脇役1
あれ? 予定外なお人が……。短いです。そして処刑された遠回しな要因がコレです。
子供みたいな人。それが初対面から今に至るまでの一貫した印象。
人には長所も短所もある。そして見方を変えれば長所は短所に、短所は長所に成り代わったりする。
結婚前は「良い意味」だった印象は、結婚後は「悪い意味」となった。
ーーなあ、良いだろ?
ベタ惚れで甘えて強請る姿は結婚前も結婚後も変わらない。ーー出産後、否、出産直後も変わらない。初の出産後、ぐったりとしているのに求めて来た。
愛妻家。結婚後、そう評価される配偶者は確かに婚約時代からベタ惚れで、羨ましがられる事が多かった。確かに甘えて来るのも可愛かった。
けれど結婚後、互いに負担が増えたのに甘え性根はそのままならば、甘える率は高くなり、その分の負担も伸し掛かる。それを婚約時代からの延長で許して来てしまったのも悪かったのだろう。妊娠中の悪阻が余り酷くなく、我儘を許してしまったのも悪かったのだろう。
それは朝に出産、その日の夜に求められ、拒否が許されない状態に繋がった。そして数日、記憶に無い程に具合は悪化した。
ジークフリードとフェルディナンドは双子でもないのに、同じ年の兄弟だ。
苦労ばかり掛けて来る男を見ている様で、何時しか子を可愛いと思えなくなった。愛情はない。精神的に宜しくない状態だが、外聞もある、医師が付く事はなかった。
それでも王妃として、勤めがある。
例えば優秀な、王太子となる王子と年が同じ、高位貴族令嬢を次期王太子妃として確保する事である。そして其処に当人達に対する情はない。決定事項は決定事項で、それ以上でもそれ以下でもない。
だから我が子の婚約者が不貞を働こうが知った事ではなかった。周囲の認識が、微笑ましい将来の義姉弟から変わっていても気にした事はなかった。我が子が不貞されようと、我が子が不貞を働こうと、どうでも良かった。
ーーそう、漸く終わるのね……。
小さな離宮に幽閉が決まる。閉じ籠り、緩やかに時間が流れる。精神に安寧が齎される。
ーーごめんなさい、ジークフリード、フェルディナンド……。母として私は失格でした……。
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