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泥仕合

作者: 恵比寿 鯨太

先日、人間ドックを受診。


しかし、事前に検便容器を渡されていたものの、当日までになかなかブツが出ない。


ブツが出ないまま、当日を迎えてしまったので、受付に事情を説明する。すると、人間ドック受付の人は「じゃあ、出た時でいいのでこの封筒に入れて郵送で送ってください。」とのこと。


ブツが出ない気持ち悪さとブツの提出義務のことをずっと頭の隅に入れておかなければならなきゃいけないということで、少々憂鬱だった。


しかし、人間ドックが終わって会社で仕事をしていたときだった。バリウム後の下剤が効いたのか、やっともよおした!そして、待望のブツが出た。この小さい幸せな出来事に私は、トイレの個室の中でブツを目の前にして小さくガッツポーズをした。そして、核施設でプルトニウムを扱うようにブツの検便容器への格納を無事完了した。


そして、終業後、たまたま近所に位置していた人間ドックを受診した病院にブツの入った検便容器をぶら下げて喜々として提出に行った。


しかし、病院は夜間窓口しか開いておらず、そこには見るからに「当番だから仕方なく座ってます」という風情で憮然としたおっさんが座っていた。


「あのー、今日人間ドックを受けた者なんですが、検便だけ提出してなかったので今持って来ました!」私はブツが出た喜びを隠そうともせずに、おっさんに検便容器が入った封筒を手渡そうとした。


しかし、おっさんは「もう受付閉まってるよ。」と受け取りを拒否。


「いや、ここ受付でしょ?受け取ってくださいよ。封筒に宛名の部署も書いてありますし。」拒絶感満載のおっさんに検便容器の入った封筒を押し付けた。


「あなた、その検便どうやって渡せって言われたの?」なかなかおっさんは受け取らない。


「切手貼ってポストに投函しといてと言われました。でも、ここにわざわざ封筒持って来てるんだから受け取ってくださいよ。切手貼るのもめんどいし。」私は怯まない。


「ポストに入れろって言われたらその通りにしなよ。ここでは受け取れないよ。」おっさん、なかなかしぶとい。


「じゃあ夜間ポストはないんですか?そこに入れときます。」なにがなんでも今日ブツを手放したい私。


「そんもんここにはないよ。」完全拒絶のおっさん。


「いや、ここ夜間受付って書いてあるやん!?アンタなんのために座って居るんだ!?夜間ポストの役割もすべきやろ!?」


「だから、ここはそういう受付じゃなくて!」


「とにかく、せっかく来てるんやから受け取ってや!」


「受け取れないって言ってるやろ!」


果たして、夜中の病院1階の人気のない薄暗いロビーで、おっさん二人のウンコの押し付け合いは延々と続いたのだった。

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