国際武闘大会
レガリアス主催の奇妙なショーが開催された日の夜。
キャロルは妙な声で目を覚ました。
「んむ、なんですのこの声は.....お姉様の部屋から...?」
自らの部屋を抜け出し、キョウカの部屋の前にやってきたキャロルは驚くべき声を聞いてしまう。
「やっ.....あっ...き、京真さんっ...そこ、やめっ...」
聞き耳を立てると、実に甘美な声が中から聞こえてきたのだ。
(え、こ...これって.....お姉様とレガリアスってそういう関係...なんですの...?)
なんだか気まずい雰囲気になってしまい、キャロルは逃げるように部屋を後にした。
―ルイスガル建立記念祭二日目
キョウカ達一行はコロシアムに訪れていた。
「で、今日は国際武闘大会だったっけ?一体どんなイベントなんだ?」
キョウカは無論内容は分からない為、レガリアスに尋ねた。
「ええとですね、この国際武闘大会というのは毎年、ルイスガル建立記念祭と同時に行われる大陸最大規模と言われる戦闘の大会です」
「ちなみに神聖ミカド組としては私が出場する予定」
そう言ってひょっこり現れたのは自慢の杖を携えたルシーラだった。
「お前、大丈夫なのか?その...背中の傷とか」
そう、ルシーラは一ヶ月前に帝国城でマガツの暗殺者、ナイトメアリーの手によって重症を負わされたのだ。
「全然平気、ほら背中ペロン......もう傷は消えてるでしょ?」
彼女は雑踏の中でいきなり自身の服を捲りあげて背中を見せたのだ、そこに傷のようなものはもう無かった。
「なっ、ルシーラ!?何やってるんですの!?こんな町中でっ」
しかし大勢の人々が行き交う中でいきなり素肌を晒したルシーラをキャロルが全力で止めた。
「ルシーラさんって割と大胆だったんですね...」
ルシーラの新たな一面を思わぬ形で見ることになったのだった。
「じゃあ、私はもう控え室に行くね、絶対見ててよサクッと優勝してあげるからね」
ルシーラは親指を立てながらコロシアムの選手入口に歩みを進める、その表情は希望に満ちていた。
キャロルはずっと考えていた、昨夜の事を。
(お姉様とルシーラの関係性...やっぱり気になりますわ.....)
そう、キャロルは昨夜、キョウカの部屋から漏れていたルシーラの妙な声で目を覚ましたのだ。
しかし今の二人にはそんな素振りは全く見えず、キャロルの好奇心はさらに高まるのだが、昨夜の件はただ単にキョウカがおしおきとしてレガリアスのお尻を叩いてるだけだった事をまだキャロルは知らない。
そんなことを考えてる内に、観戦席に到着した。
「え、ここってめちゃくちゃいい席じゃないですか!?」
「他に座ってる人なんて見るからに偉そうな人達ですわね......」
彼女たちがそう言うのも無理は無い、その場所はなんと最高ランクの座席だったのだ、そこには各国の要人達の姿が見えた。
「おーいここじゃここ」
こちらに向けて手を振る小さな腕が見えた。
どうやらこの席を用意したのはエメラダのようだ。
「ねえエメラダ...私たちなんかがこんな特別な席に座っても大丈夫なのか?」
座席に腰掛けたキョウカは周りに聞こえないように小声で喋りかける。
「何を言う、お主は妾の友人なんだからそんな事気にしなくてもいいんじゃぞ、これもこの前の礼の一つだと思ってくれればいい」
「そうか、なら遠慮なくお言葉に甘えさせてもらうか」
その時、大きな声がコロシアム中に響いた。
「さぁこの日がやって参りましたっ!ルイスガル建立記念祭の名物イベント、国際武闘大会っ!実況は私、サンベルク魔導国のヘレン・ザッパーと!」
「どーもヒノモト共和国のしがない剣士ミモリがお送りしますっ」
アナウンスのように声が会場中に響いているが、どうやらこれは拡声魔法というものらしい。
「ヘレンにミモリ...随分豪華な顔ぶれが揃ってるのう」
「アイツらは何者なんだ?」
司会の人物が気になったキョウカは聞いてみることにした。
「天光のヘレン、彼女はサンベルク最強クラスの魔導師じゃ、それと斬滅鬼ミモリ、彼女は敵国の兵100名を1人で全滅させたとの逸話を持つ、正に剣の天才と呼ばれる者じゃ」
「他国にも中々の強さを持つ奴がいるんだな」
エメラダの説明を聞いて、ぜひ彼女達の戦闘を見てみたいと思うキョウカなのだった。




