あのときは言えなかった
ときに心踊るときがあると思う
辛く苦しいときもあるが今ではない
いつも共にいたあいつは言った
その心踊るときにだ
あいつは唐突に言ったのだ
「嫌な予感がする、今日の内に村からでるべきだよ」
それには何も言えなかった
そう
こいつの予感は当たる
だから何も言えなかった
そしてその日あいつと一緒に村からでた
その次の日村は燃えた
盗賊に村の人たちは殺された
その時
何もできない自分を呪った
そんな事をしても何もできない
そんな自分が嫌だ
だから
変えると決めた
変わると決めた
そのときに
あいつは言った
唐突に言ったのだ
「あんたが見捨てたんだろう?なに被害者づらしてるんだい?」
そう
知っていた
自分が何もしなかったせいだと知っていた
見てないふりをしただけだった
でも
気づいてしまった
僕が人が死ぬ光景を楽しんでいることに
そして
その時あいつは言った
「そうさ、それでこそあんただよ」
あいつは
そのときあいつは
笑っていたんだ
「あたしもあんたと一緒さ、人の死が幸せに感じるんだ」
否定したかったが否定できなかった
その条件が揃いすぎていた
狂人にしか思えないぐらいに…
ああそうか
僕も同じになったのか
認めれば軽やかな気分になった
もともと同じだったと
その時気づいた
「やっぱり…あんたもあたしと同じだね」
そう言われて気づく
僕が笑っている事実に