夜の誘惑と見つけた秘密
「はあ……またこんな時間まで起きてるなんて、俺ってほんとダメだよな」
スマホの画面を見つめながら、日向 光太は小さくつぶやいた。
「明日も朝早いのに……やめればいいのに、つい気になっちゃうんだよ」
布団にくるまり、枕元のスタンドライトだけをつけた部屋は薄暗い。
光太はパーカーのフードをかぶったままベッドに横になり、大人向け動画サイト「ポルノバブ」を開いていた。
「何してるんだ、俺……いや、勉強もそこそこやってるし、軽音のサークルも行ってるし、これくらいはいいのか?」
画面をスクロールしながら、彼は胸の奥にわずかな罪悪感を覚えていた。
しかし、好奇心がどうにも止まらない。
「うわ、この関連動画……なんかやたらと再生数多いな。見てみるか……」
指先が軽く震えた。
サムネイルに映る女性の顔が、どこかで見た気がする。
「いや、さすがに似てるだけだろ。まさか未来がこんなことするわけ……」
光太は名前を口にした途端、自分で赤面しそうになった。
ずっと片想いしている同級生の三浦 未来と、この深夜の動画が結びつくわけがない。
頭でそう考えながらも、鼓動は早まっていく。
「クリックしたら最後、後悔するかもな……でも気になりすぎて落ち着かない」
そうつぶやきながら、彼はサムネイルをタップした。
再生が始まると、まるで釘付けになったように瞬きすら忘れた。
「あれ……声まで似てる。本当に……未来なのか……?」
カメラに向けて笑顔をつくるその女性の姿は、まるで三浦 未来がそこにいるかのようだった。
ほんの少し巻いた黒髪、愛嬌のある目元、すらりとした体型。
光太の脳裏にある未来のイメージと重なってしまう。
「いやいや、こんな偶然……でも、さすがにこれは……」
彼は息をのんだ。
普段は軽音仲間とバカ話をしているときも、どこか大人しめな雰囲気を持っている自分とは思えないほど、胸の鼓動が荒くなっていた。
「これ、本当に本人だったらどうすれば……いや、絶対に違うって……」
頭の中で何度も否定しようとするのに、映像の女性が発する声や仕草まで見覚えがあるように感じる。
光太は画面を閉じようかと迷ったが、指が固まって動かない。
彼女が笑う瞬間、未来の笑顔と完全に重なった気がして、思わず息を止めてしまった。
「やばい……これはちょっと、どう考えても似すぎだ……」
そのまま動画を最後まで見届けた光太は、スマホの電源ボタンを押して一気に画面を消した。
どっと汗が出てくる。
胸がざわついて、眠気なんて一切なくなっていた。
「明日の授業、ちゃんと行けるかな……いや、そんな場合じゃないかも」
深く息をついて一度目を閉じる。
暗闇の中、彼の心には未来の姿が焼きついたまま離れなかった。