表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君がいれば、世界はいらない  作者: ミーナ
第一章:次代の担い手編
2/27

第一話 回収者

ここから話が始まります。まだ序章にすぎないので、この作品のテーマとなる記憶部分については記述が薄いです。中盤辺りからそのことについては判明していくと思います。

「おはよう、諸君。今日も良い晴天に恵まれ、絶好の労働日和だ。

 さぁ、きびきびと働け奴隷共。貴様らに自由は無い!」

 

 しなる鞭をその身に受け、俺は幾度も受けた傷がさらに悪化することに顔をしかめながら、命令された仕事を遂行するために洞窟の奥へ向かう。


歩くたびにじゃらじゃらと金属音を鳴らす不快な物体に、管理される側だということを改めて認識させられる。窮屈に締め上げる首輪には自殺予防装置と反抗防止装置が付いていて、何か不穏な動きをすると電流が流れ気絶する。


もはや逃亡も死も自分では選ぶことができない。この拘束から開放されるには、病気や事故等による死を待つしかない。まさに生涯奴隷だ。

 

 ピッケルを手に、もう二年ほど続けている採掘を続ける。はじめは慣れない力仕事で心身ともに疲弊していたが、今では力の抜き加減と当たりの場所が大体わかるようになり、一日に決められている目標採掘量をゆっくり着実に稼ぐことができる。


 ここで素早く終えてしまうと仕事量が増量されてしまうので、終了時刻間際で達成することがコツだ。仕事を完遂するとご褒美として鞭打ちがないので、俺を含め長く続けている同僚は皆同じ方法をとっている。

 

 ただ、あまりに同じ作業速度で何日も続けていると怪しまれるので、週に数回は成果を一段階上にすることでうまく調整している。奴隷も大変なのだ、本当に。鞭打ちは肉体よりも精神をおかしくするので、確実に逃れなければならない。

 ……朝礼の鞭打ちは逃れられないので、そこは割り切るしかないのだが。

 

「なぁ……進行状況はどうだ?」


 作業中は私語厳禁だが、それを大人しく守るものはいない。なぜなら、

 

「ああ……今日中に出口につながると聞いている」


「よしっ……これで、これでオレたちは解放される。もうすぐだ……」


 現在進行形で、脱走計画を実行中だからである。監視員に聞こえない程度の声で定期的に連絡を取り合い、情報を共有している。この洞窟に参加している奴隷の数は、総勢15名。その中でも、気の知れた仲間のみで構成された脱出計画班は俺を含め3人。常に2人体制で作業を行うが、中々仲間同士での組み合わせが無い。なので、脱走についての話をできる機会は貴重なのだ。


 いまは非番の仲間が脱走に使える穴を掘り進めていて、皆が寝静まる深夜帯を狙って、掘り終えた穴を通り脱出する予定だ。脱出後は山を下り人里へ向かう。洞窟の入り口は監視員がぎっしりいるので、洞窟側から穴を掘って脱走でもしないと逃げられないのだ。

 

「それにしてもよ、お前……相変わらず名前は思い出せないのか? いい加減名前を知りたいんだが」


「……名前どころか知識以外は全て吹き飛んでいる。相変わらず戻りそうな兆候は無い」


「そっかぁ……大変だな、お前もよ」


「ヴェルズこそ、一人残した娘が無事かどうか気が気でないだろう」


「ああ……無事に大きく育っててくれりゃいいんだけどよ……。っと、話がそれたな。作業はそろそろ終いだ。あとでまた会おうぜ! 外に出たら杯でも交わして一杯やろうや。約束な!」


「ああ。約束だ」


 こうして、作業を終えた俺たちは与えられた寝床に戻り、監視員の巡回を狸寝入りでごまかし時間が来るのを待った。ヴェルズとの約束を果たしたあと、俺はこの先どうしよう。旅でもしようか、などと考えながら。

 

 そして、時が来た。いよいよ脱走計画を実行するときだ。奴隷となり感情を表に出さないようにしてきたが、いよいよ外の空気を吸えるとなると自然と頬が緩む。だが、まだ脱走できたわけではない。

 自分の頬を軽く叩き、気を引き締める。さぁ、ここからが正念場だ。

 

 ――そう決意して、立ち上がろうとした瞬間だった。


『緊急事態発生。奴隷を含め、各員は広場まで集合せよ。繰り返す。奴隷を含め、各員は広場まで集合せよ』


 各所に設置された拡音器から、切羽詰まったような声で放送が流れた。このような放送が流れたのは、俺が2年間この施設で過ごしてきて、初めてのことだ。予想外な事態に、俺は唖然と口を開いたまま身動きすることができなかった。おそらく、ヴェルズを含め他の仲間たちも同様な反応をみせていることだろう。

 

