表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

ヤらせろは無いね。うん

妖って惚れ惚れしますよね。

血の描写があります。苦手な方はお気をつけ下さい。


妖、妖怪…現代日本では最早信じている者は居ない存在。


だが、日本の古くからある山奥…人があまり来ないそこには大きく立派な屋敷がある。そこには1人の女を守る4人の妖が住んでいた。


「何でこんなちんちくりんな(わらべ)になってんだ?寝過ぎたんじゃねぇか?」

「僕だって知りませんよ。当たらないで下さい。」

「誰だよ。目覚まし止めた奴。」

「とにかく、この童のような女子(おなご)を守らなければならないという情けなさの方が重要ではないか?」


と、重い溜息を零した白髪に銀が少し混じっている男性。

な、なんなの?

急に目の前に現れてきた和服の男性集団に酷い言われようの私、(ひいらぎ)(まこと)。どうしてこんな顔の整い過ぎた和服美形達に白昼こんな道路の真ん中で貶されているのだろう。

っていうか、守るとか何?いまいち内容が掴めない。


「あのー、私に何かご用でしょうか?」

「随分と口調が変わったな。桜」


私の言葉を遮り黒髪黒目の美形男性が此方を振り向いて私じゃない誰かの名前を言った。

それに私は首を傾げる。


「桜?」

「お前、柊桜だろ?」


え、まっまさか。

「それって、桜お婆ちゃんの事ですか?」

桜お婆ちゃん。昨年の春、桜が満開の風景が見える病室で、眠るように息を引き取った。103歳だった。

桜お婆ちゃん…いつもいろんなお話を聞かせてくれたな。桜お婆ちゃんのことを思い出し、ホロリと涙が出そうになる。


「なんだ?桜に孫ができていたのか?」


黒髪黒目の美形男性は顔付きが険しくなった。


「それで?今桜は何処にいる。」

「桜お婆ちゃんは…昨年、亡くなりました。」

「っっっ、どうした事だ。…お前、一つ聞いても良いか?」

黒髪黒目の美形男性の一言に周りの美形男性達が止める。

「やめろ、それを聞いてどうする!」

「掛けだよ。お前、この世に妖怪を信じるか?」

至って真剣な表情に私は戸惑った。

アレを話してもいいのか。と…


「信じるざるを得ません。体質ですから。」


私の体質…それは、空想、妄想とこの世に居ないとされている妖怪と言うものが見える事だ。

現に今だって、私から右端の電柱の影に黒の小さい翼を持った子供が見える。私は右端に視線を向けると、その子供と目が合った。やばっ、と身を強張らせる。と、いつもなら金縛りにあうというのに体の自由が効くことに驚いた。


「決まりだ。」


黒髪黒目の美形男性は急に笑ったと思えば想像のつかない一言。そして私の腰を持ち上げ男性の肩に担がれる。

何が決まりなの?この体勢は何?


「ちょっ、話して下さい!急に何をするんですか!」

「少し付き合え、話はその後だ。」

何故か逆らえなかった。


担がれること10分程度。此処、何処ですか?私、さっきまで都会の道路に居た筈なのですが、たったの10分程度でど田舎の田んぼ道を歩いている。

そのまま何処かの山奥へ深く入り込んで行く。

待って、私やばくない?

