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「先生騙しましたね?」
「何の話だ」
「とぼけないでくださいよ。昨日『安藤友也』って言いましたよね? バリバリ女だったんですけど」
「お前、女だって言ったら行かなかっただろう?」
「まあ、どっちにしても断ってたと思います」
「お前、意外と見た目がいいからなあ。意外と。あくまで意外とだ。髪短くすればもっとモテるんじゃないかー?」
「やめてくださいよ。もっとって、今、モテてませんし」
「なんだお前知らないのか? なんか、裏でモテてるらしいぞ。暗い雰囲気醸し出してるから、女どもは手を出しに行けないんだと。周り見ればすぐ気づくぞ」
「まさかあ」
聞きたくなかった話だ。こんなの意識しまいと思っても、絶対意識してしまう。
「まあお前のモテ話とか自慢しなくていいから、今週中には連れて来いよ」
「今週中? 彼女が行く気にならなきゃ、こんなとこに来ても意味ないですよ。無理に来させたって無意味です。それと、モテ話は先生が振ったんですからね」
「生徒の気持ちなんか知ったことか。俺が学校に居づらいんだよ。いいから連れて来い」
わがままな教師だ。それなりに考えていることはありそうだけど。
俺は教室を出た。妙に視線が散漫になる。よく見ると、こっちを向いて話している人がちらほら見える。ああ、俺を馬鹿にしているんだな。
「あの……」
肩をつつかれたので、無言で振り返る。そこには、今時らしいチェックのスカートに、適度にワイシャツの胸元が開いた女子生徒が二人いた。両方ともショートカットで、スカートがみ、短い。
「一緒に写真撮ってもらえませんか?」
ああその程度ならと思ったそのとき、今出てきた教室から記憶に新しい教師が出てきて、俺に向かってにやけた面で口を押えて笑っているのが見えた。急に恥ずかしくなって「ごめんなさい」と走って逃げました。




