとう」


梨の瑞々しい音が響く。

「そういえば、どうして皆此処で住んでるの?各妖の中で偉いんでしょ?」

シャクシャクシャク…

「確かに我らは偉い妖だ。この屋敷は巫女と共に暮らす為に作られたもの。よって、皆此処で生活をしている。1人従仕を連れてな。」

淡々と琥珀が話す。

「へぇ~だから私も此処で暮らすのか。」

「それだけが理由じゃないぞ。この屋敷は部屋一つ一つが厚い壁で出来てる。つまりだ…何に便利だと思う?」

一夜は不敵な笑みを見せ私に問題を出した。

「ん?敵から身を守る為とか?」

壁が厚ければ厚い程、侵入とか壊すのが出来ないから便利だ。

「それもあるがな、1番は巫女の喘ぎ声が外に漏れない様にだ」

「ぶーーーーーーーーっっっ!!!」

一夜は品の悪い笑みを見せ梨を一囓(ひとかじ)りし、私は思ってもみない答えが返ってきて思わず吹き出してしまった。

な、な、な、なんて言う屋敷なんだ!それしか頭に無いのか妖は!特に一夜はこの妖の中でも1番エロい!気を付けなければ…

と、思いながら吹き出した物を布巾で掃除する。

ピロピロリン…リンリーン!ドガシャーン!

「おや、姫様。そろそろ風呂が沸いた様で御座います」

「あっ、はい。じゃあ、入ってくるねー」

若干最後の音色に違和感を覚えたが伏せておいた。


席を立ち風呂場へ行く。

「やっぱりひっろい屋敷だなぁ~迷いそう」

パタパタと足を運ぶ。曲がり角を六つ程、右に曲がるとお風呂があった。

「見つけた。」

脱衣所に入り服を脱いで行く、結構綺麗で浴槽は凄く広かった。

「すっごー」

湯の中には柚子が浮かんでいて、いい香りがした。ついつい鼻歌を歌ってしまう程に。

「ふんふんふーん~きっもちいな〜…誰!?」

脱衣所の扉を開けた音がした。

私以外女の人はいない筈なのに。かと、すると覗きか?いや、私だろ。ないない。自分で言って落ち込む。だが、本当に私以外男なのは事実。だとすると…

「はっはっは~堂々と覗きに来るやつは何処のどいつだ?ん?」


私は右手を直ぐに叩けるよう準備をし、脱衣所の方へふらふらと歩く。

脱衣所と風呂場を繋ぐ扉を豪快に開け、堂々と覗こうと思ったやつの顔を拝見する。

「えっ?」

顔を見てみると、涙目な……狐?

何だか狐の上等な毛皮になりそうな艶の良い白銀の毛。口には着物を咥えている。

「そ、そんな剣幕で何晒しとんじゃボケぇーーー(いた)っ!」

涙目になっている狐が突如、何処から現れたのか分からない圭ちゃんに殴られた。

「申し訳御座いません。姫様。この者の躾がなってないようで…」

圭ちゃんはニコリと笑んでしゅんっとした顔を見せた。

圭ちゃんの狐を殴る時の容赦の無さが少し、怖いと思ったのは内緒。


「圭ちゃん。この子は?」

「はい。狐の琥珀様の従仕です」

「えぇ!!」

意外だ…もっと圭ちゃんみたいなちゃんとした子を連れて来る方だと思ってたんだけど。

「俺は琥珀様の従仕の陸や、よろしゅう姫さん」

軽い感じの挨拶をした陸くんの次に起こることは何と無く予想が付く。

「いった!自分何するん」

圭ちゃんはやはり陸くんを殴り、私の方に振り返った。

「申し訳ありません。陸殿は初めきちんとした従仕だったのですが、ある日大阪に行ったときを境に変わってしまいまして…琥珀様にも『容赦無用。言葉遣いが戻るまで従仕としての言葉遣いを正してくれ』との事なので細やかながら私が監督をさせて貰っております。」

