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吹雪の少女
岩山の中腹に立つ人の来訪を拒む鋼の塔。そこから少女が舞い落ち、俺の目の前に降り立った。
薄紫の長髪はなびき、黒のドレスが揺れる。細く華奢な美少女だが、この世のものではない。
「我が娘イレースよ、この奈落、コキュートスを奪った報いを受けさせてくれるぞ」
エキドナが怒りを込めて、イレースと呼ばれた少女に言い放つ。
そう彼女はエキドナに反逆した子供たちの一人。
「私たちは独立したのです、お母様。今や私もこの世界の支配者。そう簡単に奪い返せるとは思わないことです」
イレースは冷たい怒りを放ち、威圧し、こちらに吹雪と負の波動を放つ。
魔術、『暗黒の氷雪波』
これをまともに浴びると戦う気力を挫かれ、凍死にいざなわれる。
牽制ではあるが致命傷をもたらす攻撃である。
俺は魔術、『ハイドラの火炎球』で迎撃。
火炎球が氷雪波を打ち溶かし、イレースに直撃するが手ごたえは無い。
爆炎の中から無傷で迫りくる彼女は俺の首を締め上げる。
首の表面が見る間に凍り付くが、振りほどいて距離を取る。
彼女も霊体であるようだが、攻略法はもう既にある。
俺は自分の身体をわざと傷つけ、ハイドラの牙に塗り付けた。