「おい、貴様! 何をしている! 今の放送が聞こえただろう! 早く広場へ向かえ!」


 慌しくほかの奴隷をたたき起こしていた監視員が、呆然と立ち尽くす俺に強い口調で声をかけてきた。何が起こっているのか分からず混乱していたが、監視員の命令に背けば後が怖い。俺は罰を恐れて、本来向かうはずであった洞窟ではなく、朝礼に使われる広場へと向かった。


おそらく、他の2人も同様に広場へ向かうことだろう。いま脱走をしても、事がばれるのは早い。そうなれば追っ手に捕まり連れ戻されることは容易に想像できる。今はただ、命令に従うしかないのだ。

 



***




 帝国が管理する領土の中で、この【グラズ山】は貴重な鉱石や宝石が豊富に採れるということで、多くの労働者(9割が奴隷)が派遣されている。他にも採掘できる山は数多く存在するが、ここは他に比べて質の良いものが採れことに加えて未知の領域が多く、様々な可能性があるという。


俺の作業場となっている洞窟も数年前までは未知の領域ではあったが、数多くの奴隷を犠牲に探索を進め、危険な魔物や動物を駆除した結果比較的安全な採掘場となっていた。


 ただ、最近になってとある場所の開拓を帝国の命令により進めていたらしく、そこで触れてはいけない存在の怒りを買ってしまったらしい。そのしわ寄せがこちらにも来て、緊急事態ということだ。

 

 つまり……触らぬ神にたたり無しということだったが、触ってしまったから、後は協力して退治するしかないという訳だ。でも、俺たちは死にたくないから身分の低いお前たち奴隷がやれ。退治が確認できたら報酬をやるから、と

 

 そのような話を聞いた俺たちは、広場から移動し問題の採掘場付近へと向かっている。洞窟班を含めた総勢34人の奴隷たちが、一堂に介して【ナニカ】を討伐するために。


 当然、そんな理不尽な命令をされた奴隷たちの感情は爆発した。今まで抑えていた怒りを、管理者にぶつけようと襲い掛かる。ところが、俺達には反抗を許さない装置がつけられている。不穏な動きをしようものなら、電流が流れ意識を失ってしまうのだ。暴発した感情は、電力を強め、見せしめに数人ほど反抗した者を殺すことで無理やり抑えられた。

 

 所詮管理される側の俺達に、自由など許されてはいないのだ。

 

「あぁ……ったく。なんでこんな場所に赴任しちまったんだか。俺はもっと楽な仕事がしたかったんだがなぁ」


「なに言ってんだ? お前、最初にここに来たときは女を好きにできる! とか言ってたろ」


「あー……言ったな、そういえば。だがよ、抵抗してこないんじゃ面白くねぇんだ。俺はよ、泣き叫ぶ女をいたぶるのが好きなんだ。従順な女なんて、興味が無い」


「とか言いながら、お前はいったい何人再起不能にしたんだ? 手当たりしだい襲いやがって……補充の申請をするのは俺なんだぞ」


「ハハハッ。とか言いながらつまみ食いするお前もどうかと思うがな!」


 前方で、下種な会話をする騒がしい男共が、管理者の一員だ。帝国の官吏だというが、あの性格からしてこのような場所に派遣されるのは当然といえる。どのようにして官吏に成ったのかはわからないが、適正があまりにも酷い。あれではやっていることが盗賊とまるで大差がない。女性を物としか扱わないその下種さに、反吐が出そうだ。


 そして、その下種共に管理される俺自身に苛立ちを覚える。なぜここにいるのかが分からない。今まで何をしてきたのか、名前は何なのか。思い出せない。一般的な知識だけは残っているが、自分がわからない。

 

 俺は、一体……。

 

「あー……なんだ、失敗しちまったな」


 隣から、野太い声がかかった。同僚のヴェルズだ。先ほどまでは周囲にいなかったが、俺の姿を見つけて近づいてきたのだろう。


「ああ……こんなことになるとはな。予想できなかった」


「2年もかけた大仕事が、こうもあっさり水の泡となると落ち込むぜ……。うまくいかないもんだよなぁ」


「……約束、果たせないな」


「……ああ……、もう、おしまいだな。最後に、娘の顔を1回でいいから見たかった」


 ヴェルズは、何も犯罪を犯してもいなければ、生活に困っていたわけでもない。彼曰く綺麗な奥さんと子供に恵まれ、順風満帆な生活を送っていたという。仕事は漁師をやっていて、彼が住む港町では結構有名な凄腕だったようだ。そのため、一般家庭よりも潤沢な稼ぎで、最近までは新しい家を購入しようとしていたようだ。何も問題の無い、素晴らしい家庭。


 それが……家族旅行の最中で盗賊に奪われた。娘と妻を人質に金銭を要求され、そのあまりに馬鹿げた値段に全財産を賭して払うが足りず……自身と妻を商品として支払い娘のみ救った。妻は娼婦としてどこかの貴族に買われ、ヴェルズはここで奴隷として働かされている。


