シスターを演じるのも楽じゃない
「シスターを演じるのも楽じゃない……」
京真は思わずため息を吐いてしまう。
「でも京真さん、凄いノリノリでシスターさんやってますよねー、町を救ったというウワサの美少女シスターを一目見ようと講演は連日満席、お布施という体の投げ銭も多く集まってますしこちらとしてはウハウハじゃないですか!」
「お前は何もしてないがな、それに今日の見回りはどうした?ルシーラはさっき出てったぞ」
レガリアスはギクッとした表情をする。
「えー…結局見回りなんかしても意味無くないですかー?この町、平和そのものですし」
ぐうの音も出なかった。
そう、ルイスガルはあの日から二週間、あまりにも平和すぎる日常が続いていたのだ。
「京真さんが元々住んでた歌舞伎町に比べれば本当に何も起こらないんですよね」
前世、歌舞伎町で極道を張ってた時は連日連夜多忙すぎる生活を送っていたのだ、守代を貰っている店のトラブル対応に町で暴れる半グレとのドンパチなどなど。
「ただ俺もシスターを演じてくのに正直疲れてきた…毎日似たような教典の文章をずっと読まされるわ、懺悔室ではよく分からんことずっと聞かされるわ……あああ退屈すぎる!」
そんなことを話しているとルシーラが戻ってきた。
「あっ…キョウマ…見回り終わらせてきたよ……特に異常は無いです!」
レガリアスはある変化に気付いていた。
「ルシーラさん…あなた、いつの間にか京真さんを呼び捨て…一体いつからそんな仲に…?」
しかしルシーラはその発言を聞いても首を傾げるばかりだった。
「…女の子同士なら呼び捨てくらい当然ですよね?」
(ああ、そうだルシーラはまだ俺の事を女だと思ってるんだった、いや女なんだけどそうじゃなくて…)
謎に対抗心を燃やしたレガリアスがいきり立つ。
「…私だって呼び捨てくらいっ!……きょ…うま………やっ…やっぱりまだ無理です!ムリーッ!!」
いきなり慌てだしたレガリアスは思わず拒絶するように手のひらを広げて前に突き出す。
むにゅ。
「きゃ…」
何か柔らかい物に触れたような効果音と少女の可愛らしい声が聞こえ、途端に我に返るレガリアス。
「むにゅ…?何コレ…とても柔らかい…ですって………え!?」
そう、レガリアスの手のひらは京真の控えめな胸に思い切り触れていたのだ。
予想外の出来事なのと、女になって初めて胸を触られる経験なのも相まって、瞬時に顔が赤く染まる京真。
「こんの……」
おもむろにベレッタを懐から抜く京真。
「いやあの、京真さんっ!不可抗力なんです!許して…いやぁぁぁ!」
「エロ女神がぁぁぁぁぁぁ!」
そして響き渡る無数の銃声。
「キョウマっ!落ち着いてっ…!」
怒り狂う京真を慌てて宥めようと、奮闘するルシーラなのだった。




