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その6 気にしないでねと励ましの言葉を期待したわけではないが予想以上に厳しい言葉に背筋がひんやりする

◆◆◆ その6


 偶然なのかその場に現れた園長に事の顛末を手短に話す。すると園長は、


「私は偶然お二人の話を聞いたけど、サポート先生の言うとおりだったわよ。涼子先生がトイレの件を知らないといけないと思ってこの辺りをそれとなく見張っていたらレン君がトイレに駆け込むのが見えたのよね。」


 落ち着いてみれば、園長の手にはレン君の小さな手がしっかりと握られていた。涼子は大きく脱力して、


「ありがとうございました。私が悪かったです。」

 と頭を下げた。


「しっかりして頂戴ね。こんなにトラブルが多くちゃあ、担任の交代も考えなくちゃいけなくなるよ。」


「すみません……。」

 園長はレン君を涼子に託すと、事務室に引き返した。


 ようやく昼寝の時間となり、涼子はサポート先生にお礼とも謝罪ともつかず頭を下げた。


「園長の言うとおりね。来月は私と変わってもらおうかしら。このままだと子どもがケガするかもね。」


 気にしないでね、私もサポート頑張るから、などと励ましの言葉までは期待していたわけではないが、予想以上に厳しい言葉に涼子は背筋をひんやりさせられた。


 子どもたちが帰った後、涼子は一人で部屋でぼんやりしていた。


「私、保育に向いていないのかもしれない。サポート先生の口からトイレのことを聞いた覚えはない。でも、園長は聞いたらしいし、もし、園長が見ていなかったら、レン君が外へ飛び出して事故にでもあって大惨事になっていたかもしれない。私の目が行き届かないからサポート先生は日ごろからうるさく言ってくれているのかなあ。」


 園長にも相談できず、涼子は一人もんもんと自問を繰り返していた。


「明日からまた、がんばろう。」

 そう言って布団に潜り込んだ。


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