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留置所にて
貴方は冤罪だったけれど、私を排除するどころか励ましてくれた。私は傷害未遂の現行犯で逮捕されたから仕方がないけれど、警察から名前を奪われて番号で呼ばれるのは辛かった。貴方はそれ以上に辛かっただろう。
互いの素性を隠さなければならなかったけれど、貴方は名前や経歴を私達に教えた。私も看守のいない間に教えた。
留置所は逮捕された者が二週間以内に起訴されるかどうかを待つ所だったけれど、私は名前を奪われるとは思わなかった。貴方の様な冤罪もいるのにね。
留置所では意外と優しい人が多かった気がする。私はイジメられなかった。貴方のおかげかもしれない。
私が発狂しそうになっても貴方は排除しなかった。貴方も極限状態にいたのにね。私はもっと周りを見れば良かったね。
窓の無い車で検察や裁判所に送られた時は辛かった。固い木の椅子で寿司詰め状態で五時間は待った。ここでも発狂しそうになって周りに迷惑をかけた。私と貴方は別々だったけれど、貴方も辛かったと思う。
私は二週間丁度で留置所を出て精神科病院に入院した。貴方は冤罪が分かって外に出られたと風の便りで聞いている。




