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血を分離して、私達は、血清になる…姥捨て山伝説  作者: 海月 要
~水樹氏より、スミさんへ~
10/17

~ムク、学ぶ~

安心して暮らせる環境を得て、勉強を始めました。そう、私は、看護師になる為に、勉強しています。


 私は、山に来て、なんにでもなれることを知りました。私が、夢見て、頑張れば、なんにでもなれる!みんなが応援してくれるし、励ましてくれる。何もわからない私に、どうすればいいのかを教えてくれる。要は、私が努力するかにかかっているの!なんと ス、テ、キ

 私は初め、何をしたらよいのか、わかりませんでした。何かしたいのだけれど、みんなの役に立ちたい、お礼がしたい、そして、私らしく過ごしたい、と。私は、与えられた自由に、選べる選択筋の多さに、ただただ戸惑っていたのです。


「焦ることは、ないよ。世界を知る為に、本でも読んでみたら?DVDや、そう、施設のお年寄りと話してみるのも、勉強になるし、何より楽しいよ」

と、トワに言われて、図書館にも行ったけれど、結局、施設に入り浸りました。


 そして、気付いたのです。もっと、おじいちゃん、おばあちゃんの役に立つためには、看護の知識が必要って。

 浮腫んだ脚をどうすればいいのか?まず、この方の身体の中で、何が起きているのかを知らなくてはいけません。脚が浮腫むと、どんなリスクがあるのか?それを知っていれば、何とかしたいと、強く思うことが出来ます。

「可哀そう、痛そう」

と、感じていても、看護の知識がないと、その重要性まで気付けません。感じるだけでは、不足です。

 私は、頂いた自由を、看護を勉強することに使うことにしました。


 トワは、とても喜んでくれました。

「ムクが選んだのだから、大賛成だよ」

と、勉強する環境を整えて、応援してくれました。そして、いっぱい、いっぱ~い褒めてくれたの。


 今一番好きな教科は、解剖生理です。人間の身体は、不思議だらけ。どうしてこの形になったのか?考えれば考えるほど、良く出来ています。

「神様がお造りになった」

頷けます。

 私達は、取扱説明書通りに、生活すべきです。暴飲暴食は、いけません。喫煙も、いけません。夜更かしや、ゴロゴロしているのも、いけません。人間らしく生活することが大切で、それを怠って、病気になったからといって、文句を言うことは、間違っています。こんなにも、美しく造って頂いているのですから。


 <手当>という言葉があります。文字通り、熱のある人の額に手を当てる、お腹が痛い人の腹部に手を当てる、それだけで、状態が落ち着くこともあるのです。私達には、相手をいたわるという、元々の能力があります。それを、最大限活かすためにも、知識は必要だと思いました。


 私は、授業中、施設のみんなの事を考えてしまいます。色んな顔が、浮かんできて、

「そうか、だからなのね。これから、こうなっていくのね」

と、悲しい気持ちになることもあります。もちろん、病気は怖いし、痛いのはイヤ。でもね、学ぶと分かったの、

「神様は、お造りになった責任を持って、人間の最後の時のことを、しっかり考えて下さっている」

って。

「苦しまないように、ちゃんと工夫して下さっている」

って。

だから、

「安心して、いいですよ」

と、みんなに言えます。

 死は、怖くなどありません。穏やかな着地は、贈り物です。身体は、役目を終え、静かに上昇していきます。

 看護師の役目は、医師の指示の下、治療の介助をするだけでは、ありません。その人の今居るステージにとって、一番良い環境を整える仕事を持っています。

 私は、ここのみんなに、一日一日、楽しく暮らしてほしい。そして、寿命がやってきたら、無理をしないで、、ゆったりと、


 私が、最後まで、見届けるから、看取らせて下さいね

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