揺れる心と確かめる勇気
「光太、顔色ひどいぞ。また夜更かしでもしたのか?」
石川 拓海が学食のテーブル越しに笑いかける。
パッと見は陽気な雰囲気だが、彼はどこか心配そうに眉を下げていた。
「まあな。昨日ちょっと、眠れなくなるようなことがあってさ」
「何だよその含みある言い方。夜な夜な動画でも見てたのか?」
拓海の言葉に思わずドキリとしながら、光太は曖昧に笑った。
「いや、まあ……そうなんだけど……あれ、授業始まるまでまだ時間あるよな。ちょっとだけ教室行く前に外の空気吸いたい」
光太はトレイを片手に立ち上がる。
拓海も気になる様子で後をついてきた。
「おい、そんな深刻な顔してどうした?また失恋でもしたんじゃないだろうな」
「失恋どころか、そもそも告白もしてないし……っていうか、これって俺の勘違いかもしれないんだけど……」
光太は大きく息を吸った。
そして小声で拓海に耳打ちするように言葉を続けた。
「昨日見た動画なんだけど……未来に激似の子が配信してて……」
「えっ、それってあの三浦 未来か?ミスコンで準優勝したって噂の?」
「そう。まさかと思ったけど……声までそっくりでさ……」
拓海はしばらく目を丸くしてから、少し照れたように首をひねった。
「そんなことってあるのかよ……でも、もし本人だったら大問題じゃないか」
「うん。だから俺もどうすればいいのか分からなくて……本人に直接聞くのも失礼だし、変な空気になるだろ」
「気になるなら行くしかないだろ。
直接聞かずにモヤモヤしてるより、確かめたほうがいいんじゃないか?」