その8 子どもは日々成長しているから次の行動は予測不可能らしい でも涼子は次にどんな行動するのかがだいたいわかる
◆◆◆ その8
「予想できるのなら、あなたが外に出て中をサポート先生にお願いすれば防げたはずじゃないかしら。」
「サポート先生に外をお任せしたのはまずかったのでしょうか。」
「そうなるわね。」
「ですが、私の体は一つしかないのですが。」
「クラスの大多数にいる場所に担任がいるのが当たり前じゃないの?。そんな基本的なこともしらないなんて、あなた本当に保育士免許持ってるのかしらね。」
「申し訳ありませんでした。」
涼子にはひたすら頭を下げるしかなかった。
「サポートさんがちゃんと見てくれる人であれば、こんなことにはならなかったのでは?」
とのどまででかかった言葉をごくんと飲み込んで再び頭を下げた。
園長はその後もくどくどと嫌味を交えながら涼子をねちねちといじめたが、子どもたちが部屋にぽつぽつと戻り始めてようやく解放された。
けがをしたレン君は念のため主任が病院へ連れて行ってくれたので、今この場にはいない。
「こんなことになるなら、この春で辞めた方がましだったかな。」
涼子はぼそりとつぶやくと重い足取りで部屋に戻った。
「あ~、疲れた。」
部屋に入ると思わず大きなため息が出た。
「明日は休みだし、どこか出かけようかな。」
涼子は子どもの今の状態から次にどんな行動するのかがだいたいわかる。でもサポート先生はわからないらしい。
こんなことは誰でもわかると思っていたが、そうではないようだ。子どもは日々成長しているから次の行動は予測不可能だというのだ。
確かに、サポート先生の言うとおりかもしれない。だけど、私だって必死にやってるんだよ。
「どうしてわかってくれないのかなぁ。」
涼子は一人で愚痴っていた。
「涼子先生~?」
呼ばれて振り返ると、そこには静奈が立っていた。
「なんですか。」
「今夜おひまですか?。」
「特に用事はないけど。」
「じゃあ、飲みに行きましょうよ。」