少女の新たな決意
京真達はハードックを粛清した後、屋敷の地下牢でルシーラの妹、アイラと残りの被害者の遺体を回収して、町外れの墓地に埋葬した。
そしてルシーラは未だ、目を覚ましておらず、
宿屋の一室で眠り続けている。
恐らく許容範囲を大幅に超えた魔力を使った為だろう。
埋葬を終えた京真達はハードックが倉庫に溜め込んでいた莫大な金貨を回収してから、町の人々の協力を得て、屋敷を取り壊した。
そしてあの一件からはや一週間が過ぎ去った。
「京真さんっ!ルシーラさんが目を覚ましましたよ!」
レガリアス息を切らしながら、勢い良くドアを開けて入ってきた。
「やっと起きたか、様子は?」
肉親を突然失ったのだ、精神的ダメージも計り知れないだろう。
「ええ、ずっと窓の外を見てるばかりで…かなり憔悴してるようでしたね」
「なら俺から話をするしかないか」
京真はルシーラの部屋へ向かった。
「ああ…キョウカさん……来てくれたんですね…」
やはりと言っていいか、ルシーラの状態は酷いものだった。
「……妹の件は残念だったな…ルイスガル共同墓地に埋葬したから、落ち着いたら行くといい」
ルシーラは俯いてぽつぽつと語り出す。
「はは…私、ひとりぼっちになっちゃいました、元々両親も亡くなっていて…アイラは私の全てだった…そんな存在が突然いなくなるなんて…一体これからどうやって…何を糧に生きていけば……」
「それについてなんだが、一つ提案があるんだ」
京真の言葉を聞いてルシーラはキョトンとした表情をする。
「俺とレガリアスはこれから組織を立ち上げる、お前も俺達と一緒に来ないか?」
「えっ……」
そう、京真はルシーラを自身の組織に勧誘したのだ。
「お前も見ただろう、大切な人を無残に奪われる理不尽さを…俺はそれを変えていきたいんだ、すぐに返答しなくてもいいからゆっくり考えてくれ」
そう言って踵を返す京真だったが。
「やります…!是非やらせてください!…もうあんな…アイラ達みたいな悲劇は二度と起こしたくないです…!よろしくお願いします!キョウマさん!」
ルシーラは絞り出すように声を上げた。
「そうか、これからよろしくなルシーラ」
「ルシーラさん、改めてよろしくお願いしますっ!」
こうしてルシーラは協力者ではなく、頼もしい仲間となった。