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片思いの女子がR18動画配信をしていた件  作者: さば缶
第5章 新たな未来へ
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光太の変化、そして決意

 「光太くんって、昔からずっとそんな調子なの?」

三浦 未来がそう尋ねると、日向 光太は恥ずかしそうに頭をかいた。


「うーん、調子ってどんな?」

「その……夜更かししたり、猫背でぼんやりしてたり、あとギターのことになると目が輝くのに、普段はかなり控えめだよね」

「たしかに、光太が急に熱くなるのはギター弾いてるときくらいかもな」


石川 拓海が笑いながら横から口を挟む。

光太は困ったように肩をすくめて答えた。


「正直、俺って大勢の前で目立つの苦手なんだ。子供の頃からそんな性格でさ……姉貴にはよく“もっと堂々としろ”って怒られてたよ」

「でも、高校の文化祭ライブでは張り切ってたんだろ?」


未来が興味深そうに身を乗り出すと、光太は少し照れたように笑った。


「そこだけは自信あったんだよ。

ギターは中学から続けてきたし、自分でも好きでやってるからさ。

あのときはけっこう盛り上がって、成功して……昔はヘマも多かったけど、ああいう経験が少しは自信をくれた気がする」


 「けど大学入ってからは、あんまり前に出るタイプじゃないよな」

拓海が頷きながら言うと、光太はギターケースをそっと撫でた。


「だってさ……軽音部では何人か目立ちたがりもいるし、俺が出しゃばるのも違うかなって思ってた。それに、やっぱり怖いんだよ。

告白とか、人前でちゃんと意見を言うとか、失敗するのが嫌でさ」

「でもあんた、未来のためにはすごく頑張ってたよ」


拓海がそう言うと、未来もふわりと笑顔を見せる。


「そうだよ。私が配信のことを打ち明けたとき、光太くんが“誰にも言わない”って約束してくれたの、すごく心強かった。

普通なら引いちゃうかもしれないのに、ずっと私の味方でいてくれたもん」

光太は恥ずかしそうに視線をそらした。

「そりゃあ好きな人が困ってたら放っておけないだろ。臆病な割に、こういうときだけは突っ走れたのかも」


 「でも、おまえは臆病って言うけど、思いやりがあるところが一番いいとこじゃねえか。そこはもっと誇っていいと思うぞ」


拓海が真剣な顔で言うと、光太は少し驚いたように瞬きをした。


「行動力に乏しいところが短所でもあるんだけどさ……まあ、ありがとな。

この先も未来と二人三脚で進みたいし、やるしかないって気持ちはあるよ」

「ふふ。そういう決意表明、ちゃんと声に出せるようになったのは成長かもね」


未来がくすっと笑うと、光太は肩をすくめて照れ隠しをする。


「確かに昔の俺じゃ考えられなかったかも。

深夜に“ポルノバブ”ばっか見てたり、妄想に逃げてた頃よりは、ちょっとマシになったかな」


そう言ってギターの弦を軽くはじくと、ピンと澄んだ音が周囲に響く。


「俺、これからも曲作ったりして、未来を楽しませてあげたいんだ。

大げさだけど、自分の音楽で誰かの助けになれるなら、こんなに嬉しいことはないから」


 「そっか。じゃあ私も、これからは光太くんの音楽に支えられるね」


未来がそうつぶやくと、拓海が「じゃあさ」とにやりと笑う。


「バンドにボーカルで参加する気はないか、未来?」

「え、私? そんな特技ないよ」

「あはは、冗談だよ。でも、おまえらが一緒にステージ立ったら面白そうだろ」


光太は思わず吹き出した。

「まあ、そのうち何かの形で一緒にできたらいいな」

そんな言葉を交わす三人の姿には、ほんのりした温かさと、これからの小さな期待が混ざり合っていた。

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