 娘は港町で彼が世話をしていた部下に任せたらしい。妻は……もう彼にはどうにもできなかった。ただ、無事を祈ることしかできない。

 

 脱走できていれば、今頃は……などと考えても現状は変えられない。この行軍紛いの行進は、確実に危険が伴う。何を相手にしなければならないのか、想像がつかない。魔物か、それとも怪物か。はたまた俺の知らないモノなのか……どれにしても、無事ではすまないだろう。でないのならば、わざわざ俺たちを捨て駒にして様子を見ずに帝国軍が討伐すればいい。不確定要素があるから、俺たち奴隷の犠牲が必要となる。人中ひとばしらというわけだ。

 

 周囲を見渡せば、皆暗い面持ちで重い足を引きずるように歩いている。足枷は解かれたものの、これから危険な目に合うと分かっている状況では足取りが重くなるのは当然だ。逃げ出そうとしても管理者が自由に電流を流せるので、逃亡は不可能。さらに、先ほどの見せしめで植えつけられた恐怖感から目立つ行動をしないよう皆顔を伏せている。

 

(……もう助かる可能性は無さそうだな)


 俺も、この雰囲気に呑まれて段々と気持ちが沈むのを感じていた。記憶は無いが、生きてはいたい。誰が死にたいと願うものか。やってみたいと思うことは、この奴隷生活の中でも沸いてきているのだ。美味しいものを食べたい。綺麗な景色を見たい。旅をしたい。


 ……そんな些細な夢でさえ、叶えることはできない。少し、この狭い世界の外に住んでいる人達に嫉妬を覚えた。なぜ、俺がこんな目に合わなければいけない。ただでさえ記憶が無くて、不安に押しつぶされそうだというのに。何か、俺は悪いことをしたのか?

 

 ――なぜだ……なぜ、殺した。私達は人ではないが、迷惑をかけていないだろう! ただ、普通に生活をしていたにすぎない! それを貴様らはッ!

 

 ふと、脳裏に知らない光景が映し出された。赤い髪と額に付いた宝石が特徴の、可憐な女性……その女性の言葉は、いま俺が考えていたことに酷似していた。

 

 ――ズキン。頭に直接熱い鉄が差し込まれたかのような、酷い鈍痛に襲われる。なんだ、コレ、は……俺はこんな記憶知らない……けど、胸が張り裂けそうだ。忘れることが、消えてしまうことが、恐ろしい。段々と、女性の姿が薄れていく……。

  

「っし、到着っと」


 管理者の声に、女性の姿が脳裏から完全に消えた。……消える寸前、その女性は誰かの名前を読んでいた、気がした。

  

「いいか? これは、本国から任せられた重大な任務だ。俺たちは避難し、お前達の勇士を見る責務がある。だから、まぁ……死んで少しは役に立て。逃げようとしても、お前達はこの山から出れられない」


 そうはき捨てるようにいい残して、2人組みの管理者は元来た道を帰っていった。双眼鏡か何かで遠くから様子を見るつもりなのだろう。

 残された俺たちは、不安を隠しきれない表情で周囲を見渡す。

 

 だいぶ長い間歩いた所為で、日が昇り始めている。俺たちが連れてこられたのは、山の中腹辺りだろうか。雑木林が生い茂る自然豊かな場所で、鹿などの野生動物がちらほらと見える。視線を向けると、皆何かに怯えたかのように逃げ出していく。人が頻繁に出入りしているというのに、あの怯えようは少し気になる。

 

「俺はここの担当だった……状況を説明する」

 

 暗い表情の男が、皆に聞こえるよう説明を始めた。

 

 このまましばらく奥に進むと、人工的に造られた開けた場所に出るらしい。そこは昔、何かの儀式で利用されていた祭壇があるらしく、アンデッド系の怪物が夜になると出没するようだ。危険極まりないが、そこには他の場所で見られない特殊な花が咲いているらしく、薬の材料として重宝されていると聞く。ただ、夜にならないと咲かないと言うことで、奴隷を使った駆除をおこなっていたらしい。


 そこで、1人の奴隷が間違えて祭壇を傷つけた。そのことが発端となり、件のナニカが突如として現れたらしい。それは、奴隷を食い殺した後でその場から動かずに居座り続けているという。

 

「姿形は猿に近い。ただ、一般的な猿よりも遥かに巨大だ。とにかく動きが俊敏で、目で追うのがやっとといったところだ」


 奴隷達全員に、剣や槍、弓といった武器は支給されている。ただ、奴隷の多くが戦闘経験など皆無で、まともに戦うことができないだろう。相手が素早い相手ともなると、まず攻撃が当たるかが問題となる。残った知識の中には、魔物や怪物の情報がいくつか存在している。そのことから、俺には多少なりとも戦闘経験があるのだろう。二年前、目を覚ましてから違和感の残り続けるこの体が、まともに動いてくれればいいのだがな……。

