1/13
プロローグ
「ええ、外の世界から来たあの力を調合すればあるいは」
「そのために私の力が必要というわけね」
真っ黒な空間に目だらけの怪しげな場所で怪しげな二人が密談を交わしている。
「ここで得たあなたの記憶は消す必要があるわ。いいの?」
「その程度は覚悟の上よ。それに、厳密に言えばあの私の部屋以外で消える、でしょ?」
彼女たちは何かに焦っていた。
「さすがね、そこに必要な物は全て置いてきたわ。もちろんあの子もね」
「器と力は申し分ないわね。あとはそれを操る魂だけど...」
「大丈夫。あの子はこの世界をとても愛しているもの」
だが、確かにそこには希望があった。
「私はここに残るわ。そっちの私のこと頼んだわよ」
「できれば気を掛けるようにしておくわ」
そう言った直後、彼女たちの片方がこの場所から消える。
彼女達二人は悪の組織の親玉なのか、世界を守らんとする。英雄なのだろうか。それとも...
「お願いね」