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○○使いの武闘派メイド、爆誕

「キョウマお姉様、わたくしに戦い方を教えてくださいましっ!」

キャロルから唐突なお願いが飛んできた。

「...キャロル、何度も言うがお前は無理して戦闘員にならなくてもいいんだぞ?」

彼女はこの前の件以降、何かと強さを求めているようだった。

「いいえ、わたくしはお姉様に誠心誠意尽くすと誓った身ですわ、その為にはやはり戦えないとダメです」

キャロルは思った以上に頑固で、このお願いはかれこれ五回くらい頼まれている。

「はぁ分かった、なら鍛えてやるが私は厳しいぞ」

というわけで京真はキャロルの特訓に付き合うことになったのだ。

「じゃあまずは、キャロルに合った得物を見つけること、カチコミや戦闘には武器を用いて臨むのが基本だ」

京真はロングナイフや拳銃といったシンプルかつ応用次第でいくらでも化けるタイプだ。

「ふむふむ...ならわたくしは色んな武器を試して、そこから選んでみますわ」


―2時間後


「はぁ...はぁ.....なんでどの武器も使えないん...ですの...」

キャロルは非常に困っていた、なぜなら京真が用意した武器の殆どが使えなかったのだ。

「剣にハンマー、斧に鎌.....他にも色々用意したつもりだったんだが.....キャロル...単刀直入に言うが、お前力が無さすぎて使える武器がないぞ」

あの力の無さはさすがの京真も指摘せざるを得ない問題点だった。

「そ、そんな.....やっぱりわたくしには...」

彼女の目から涙が滲んだ、その時血相を変えたレガリアスがこちらに向かってきた。

「ちょ!京真さんっ何泣かせてるんですかっ!」

「い、いや私は問題点を指摘しただけで...いてっ」

(このエロ女神...また叩きやがって.....)

「問答無用!そういうのはバッサリ言うのはダメなんですよ!」

最近はレガリアスに叱られることが増える京真なのだった。


「で、キャロルさんに使える武器がない...と、それなら...うーん.....あ!京真さんっ!暗器ですよ暗器!」

レガリアスは思い出したかのように大声を上げた。

「暗器か.....」

暗器とは中国武術における身体に隠し持つ事が出来る小さな武器の総称であり、暗器兵器とも呼ばれるものだ。

(確かに暗器なら力のないキャロルでも扱える可能性は大いにあるな)

「暗器ってよく分からないですけど、わたくしにも扱える武器なら是非試したいですわ」

「よしレガリアス、神能で暗器を何個か出してくれ」

「がってんしょうちです!」


それからキャロルは必死に特訓を続けた、様々な暗器の使い方に相手の攻撃の躱し方などなど、京真は自分が持つ戦闘のイロハを彼女にありったけ叩き込んだのだ。

それとキャロルは一定時間、背中から竜の羽を生やすことができ、それを駆使して高速移動が可能となった。


そしてあっという間に1週間が過ぎた。

見た目こそは変わってないものの、彼女が放つオーラは凡人のそれではなく既に一流の戦闘者のものだった。

「お姉様っ!ありがとうございました!これでわたくしも戦えますわ...」

するとレガリアスとルシーラもやって来た。

「おー!キャロルさん、なんかもうオーラが前と全然違いますね.....」

「キャロル、雰囲気からしてかなり強くなったね、私には遠く及ばないけど」

二人共、生まれ変わったキャロルを目にし、関心の眼差しを向けた。

そして京真はニッと笑みを浮かべて、キャロルに告げる。

「よし、特訓の成果を試す為にカチコミに行くぞ、この前のマルツ商会の残党が残っているらしい」

それはカチコミの誘いだった。

無論キャロルの答えは決まっている。

「ええ、是非行かせてもらいますわ!奴らにはわたくしの成果を披露する踏み台になってもらいますっ!」

キャロルは楽しげな表情を見せた。


―数十分後


キャロルと京真はマルツ商会の残党が潜伏しているという家屋を訪れていた。

「よし、今回私は眺めるだけだからな、一人で完遂してみせろ」

今回、京真はカチコミに同行したものの、一切干渉はしないつもりだった。

「ええ、お姉様に生まれ変わったわたくしを見せて差し上げますわっ!」

そして懐から取り出したのは小型の炸裂弾、それを奴らのヤサの扉に投げつけた。

小さめの爆発音と共にキャロルは中に入る。

「神聖ミカド組ですわ、この前の借りを返しにきました!」

突然の爆破に、中にいたマルツ商会の残党は一斉にざわめき出す。

「こいつ!あの時のクソガキだ!」

「畜生、ここも嗅ぎつけられるとは、あのガキを排除しろ!」

前のように奴らは剣を取り出して、キャロルに向け斬りかかってきた。

「あの時のわたくしとは違いますのよ、回避させてもらいます」

相手の剣が肉を食む前に、彼女は背中から羽を生やして飛翔、攻撃を軽々と躱した。

「あの羽...まさかあいつ...竜人族だ!」

その姿を見た奴らから狼狽の声が上がる、その瞬間、キャロルは天井から急降下し目の前にいた男の顔面に右ストレートを打ち込んだ。

「わたくしの武器は拳っ!くらいやがれですわ!」

「ぐぅっ!!.....がぁぁ目が...見えねぇ!」

右ストレートを打ち込まれた男は片目を潰されていた。

「武器は拳.....なーんてね、そんな脳筋みたいな手は使いませんわよ!」

彼女の手にはT字型の暗器、手の内が握られていた、それを用いて目を潰したのだ。

そして流れるように再び手の内を握り、奴のコメカミに勢いよく突き刺した。

「クソがぁぁぁ...ぐがっ!!」

その一撃は致命傷となり、男は倒れ伏した。

一人の死を目の当たりにした残党はあの時のようにちりじりになって逃げ出そうとする、がそんなことを許すほどキャロルは甘くなかった。

「うわぁぁこの女イカれてやが.....ぐっ!!」

なんと、残りの男たちの首にはピアノ線がびっしりと巻きついていたのだ。

このピアノ線は、キャロルが飛翔した時に張り巡らされたものだった。

「わたくしから逃げることは不可能、あなたがたはここでチェックメイト...ですわ!」

勝利宣言と共にキャロルは手に持ったピアノ線を引っ張る、途端に奴らの首は締め上げられ、一瞬のうちに絶命させた。


「はぁ...はぁ.....お姉様、やりましたわ!こんなわたくしでも出来ましたわ...」

粛清を終え京真に抱き着くキャロル、その姿はさも妹のようだった。

「よく頑張ったな、これでお前は今日から、ウチの武闘派メイドだ」

そう言って京真は彼女の頭を優しく撫でるのだった。

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