 

「ここでじっとしていても状況は変わらない……。みんな、協力してヤツを倒そう。そして、あいつらに一泡吹かしてやるんだ! もうこんな惨めな生活から、抜け出してやるんだ!」


「……ああ!」


「任せろ! これでも俺は村一番の力持ちだったんだ」


「猿っころなんか怖くねぇ!」


 男の言葉で、皆の士気が高まってきた。確かにここで燻っていてもどうにもならない。ならば、自分達で行動を起こして道を切り開いていくしかない。不安に塗りつぶされそうな気持ちを、無理やり鼓舞させて前を向く。ふと、周りを見れば多くの者が手足を震わせながらも、その表情は決意に満ちたものになっていた。

 

(これなら、もしかしたらどうにかなるかもしれない……)

 

 少し、希望が湧いてきた。

 

「さぁ、行くぞッ!」 


 男を筆頭に、声を挙げながら俺たちは奥へと歩みを進めた。不安はいまだ拭えないが、皆で協力すればどうにかなる。きっと、うまくいく。


「……まって。そっちは行っちゃダメ。死んじゃう」


 ふいに、腕をつかまれた。あまりに突然のことだったので立ち止まり、後ろを振り返る。その間にも、男達は奥へと進んでいく。


 振り返った先には、黒いフードを目深く被った小柄な人物がいた。俺の腕を握る力は弱弱しく、このまま振りほどいてしまえばあっさりと手が離れるだろう。しかし、先の言葉がひっかかりつい聞き返してしまった。

 

「……アンタ誰だ。奴隷じゃないだろ? 首輪が無い。それに、管理者でもないようだが」


「わたしは、“回収者”」


「“回収者”?」


「そう。……コッチ、きて」


 ぐいぐいと、大きな力で腕を引っ張られる。その小さな体格でどこにそんな力があるのかわからないが、このままでは強引に連れて行かれる。俺は、反抗して手を振りほどいた。


 ――フードが外れ、回収者と自称する者の姿が、露になる。

 

「……っ」


 色素の薄い、白い肌。朝日に照らされ輝く、銀の髪。見る者を惑わせるかのような、紫紺の瞳。彼女の容姿は、とても整っていた。僅かに自身の息が詰まるのを感じつつ、尚更このような人物がここにいることに疑問を覚える。

 

「あ……その、すまない。つい反抗してしまった」


 口からでたのは、少しむっくりと頬を膨らませる少女への謝罪と弁解。決して俺が悪い訳ではなく、寧ろ強引に連れて行こうとした彼女に非があるとは思うのだが……いかんせん罪悪感が残る。声色から女性だとは思っていたが、まさか、ここまで幼い子だとは思っていなかった。

 

「……喰獣」


「え?」


「この先に、そう呼ばれる魔の眷属がいる」


 喰獣……魔の眷属。俺の知識にはないが、少女は知っているのだろう。至って真剣な面持ちで、続いて俺の実力では勝てないと言う。

 ……でも、

 

「いや、それはわからないじゃないか。先に進んだ連中と協力すれば、あるいは」


「無理。少なくとも、“記憶を無くした”あなたでは」


「っ!? なぜ、君がそれを……」


 仲間内には、俺の記憶喪失については話したことがある。ヴェルズはそんな俺を心配しいいつも気遣ってくれていた。

 だが、この少女と俺は初対面だ。まだお互いに数度会話を交わしただけ。俺の事情など、知る由もないはず。

 

「わたしは、“回収者”。記憶については詳しい。それに……わたしはあなたを前から知っている」


「……それは、以前の俺、ということか?」


「肯定。……これ以上知りたいのなら、ついてくること。わかった?」


 手を差し伸べそう言う少女に対して、俺は……

 

「分かった……ついて行くよ」

 

 彼女の手を握り、そう言ってしまった。何か、ついて行かなければ後悔するような気がした。このまま奥へ向かうことが、最善の選択肢ではない気がした。……それに、俺自身について、彼女は知っている。自分をもっと知りたいという欲が、仲間達を見捨てることを良しとした。


 ヴェルズ……すまない。俺はどうやら、そこまで良い奴ではないみたいだ。

 

「その首輪は邪魔だから、壊す」


 パキン、と音を立て、あれほど厄介だった首輪が彼女の手によりあっさりと外れる。このことは、管理者にすぐさま伝わり駆けつけてくるだろう。首輪を外して脱走するなど、前代未聞だ。

 

「君は、いったい……」


「…………」


 無言で手を引っ張る彼女は、どこか焦っているような、そんな感じがした。

ヴェルズさんですが、これから先も登場する機会があります。おっと、つまりどういうことだ? 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