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前世の面影とはサヨナラ

そして数日後、遂にルイスガル建立記念祭が始まった。


ルイスガル中央広場のど真ん中に建てられたステージには多くの観客が詰め掛けていた。

何故なら看板に大きく(神聖ミカド組主催!!稀代の英雄シスター・キョウカの着せ替えショー)などと書かれていたからだ、この町ではキョウカは美少女だの、英雄だの呼ばれてる為、人々の興味を引かないわけがなかったのだ。


「な、なんだよこの服は.....事前に言っていた物と違うじゃないか.......おい!レガリアス!」

ステージの裏側で待機していたキョウカの元に手渡された衣装はメイド服ではあるものの胸の部分が開いていたり、スカート部分が異様に短かったのだ。

「うふふ、これなら多額のおひねりも期待できますねぇ」

金目的だと言わんばかりに、レガリアスは醜悪な笑みをしていた。

「エロ要素で釣るなんていいのか本当に...私はこういうやり方はあまり好きじゃないんだけど.....」

それを聞いてレガリアスはキョトンとしている。

「あっれぇ〜?なーんか矛盾してませんか?京真さんったら前世でVライバーやってた時.......確か過激な衣装着てた時もあったような....ひひっ」

(コイツ......!?なんでその事まで...)

「そっ、それは視聴者の要望に応えただけだからっ......」

「はいはい、言い訳はいいから早く行った行った、尺の関係もあるんで事前の打ち合わせ通りに進めてくださいね〜」

「本当にあんな恥ずかしい事を言わないといけないの...?」

事前に相談済とは言え、これからキョウカがする事は非常に恥ずかしい経験になると、彼女自身は勘づいていた。

(しょうがない、ここまで来たからには腹括るか...)

そして意を決したキョウカはステージに立つ。

そこには想像を超える数の観客だった、優に1000人は居るだろう。

(え...流石に多すぎないか...)


「えーと.....ど、どうもシスター・キョウカででで....す」

ぎこちない感じで名乗るキョウカ、だがステージ裏からレガリアスが小声で話しかけて来る。

「京真さん、そんなんじゃなくてもっと可愛く、そう萌え萌えな感じで!」

もうどうにでもなれ。


「どうもっ!ルイスガルのみんな、私はシスター・キョウカっ!今日だけは聖職者じゃなくてメイドとして登場したよっ!」

(ううう.....恥ずかしい...あのエロ女神、後で絶対殺すうんそうしよう)

そんなセリフとは裏腹にキョウカは手でハートを形作って、自分が知る限りの最高に可愛いポーズを取った。

その瞬間、観客からは大歓声が起こった。

可愛い〜!だとか天使だ〜!とか女神という声も聞こえてきた。

(ステージの裏で糸引いてる奴が本物の女神なんだけどな.....)


普段は真面目な聖職者というイメージが強いのでそれとのギャップがウケたのだろう。

そのせいかドンドン観客も増えており、そしてステージの前に置いてある籠には多額のおひねりが投げ込まれる。

「うっひょ〜...最高ですねぇ」

その様子を見て、ステージ裏のレガリアスが目を輝かせていたのは雰囲気からして分かっていた。


それからは約一時間に渡ってキョウカは様々な衣装に着せ替えられてはステージに立たされた。

際どい水着にネコミミと尻尾を付けた非常にマニアックな姿やチアガールの衣装など、そのバリエーションは多岐にわたった。


「転生してから過去一疲れたかもしれない.....おいレガリアス...後で分かってるんだろうな?」

キョウカはレガリアスに鋭い眼光を向ける。

「ひいっ.....沢山お金も入ったんだし結果オーライじゃないですか...や、やめてくださいね?」

(よし、コイツには今夜たっぷりヤキを入れてやろう、そうしよう)

キョウカはそう決意を固めた。


そんな会話をしていると、ルシーラとキャロルが駆け寄ってきた。

「お姉様〜!!とっても可愛いかったですわ!キャロル、感激しました!」

「確かに可愛かったけど...あれって完全にキョウマの意思じゃないよね.....レガリアスの趣味が全面に出てた」

純粋に褒めてくれるキャロルだったがそれに対してルシーラはレガリアスの趣味だと見抜くのだった。

「それより見てくださいよみなさん!このおひねりの量を!ざっと数えただけでも銅貨と銀貨が1000枚.....それに金貨も100枚程混じってます.....よ、ヨダレがおっと失礼...」

完全なる守銭奴と化したレガリアスを三人は冷ややかな目で見つめるのだった。


その時、大通りの方から大声が聞こえてきた。

「やんのかゴラァ!?」

「そっちこそ変な因縁ふっかけてんじゃねぇよ!」

チンピラ風の男二人が小競り合いを起こしていた。

「テメェ.....ぶっ殺してやるよ!!」

「なっ、お前っ!やめろっ!」

そしてあろうことか頭に血が登った片方の男がナイフを抜いてしまったのだ。

途端に周囲がざわめき出す。

(こんな日に刃傷沙汰なんて起こされたら建立記念祭が滅茶苦茶になってしまうぞ!)

「悪い、ちょっとあのバカ共を止めてくる」

懐からベレッタを抜いたキョウカは服装がネコミミ水着なのも忘れて、強烈な速さで駆け出した。


奴のナイフが男の肉を食む直前で止めることに成功した。

「カタギの前で何出してんだオラァ!!」

「ぶべぇっ!」

そしてナイフを持つ男を蹴り抜く、一撃で男はダウン。

そして二人に対してキョウカは冷徹に言い放つ。

「とっととそれを仕舞ってお家に帰りやがれ.....今日中にまた外歩いてるの見かけたら殺すかもしれないよ.....?」

ベレッタを突きつけ、少々キツい脅しを入れてやる。

「はひ.....」

「すびばせん...」

そして男達は去っていった。

「はぁ油断も隙もないな...」

途端にため息を吐くキョウカなのだった。


「相変わらず、怖い奴じゃなぁ」

すると聞き覚えのある声が聞こえた。

声の主に目を向けるとそこには、とても豪華な装飾が施された馬車が居た。

そして窓から顔を覗かせてるのはウォーバルド帝国皇帝のエメラダだった。

「エメラダ.....陛下じゃないですか!もういらしていたんですね」

ここは他人の目もあるので他人行儀な喋り方になる。

「ああ、明日開催される国際武闘大会の観戦にな.....それよりキョウカ、なんだその格好は?如何わしい仕事でもするつもりなのかの?」

ニンマリした笑顔になりながら指摘してくるエメラダ、それと同時にキョウカは自分に向けられる奇異な視線に気がついた。

「あっ.......」


この日のことは思い出したくもないと、後に彼女は語っている。

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