戦線崩壊
開き直れ、うん
夜が開け、空は明るくなり始める。
他の拠点とも連絡を取り合っていたが、結局何処にも増援は来ず、只ひたすらに『現状維持』、と指示が来るだけだった。
ランド「こちらランド。未だに敵影は見えず、警戒続けます」
ランドはいち早くギガンテスに乗り込み、敵襲に備えて見張りをしていた。
ランド「オライオのみんなは大丈夫だろうか・・・」
今は連絡が取れない『仲間』の安否を気遣う。
ランド「不味いっ!・・・見張らないとな」
自分に勝をいれながら、ランドは雪の大地を見渡して行く。
ランド「ん?・・・げ、ゲイル大尉!前方、敵影3!」
ランドは、前方に敵を発見してしまう。
3機という数と、他に動きが無いことから、偵察だろう。
ランド「撃破します!!」
ランドはマシンガンを捨て、傍らのライフルを構えさせる。
スコープを覗き込むが・・・
ランド「くそ!距離が・・・」
このスコープの倍率では、敵が居る位置はうまく見えないのだ。
ゲイル『ランド!待て!』
ゲイルが指示をしてくるが、
ランド「・・・やります!!」
スコープを覗き込み、小さな敵影を中心に昇順を合わせる。
ランド「そこだ!あたれえ!」
「パァン」
ライフルの音があたりに響き、弾が敵に向かって飛んでゆく。
が、その弾は無情にも明後日の方向へ飛んでいってしまう。
ランド「しまった!」
やばいと思ったその時には敵の弾が高台に飛んできていた
ランド「うわああ!」
あわててよけ高台から飛び降りる
ギガンテスはそのまま地面へ落下し、計器類がエラーを発している。
ランド「や、やばい・・・よかった、機体そのものにエラーはないか」
計器をチェックしている間に、ゲイルから通信が入る。
ゲイル『馬鹿が!待機しろと言った筈だ!』
ゲイル大尉はご立腹なのか、大声でまくしたてる。
ランド「け、けど、機体は無事でしたし、レーダーを見る限り敵は撤退しました!」
黙っていれば良いものを、つい言い訳してしまう。
ゲイル「今回は良かった。だがな、もし敵と立場が逆なら、部隊の仲間全員を危険に晒すんだぞ!目の前の事だけで考えるな!別の視点で考える柔軟さが無かったら・・・次は死ぬぞ」
ゲイルの正論に、ランドは声をあげる事すら出来ない。
ゲイル「これも糧にしろ。受け入れれる大人になれ」
ランド「はい・・・了解しました!!」
ゲイル「よし、全機配置につけ、敵さんが流れ込んでくるぞ!!」
連邦兵士「「了解!」」
ゲイルの一言で、場の雰囲気がガラリと変わる。皆士気が高く、負け戦だとは、到底思えなかった・・・
14時20分
アトラス機構、総攻撃を開始
降り注ぐ迫撃砲と弾丸。圧倒的な戦力差は、戦闘開始僅か3分でユーレスタ側を壊滅寸前へと追い込んだ。
連合兵士「2ー4、3ー2大破!」
通信がゲイルに入る。
ゲイル「右翼に援護を、シールド1ー2、向かってくれ!」
ゲイルが素早く指示を出し、何とか持ちこたえているのだ。
そんな中、俺はライフルを構え、高台に登っていた。
「バンッ」
俺は敵をひたすら無言で撃ち続けていた。
が、全くあたらない。嚇乱にはなるだろうが、撃破は未だに0だ
一発ぐらい当たってくれてもいいだろうに・・・
しかし、高台で撃ち続けていれば敵も気づき、周りにも次第に弾が届き始める。
ランド「う、うわぁっ!!ちくしょおっ!」
弾が来ない時を見計らって撃ち続ける
その間にも防衛線は破られて行く。