ぺこりと頭を下げた圭ちゃん。本当、よく出来てる子だなぁ。

感心する。

「あっ、姫様。此方に着替えをご用意致しましたので」

圭ちゃんに渡されたのは着物。

「ありがとう。それじゃあもう少し浸かってから出るね。」

「ごゆっくりどうぞ」

圭ちゃんは頭をぺこりと下げて静かに…陸くんを引きづりながら出て行った。





*****





最初に会った時から分からない女だった。

最初は丁寧な言葉遣いでかと思ったら変な言葉を言ったりと、顔や行動が全く予測出来ない女。

それでも物分かりが何かといい。かと思ったら抜けていたり…本当に分からない女なのだ。


この女と出会ったのは寝坊が原因。たった少し寝ようと皆とごろ寝していて、それが本寝になっただけ。

誰にでもある事だ。

只、その時に俺たちは確かに目覚ましをセットしていた筈なのに、目が覚めたら目覚まし時計は粉々になっていた。

どんな奇妙な事件だ…と人間なら言うかもしれない。だが俺たちは妖。こんなことは容易に出来る。

俺は何と無く犯人が分かる。犯人は無自覚だろうけど…犯人は目覚まし時計の近くにいた俺たちの中で1番寝相の悪いーーーーー庵だ。

彼奴の寝相は溜まったもんじゃない。

これはちゃんとした証拠もある。それはまだ寝ている庵の手に目覚まし時計の壊れた破片が付いていたからだ。

だがそれを庵に言っても意識の無い自身がやったことは全くもって全否定をするから諦めたのだ。

だが、それでも寝坊したのは庵のせいなので最初に会った真の前で叩かせてもらった。すっきりした。

真は意外と純情で直ぐに顔を赤くする。

巫女って言ったら黒髪の妖艶だと聞いたのだが、真を見て少しショックだった。黒髪は合っているし顔もそこまで悪くないが妖艶ほどではない。

だからだろう。最初に少し貶してしまったのは。

だがそんなのは真が風呂から出たときには考えを改めた。




「次どうぞー」

真が風呂から出て次に入れと即す。

「真…なんて格好してんだ?」

そう思ったのは俺だけでは絶対ないと思う。

真の今の格好は浴衣を緩く着ているだけで、髪もきちんと乾かしていない。濡れた髪はより何時もより艶やかで、頬が桃色に染まって程よく鼻を(くすぐ)る香りがする。

その姿は妖艶と言っても何の疑問も無かった。

あれだな。真は化粧を施してないからあまり妖艶に見えなかったのか?

今の様に程よく頬を桃色にして、遊郭の着物でも着て遊郭へ行けば男がわんさか寄ってくるに違いない。

俺なら一発で指名するな。血筋とか関係無しに

そういうことを悶々と妄想紛いしていると真の声にハッとした。


「一夜、何処が変なのよ」

真は自身の体を見回して変な所を探している。

どうやら俺が言った『真…なんて格好してんだ?』の一言を、『変な格好』だと解釈したらしい。ふっ、可笑しい女…

俺が密かに笑ったのを見逃していなかった真は俺に詰め寄ってくる。

「ちょっと、言われなきゃ分からないでしょ!」

「じゃあ言ってやるよ。真…誘ってんの?」

ぽかーーーーんと、真がフリーズした。

「髪はきちんと乾かしましょうね」

真の濡れた髪を数本手に取ってキスを落とす。

俺のその仕草でフリーズから我に帰ったのか、真は顔を真っ赤に染め怒った。

真から逃げる。止まったら殴られるからだ。

俺は密かに笑った。

こういう毎日も悪くない。と…





少しエロい一夜ですが恰好良いときもあります。

圭ちゃん…意外と鬼畜性質が書いてて出来上がっちゃいました。

お気に入り(ユーザー)登録、有難う御座います。

増える度に嬉しい気持ちでいっぱいになります。

どうぞこれからも宜しくお願いします。

テスト週間なので、一週間程、更新が遅れますことご容赦下さい。

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