私の脳裏には明日か明々後日(しあさって)の新聞に女子高生、山奥で死体で発見!が浮かんだ。

「あ、あの、何処まで行くのでございましょうか」

私の問いにこの美形男性達は答えない。

段々と焦りが込み上げ、後悔の二文字が浮かぶ。どうして黙って担がれたまま大人しく従ってしまったのか。叫べば直ぐに警察が駆け付ける場所だったのに。

あぁ、さよなら女子高生ライフ、こんにちは久しぶりだねお婆ちゃん。

そういえば、この人達お婆ちゃんを知っている風だったな。

私が男性の肩で百面相をしていると地面に降ろされた。

はぁ、私の人生も此処で終わりか。暴力も性的暴行もせめてやられず、やるんなら一発で終わらして欲しい。

そんな覚悟を込めて相手の美形な顔達を見る。

「何してんだ?着いたぞ此処だ。」

え?相手の美形男性達は私に何もすることは無く、は?という風な顔で私を見てくる。


…………………はい。私の被害妄想でした。ごめんなさい。

声に出さず脳内で悪者と決めつけてしまった美形男性達に声に出さず詫びの体勢に腰を折った。

「早く入れっての」

………はい。

辛辣な黒髪黒目の男性が指す『入れ』という場所に目を向けると、そこには何とも和風で大きい屋敷の入り口である門があった。

成る程、この美形集団は良いとこの坊ちゃんか。

私は恐る恐る屋敷の中に入ると白い砂利が敷かれている豪華な庭が広がっていた。

古風な池もあり池の中には錦鯉が華麗に泳いでいる。

「き、れい…」

漏れた感嘆の言葉。白い砂利は川の様に流れていると錯覚させる程芸術的だし、耳を傾けると落ち着いた水の流れに、澄んだ空気。現代の二酸化炭素にまみれた汚れた街で暮らしていた私には此処は綺麗過ぎと言っても過言では無い。



長い廊下を案内されるまま、ある一室(和室)へ通された。

部屋に入ると(たたみ)独特のい草の香りがし、座布団が敷かれそこに座らされる。

次々と美形男性達も座布団の上に座っていく。

「よし、では話を始めるか。

先ず、お前の妖怪が見える体質は遺伝だ。桜のな。現にお前の母親は見えないだろう。」

凄い、当たってる。よく私の体質が妖怪が見えることと分かったな。まぁ分かるように言ったんだけど。


「単刀直入に言おう。お前の先祖は我らの主であり、巫女だった。巫女の力で我らは最大限の力を発揮することが出来るんだ。」

「私にそんな力なんて…」

「あるんだ。お前のキスで我らは力が出せる。協力してくれ」

え…え?

「キ、キス!?協力も何も無理ですよ!出来ませんそんなこと!」


私の力は相手にキスをすることで相手の力を発揮させることが出来るなんて…好きでもない相手にキスなんて出来るわけないだろがー!


すると、今まで黙っていた白髪の男性が会話に入り込んで私を見た。

「これでも妥協しているつもりなんだよ。僕たちは。本来なら身体を繋げることで最大限の力を発揮させる事が出来るけど、急にヤらせろって言っても困惑すると思ってね。キスなら少しばかりのエネルギーを送ることが出来るからこれでも、凄い譲歩なんだ。」

「かっ、つ!?」

身体を繋げる!?と言いたかったがそんな事、口に出来なくて詰まる。

「~~~~~っっ、とにかく、私は帰らせて貰います!」


バンッと立ち上がり足早に門を出ると、ザシュッと首が切れた音がした。

「ひっ…な、何?」

思いの他深く切っていたみたいで生暖かい血が首から胸へとドクドクと伝っていく。

【キキキキキキキキキキキキキキ…浅過ぎてしまったか…失敗失敗…】

高い木の幹から不気味な声が聞こえた。その次の瞬間木の幹にいた黒い妖怪が辺りに響き渡る惨い声で砂になった。

直ぐに黒髪黒目の男性がやったことだと分かる。

どうやったのかは不明だけど。

「お前はアノ巫女の血を引いている者。それをよく思わない妖怪共がお前を殺そうとあらゆる手段を使ってやってくる。俺たちの近くにいれば危険は無い。さぁ、どうする?」

「貴方達の性で危険にされてるんでしょ!」

「だが、俺たちが居ないとお前…死ぬぜ?」

「っっ!…分かりました。」


私は渋々了承した。

「よし、じゃあお前も此処で暮らせ。」

突如言われた言葉に素っ頓狂な声をあげてしまう。

「1人暮らしだろ?近くに居た方が俺たちも守りやすい。」


「そ、そんな急なこと言われても」

「死にたいの?」

白髪の男性の冷たい一言。

これは…もう脅しだーーーー!

「分かりました。」


「じゃあ、詳しい話があるから一旦、さっきの部屋へ入って。」

そう言われるまま先程いた部屋へと戻る。

皆先程と同じ位置へ座り、少しこの美形集団の中では小さい方の男性が『詳しい話』というのを話し始めた。

ヤった後、無限の力を発揮できるんですが、その効力は一週間だけ。

そう何週間も何ヶ月も続くとダメかな、と思い一週間にしました。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