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予期せぬ殺人

キャロルが組に入って一週間、彼女は四六時中京真の傍に控えていた。

「キャロル...ずっとキョウマにベタベタしてるね」

「いいじゃないですか可愛くて〜、微笑ましいですよっ!」

レガリアスとルシーラは主人とメイドというより姉妹の様な距離感の二人を眺めながら微笑むのだった。


それから二日後、ルイスガルでマルツ商会という組織が奴隷の売買を行っているという報告を受けた。

「...というわけで奴らはルイスガルで秘密裏に奴隷の売り買いを行っているそうです、姐さんどうします?」

もちろんルイスガルでそのような阿漕な商売は厳禁だ、京真の答えは決まっていた。

「私たちから隠れてそんな商売をやるなんて許せるはずがねぇ もちろん粛清だ」

怒りの形相で京真は報復を決意した。



「よし、ロングナイフの切れ味は良好.....ん?どうしたキャロル?」

出入りの準備をしているとモジモジしながらキャロルがこちらに来た。

「お、お姉様...今回はわたくしも連れて行ってくれませんか?少しでも役に立ちたいんですの」

それはカチコミに同行したいという申し出だった。

「うーん.....けどなぁ相手の戦力が分からない以上、素人を連れていく訳には.....」

しかしそこで、レガリアスが出張ってきた。

「いいじゃないですか連れて行ってあげても、キャロルさんにはカチコミの雰囲気を知ってもらった方がいいですし」

レガリアスの一声もあり、キャロルの同行を認めるしか無かった。

「分かった...でもキャロル、相手は恐らく武装している、危険だから私から離れるなよ」

「分かりましたわ!」


マルツ商会のヤサは表市場から離れた路地裏の一角にあった。

「キャロル これがカチコミだ、よく見とけよ」

「ええ」

そしていつものように京真は勢いよく扉を蹴破る。

「は〜い!ウチのシマで奴隷売買を行う皆さん、神聖ミカド組ですっ!諦めてみんな死にましょう!」

京真は奴らのアジトに飛び込むなり優しい声色で死刑宣告を行う。

「クソっ奴隷を捌きすぎてバレたか!」

「こいつ...シスター・キョウカだ!殺せっ!」

奴らは予想通り、剣や手斧で武装していた。

「光り物を抜いたからには容赦しないからね!おらよっと!」

その瞬間、京真は足が爆発したかのような速さで相手との距離を潰しにかかった。

「嘘だろ!こんな速いなん.....ぐがっ!」

あまりの速さに狼狽する男に、京真は紺色のタイツに包まれた足を突き出し容赦なく顔面を蹴り抜く、そしてそのまま流れるように転倒した男の心臓にロングナイフを突き刺した。

「まずは一人.....ってあれ、逃げるの?」

数秒にも満たない間に仲間が殺されたのを見て奴らはちりじりに逃げ出そうとする。

しかし京真は眉一つ動かさずに懐から短刀を取り出して、投げつける。

「な、なんだ...ぐぎゃぁ!」

それは一人の腹に命中した。

「この使い方初めてだけど成功するかな...?」

独り言を呟きながら腹を突き刺した相手に向かって踏み込む。

そして、再び足を突き出して顔面を蹴り抜くと思いきや、刺さった短刀を蹴り抜いたのだ。

「ごえぇぇぇ.....」

「死に至るキック!ネーミングセンスダサいけどっ!」

男は短刀を思い切り押し込まれたことにより、口から吐血、二度と動かなくなった。

その一連の殺人劇を目の当たりにしたキャロルは恐ろしいと思いつつも、羨望の眼差しを向けていた。

「凄いですわ、武装した相手をあんなに一瞬で...さすが竜神を倒しただけありますわね...」

しかし、キャロルは京真に注目するあまり周りの事が見えていなかった。

「オラァこのクソガキっ!てめぇだけでも死ね!!」

なんと一人が京真をすり抜けて、キャロルに襲いかかってきたのだ。

「くっ、キャロル!くそ、間に合うか...」

完全に油断していた、京真は素早くホルスターからベレッタを抜き、奴を弾こうとしたのだが。

「や、やめてええええ!!」

キャロルが咄嗟に片手を突き出した瞬間。

「ぐっ...がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ熱い熱い!ぁぁぁ...」

彼女の手のひらから紫の炎が迸ったのだ、男は炎に巻かれながら焼き溶かされ、数秒後には跡形もなく消え去っていた。

あれは確かにグラム・ラグナの紫炎、キャロルにも出せたのだ、しかしキャロルはその場で腰が抜けたかのように座り込んだ。

「ああぁ.....わたくし...人を.....殺し...」

初めて人を殺したのだ、当然キャロルの中で困惑と恐怖の感情が渦巻いていた。

「キャロル、大丈夫か?すまなかった、助けるのが遅くて...」

「う、ううん.....わたくしは平気ですわ...」

最大限の笑顔を取り繕うキャロルだったが、誰から見ても彼女が小刻みに震えているのは明らかだった。

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