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最強の極道、町の治安の悪さに絶句する。

「…なんだこの町は、凄い寂れてるな」

京真は町の姿に思わず絶句した。

それもそのはず、町は全体的に活気が無く、道行く人も数人しか姿を確認できない。

「確かこの町は…上級貴族のハードックが治めている町でしたね…それにしてもこれは酷い…」

レガリアスも町の現状に言葉を失った。

「悪徳貴族か、一体どんなヤツなんだ?教えてくれ」

京真が尋ねるとレガリアスは語り出した。

「私も噂程度にしか聞いた事がないのですが、町中から気に入った女を屋敷に連れ込んでいるとか、あとは町民に異常とも言えるほどの税金を課したり、自身を批判する人間を見せしめに処刑したりと色々やりたい放題のゲス野郎っていう噂が各所から飛び交っていますね」

聞けば聞くほど胸糞が悪くなる話だ、カタギがこんな不当な目に遭ってるって分かった以上とても放ってはおけないな。

しかし京真の心を見透かしたかのようにレガリアスが制止する。

「か、カチコミとかまだやめてくださいよ〜!資金も無し、人望も無しの私達が上級貴族に手なんか出したら国中から追われる立場になっちゃいますよ!今は辛いかもしれませんが我慢してください〜!」

確かに少し早まりすぎたかもしれないな。

そう思ったその時。

「や、やめてください……になんて行きたくないです…い、いや…離し…」

近くから悲痛な声が聞こえた、路地裏からだろうか?

二人が急いで見に行くとそこには幼い少女がいかにもガラが悪そうな二人組の男たちに連れ去られそうになってる瞬間だった。

「おとなしくしろ!このガキ!お前はハードック様に気に入られたんだよ!抵抗するなら多少の乱暴はしてもいいと言われてるから逆らわない方が身のためだぞ」

ハードック…先程レガリアスから聞いた、悪徳貴族の事だろうか、なんにせよこんな場面を見てしまったからには見逃すことなんてできやしなかった。

「レガリアス、流石にいいか?」

「はぁ…どうせ止めてもやるんですよね、なら思いっきりやっちゃってください!あ、でも流石にコロシはまだやめてくださいね〜」

レガリアスは溜息を吐きながらも後押ししてくれた。

京真はゆっくりと男たちに歩み寄る。

「おいゲス共、なーに嫌がる女を無理やり攫おうとしてんだ、胸糞悪いんだよ。」

京真の存在に気づいた男たちが忌々しそうな表情で振り返る。

「あ?なんだこのシスター、アニキこいつ生意気なんで一緒に攫ってもいいっすか?」

「おう、いいぞ……というかこのシスターいい体してんな…よし捕まえろ」

「がってん!!」

手下の男がいきなり京真に向かって飛びかかってきた。

「うわ、なんだこの感覚、心底不快だな。1回テメェは1日中寝とけ」

「ぐふっっ!!」

次の瞬間、京真の足が凄まじい速度で跳ね上がり、つま先が男の顔面にクリーンヒット、一発で昏倒させた。

「なッ……」

リーダーの男は驚愕に満ちた表情を浮かべた。

「女の体じゃ戦闘は大丈夫か心配だったが意外と感覚は生前の時と変わらないな」

どうやら身体能力も衰えたりはしていないようだ。

「な、なあ、俺が悪かった!!許してくれ、もう心を入れ替えて真面目な仕事に就くからさ、な!」

部下が一瞬でやられたのを見て男は必死に許しを乞うが、京真の返答は決まっていた。

「セリフがテンプレすぎんだよ!この外道がッ!!」

鳩尾を狙った的確な拳が男を貫いた。

こちらも一瞬で意識を刈り取ってしまった。

レガリアスはしっかり目に焼き付けていた。

「…京真さん……白なんですね」

京真のスカートの中身を。

「あ?なんのこと……ッッッ…ど、どこ見てんだ!このエロ女神!!くっ…うう…」

その瞬間、京真は今まで感じたことの無い羞恥心に襲われた。

(な、なんだこの感情…女がパンツ見られるのってこんなに恥ずかしいのかよ…)

レガリアスは京真の意外な反応に圧倒され微妙な空気が辺りに漂う。

「あ、あの…先程は助けて頂きありがとうございました!」

その空気を破ったのは先程迫られていた女の子だった。

京真は思わず彼女をよく観察してしまう。

肩までの長さの紫髪、フード付きの小さなマントにミニスカート。そして一際目を引くのが赤と青のオッドアイと彼女の持つ独特な杖だ、先端に青い炎が揺らめいていた。

魔法使いというやつだろうか。

「ええと…私は魔法使いのルシーラ=ロントハイム…と申します…です……」


これが後に巨大武闘派組織の幹部となる少女との出会いだった。

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