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コキュートスの共同統治者
悪霊の姫イレースはエキドナの軍門に下った。
もっとも俺とこの氷結の次元であるコキュートスを共同で統治させる約束をした上でだが。
イレースが俺にしなだれかかる。
薄紫の髪が身体にかかり、くすぐったい。
鋼鉄の塔の内部にある支配者の座には俺と彼女が一緒に座っているわけだが、
どうにもエキドナの機嫌が悪い。支配者の沽券に関わるらしい。
「いいじゃありませんか、お母様。そのままご隠居なされば」
「偉そうに。わらわの代理じゃから、あくまでな!」
イレースとエキドナが火花を散らしあう。
「まったく、とんでもない娘じゃ。そして、頭痛の種はこやつだけじゃない」
エキドナが嘆息する。
「他にどんなやつらがいるんだ。あんたの子供ってのは」
「親子の契りを交わしたお前も含めれば、全部で5人。この近くだと隣接する密林の次元に女巨人のタナシスがおるな」
エキドナから支配権を奪い取った相手はまだ奈落に複数いる。
道のりはまだ長いようだ。




