最強の極道、協力者を得る。
京真が助けた魔法使いの少女、ルシーラと共に一行は町の宿屋を訪れていた。
「で、お前は失踪した妹を探して町中で聞き込みをしていたところヤツらに目をつけられたってことか」
京真が尋ねるとルシーラは頷いた。
「はい…妹のアイラは何も言わずに姿を消すような子じゃないのでハードックが関わってると思い奴のことを嗅ぎ回ってたら…ああなっちゃいました…」
大切な家族が突然失踪して精神的な疲れもあるのだろう、ルシーラの顔色は酷いものだった。
「ルシーラさん、アイラさんが心配なのは分かるけどこれ以上無理をしたらあなた、倒れちゃいますよ、とりあえず一旦休んで…」
レガリアスも見かねたのだろう、彼女に諭す。
しかしルシーラは辺りに響くような大声で、
「ダメなの!あの子は…あの子がいなかったら私は……」
余程心配なのだろう、しかしこのまま彼女に無理をさせる訳にはいかないので京真はある考えを思いついた。
「なら、お…私達もアイラさんについて探りを入れるから、アンタはその間休む、これでどうだ?」
俺達もこれからハードックについて調べようと思っていた所だし丁度いいだろう。
「わ、分かりました…アイラをもし見つけたらよろしくお願いします…」
「おう、任せろ」
ルシーラはフラフラとした足取りで宿屋に続く階段を登って行った。
彼女が居なくなるとレガリアスが話し始める。
「京真さん、探りを入れるにしてもどうするんですか?ハードックの屋敷に無断で入り込めるわけもないし…」
「いや、いい相手がいるかもしれない、お前この町で1番偉い奴を知ってるか?」
レガリアスは京真の投げかけた質問にキョトンとした表情になる。
「そりゃハードックじゃないですか?」
「違う、奴が来る前にルイスガルでトップを張ってた奴だ」
レガリアスはしばらく考える仕草を見せたが直ぐにハッとした表情になる。
「えーと、ハードックがこの町を支配する前は、ルイスガル商工会の会長が町長も同時に務めてたらしいですね。」
「なるほど、町長か」
それくらいの役職の人間なら奴の情報を引き出すのにうってつけかもしれない、であればすぐに動くとするか。
「レガリアス、今から会長サマにご挨拶に行くぞ、ちなみにアポは取ってないから門前払いされる可能性はある」
それにルシーラの妹がハードックの元に居るのなら出来るだけ早く動かないとな、手遅れになる前に。
「え、今から行くんですか〜?私もうお腹すいて死にそうなんですけど〜」
レガリアスは明らかに嫌悪感を示す表情をした。
また女神のサボり癖が発動したようだ、仕方ない、多少の脅しは入れておこう。
「おい、お前さっき俺のパンツ見たよな、その件に関して今ヤキを入れてもいいんだぞ?」
「ハイ!レガリアスハヨロコンデイカセテイタダキマス!イタイノハイヤナノデ!」
凄まじい迫力で言葉がカタコトになるレガリアスだったがようやく重い腰をあげてくれたようだ。
ではご挨拶に向かうか。