連合兵士「残存機残り7!維持すらできませんっ!大尉ぃ!!・・・・・・」
ゲイル「おいっ!?応答しろ!!・・・くそっ!全機持ち場にありったけの地雷を置いて、ハンガーに集まれ!」
全機に向かって、ゲイル大尉が指示を出す。
ランド「て、撤退するのかっ!?くそっ!」
地雷の代わりに、横に置いてあるグレネードの束を投げ、ランドはハンガーへと向かう・・・
ランド「うわあぁぁぁぁっ!」
塹壕の中を進むだけにも関わらず、ランドは苦戦していた。
既に戦線は突破され、敵が入り込みつつあるのだ。仕掛けた地雷も意味をなさない。
ランド「行かせろ・・・俺を行かせてくれぇっ!!」
ギガンテスの左手は既に無く、機体のあちこちがアラートをあげている。
目の前に迫る死の恐怖で、涙と鼻水が溢れる。
ランド「来るなあぁっ!!」
半狂乱となりながら、一か八か飛び出し、ホバーを前回にしてハンガーへと向かう。
背後からは弾が降り注ぎ、当たっていないのが奇跡であった。
ゲイル「回収する!捕まれ、ランドぉ!!」
ボックスがハンガーから飛び出し、こちらへ向かって来るな。
ランド「ゲイル大尉ぃっ!!」
一筋の光明に、ランドは手を伸ばし・・・ボックスの端を掴む。
ゲイル「乗れぇっ!!離脱するぞ!!」
すんでの所でボックスに機体を滑り込ませる。
ゲイル「後ろを頼む!」
手渡されたアサルトライフルを構え、後ろを振り向くと、
ランド「う、うわぁっ!」
とたんにランドは悲鳴をあげる。
・・・数十機のギガンテスが全速力でこちらを追走していたからだ。
本来なら、ボックスの機動性で振りきれるのだが、被弾しているためか、速度が思うように上がらない。
ゲイル「10分だ!10分耐えれば勝ちなんだ!」
ゲイルは叫ぶが、これは絶望的である。
圧倒的な物量差、これを相手に逃げ切れると誰が思うか。
軽く見ただけで2、30機はいる
ランド「ちくしょおおおおおお!」
後ろに向けてアサルトライフルを撃ちまくる
周りには後二つのボックスがあった。
ランド「あっちを狙ってくれれば・・・」
血迷ったのか、とんでもないことを口走ってしまう。
ゲイル「お前」
ランド「す、すいません!」
あわてて釈明するが、これは正直無いだろ。何て事を口走ってるんだ、俺は・・・
ゲイル「違うさ。俺だってそう考えたさ」
ゲイル大尉から帰ってきた返事は予想外の物だった。
ランド「え?」
ゲイル「兵士ならだれもが自分が生き残ることを考えるさ。気にするな」
ゲイル大尉が言っていることは最低の事だ。
だけど、今の俺はそれに同調してしまう。いや、それは向こうのボックスも同じだろう。
他者を蹴落としてでもつかみ取らなければならないのだ。生を
ランド「死んでたまるかよぉっ!!」
ランドは泣き叫びながら、アサルトライフルを乱射し続ける。
そして、次第に追ってきているギガンテスが止まって行く。
ゲイル&ランド「うおおおおおおおぉぉぉぉっ!!!」
俺たちのボックスのエンジン音しか聞こえなくなった。
二人は、生き残ったのだ。
周りは仲間はいない。だが、俺たちは生き残ったのだ。
ゲイル「うおっしゃあぁっ!!」
ランド「や、やったのか・・・」
ゲイル大尉は叫びながら喜んでいるが、俺は素直に喜べずにいた。
戦争だとは解っていたが、こうまでして戦い続けなければいけないのだ。
俺は胸に詰まるものを感じているのだった・・・
とりあえず、今投稿してた分は終わりました。
クオリティ?お前は何をいっているんだ?