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音響監督の覚書1(芝居の距離感)

エルブームの時に掲載していたのですが、日記代わりにエッセイとして音響監督として感じたことなんかを書いていこうかと思います。

多忙であることはありがたい事だ。

ゲームにオーディオドラマにアニメーションに……モーションコミックをアニメと言って良いならですけどね。


他にラジオや放送ミキサーやイベントPAもしてますので、毎日違うポジションで色々な現場に立つ。

なんとも恵まれている。

なかなか無いですよ。これだけいろいろ仕事としてさせて頂けていると言うのは。


さて、今回書き残しておこうと思うのは、演出をする上での距離感の注意事項である。

シチュエーションは【アニメーション】【オーディオドラマ】【ゲーム】の3つ。


まずは基本として、何が違うのかを確認しましょう。


アニメとオーディオドラマの違いは映像の有無です。

アニメの場合は映像があることにより、音以外の表現が出来ます。

それによって大きく変わるのは「カットチェンジのしやすさ」と言うのがあります。

1カットあたりの尺がオーディオドラマは基本的に長いです。

それを例えるならば、アニメがTVドラマや映画だとしたら、オーディオドラマは舞台になります。

……いや、舞台でも演出方法によってバンバンカットチェンジ出来ますけどね。

逆にテレビでも某中華屋さん舞台のドラマのようにロングカットを多用してる作品もありますし。


それにくらべてゲームは特殊です。

まず、セリフの被りがありません。

そして、キャラ絵が常に一定距離となります。

なので、普通の芝居とちょっと変わってきます。

言うならば、落語のような演技がハマります。


それぞれのシチュエーションごとにまとめましょう。


【アニメーション】

芝居の距離感に関しては、前述の通りTVドラマなんかで見る通り、きちんと相手との距離感は把握していなければいけませんが、実際の距離よりも映像の芝居感を参考にする必要があります。

『映像的な嘘』なんかもあったりしますから、実際よりも距離感が縮まると言う場合もあります。

あと、多少距離感がブレても大丈夫と言うか、そう言う物だったりもします。


【オーディオドラマ】

基本的にカットがガチャガチャ変わりません。

と言うか脚本家がしっかりと理解していればそう言う作りになると思います。

前述の通り舞台の演出に近い物があり、演出次第では3か所リンクしての芝居とかも可能なんですけどね。

ただ、映像が無い分芝居の距離感が全部です。

なので役者はしっかりと距離感を把握して芝居をしないとウソ臭くなりますし、奥域が出ずに舞台がせまく感じてしまいます。

映像に縛られない分、動きが自由になるのも特徴ですが、同時に演じていて相手との距離が『お互いの了承の下で変化することが可能』とも言えます。

よくアニメよりも芝居がのびのび出来るから好きと役者は言いますが、抜き録りになる場合は演出家がそこをしっかり把握していないとチグハグしてしまいますので、注意が必要です。


【ゲーム】

ゲームの場合芝居以外にも気にしなきゃいけない部分が非常に多いです。

原則個別収録なので、距離感や芝居感を演出家が全てを把握していないといけません。

そして、芝居をする上での距離感は4パターンくらいに納めて、ある程度のパターン化をさせておかないと画面表示と馴染まなくなります。

『目の前』『近い』『遠い』『すごく遠い』みたいな(笑)

その到達距離がばらつかない様にしてあれば、セリフ被りが無い分多少感情にブレがあっても馴染んでしまいます。

そう言う意味でアニメと逆な感じがしますね。

ゲームの際に気を付けたいのは、汎用セリフ。

これが非常にやっかい。

芝居をする上で流れがあってのセリフじゃないので、パターンに落し込んだ芝居を求められます。

あと、バトルボイス。

戦いの画面で使用するボイスは、あまりに長いと複数キャラのセリフが被ってきます。

なので、出来るだけコンパクトにまとめなきゃいけませんし、モーションが付くのであればどの程度の派手さなのかを確認しなくてはいけません。

モーションは派手なのにボイスがさらっとしてても納まりは悪いですし、逆も然り。

しかし、多くの場合はその場に動画があるわけじゃないので、演出家は綿密に打ち合わせたり、確認をしながら収録しなくてはいけません。

それは役者が確認すべき事じゃなく、役者に伝えるのが演出家の仕事なのですから。

まぁ、台本にある程度指定が書き込まれていたりしますけどね。


あと、同じセリフが何回も使われたりします。

なので汎用セリフなどは甘かったりリップが強いと、それが何度も再生されることになります。

最新の注意を払ってあげましょう。



どれも同じようにキャラを演じるだけのもののようで、留意すべき点が違います。

役者がそれを把握して演じてくれれば楽で良いのですが、それを求めるのはちょっと違うかな?と。

声優と言う職人であればこそ、さらっとやってくれたりしますが♪

演出家はなんの為に居るか。

しかも、音響監督とか芝居監督と言う作品の監督の下に居る場合、なぜ必要なのか。


今回のような細かい点についてコントロールする為に、報酬を払ってまで依頼されているわけです。

自分がこの先驕って「音響監督さまだぞ!偉いんだぞ!」とかうつつ抜かして、大事な物を見失わないようにと言う自戒の念と、「こいつ、こんなこと考えてたのね」って参考になったら良いねってことで、覚書として書き記しておきます。

※なお、個人差があります。

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