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中国古典短編・中編小説  作者: 左仙
3/3

荘子と若い妻

思想家・荘子と妻の話です。

今回は仙術にまつわる不思議な話です。


今から2000年以上昔の戦国時代、荘周そうしゅうという者がいました。道教の祖・老子ろうしに学んだといわれており、荘周が著した道学どうがくの書は『荘子そうし』という名で現代にも伝わっています。


荘周は神仙の道を修行し、ついに変化へんげの術を習得しました。

一時は国に仕えて役人にもなりましたが、仙術を得てからは各地を周遊するようになります。

但し、荘周は俗世との関係も絶たず、前後して三人の妻を娶りました。

一人目は先に死に、二人目は過失があって追い出され、今は三人目の妻と生活しています。

三人目の妻はでん氏といい、せいという大国の王家に属します。荘周が斉を訪ねた時、でん家の者がその見識と品格を認めて娘を嫁がせました。


田氏は以前の二人の妻に較べて容姿が優れていました。肌は雪のように白く、柔美で優雅な姿は仙女のようです。荘周は好色ではありませんでしたが、妻の美貌をとても愛しました。


ある時、という大国の威王いおうが荘周の賢才を知って上相じょうしょうの職を与えようとしました。大量な金銀財宝が荘周に贈られます。しかし荘周は嘆息して「祭祀の犠牲に使われる牛はきれいな衣服を着て良い物を食べており、農耕をしている牛を見て自分の栄誉を誇っているが、ひとたび太廟たいびょうに入ったらまないたに乗せられてしまう。その時になって農耕する牛になりたいと思っても手遅れだ」と言って礼物を受け取りませんでした。

荘周は妻を連れて南華山に隠れます。


ある日、荘周が山を下りて遊行しました。すると荒れ果てた墓がいくつも並んでいました。

荘周が嘆息して言いました「老人も若者も区別なく、賢人も愚者も皆墓の中に帰るものだ。」

少し歩くと新しい墓がありました。盛られたばかりの土はまだ湿っています。

墓の傍に若い婦人が座っており、喪服を着て白い扇で墓をあおいでいました。

荘周が不思議に思って問いました「墓の中に埋葬されたのは誰ですか?なぜ扇で土をあおいでいるのですか?」

婦人は立ち上がろうともせず、扇をあおぎながらこう言いました「墓の中にいるのは夫です。不幸にも死んでしまい、ここに埋められました。活きている間は私を愛してくれたのですが、死んでからも私を離そうとせず、こう遺言しました。『埋葬が終わっても墓の土が乾かなければ、他の男と再婚してはならない。』新しく造ったばかりの墓の土はなかなか乾きません。だから扇であおいでいるのです。」

荘周が笑いを我慢して言いました「婦人の力は弱すぎるので、なかなか土が乾かないでしょう。私が婦人に力を貸しましょう。」

婦人は立ち上がって荘周にお礼を言い、扇を渡しました。荘周が仙術を使って扇を数回動かすと、あっという間に土の水分が飛んで乾燥しました。

婦人は笑顔で何回も謝辞を繰り返し、髪に手を伸ばして銀のかんざしを取りました。釵と扇を荘周に贈ろうとします。荘周は銀釵を返して扇だけを受け取りました。

婦人は喜んで去っていきました。


荘子が家に帰ると妻の田氏が扇を見て「その扇はどこから持ってきたのですか?」と問いました。

荘周は墓であったことを詳しく話します。

聞き終えた田氏は憤激して婦人の不貞を罵り、荘周にこう言いました「そのようは薄情な女はめったにいないでしょう。」

すると荘周は詩を作って歌いました。


生前は互いに愛を語っているが(生前個個説恩深)

死んだら皆、扇で墓をあおぎたくなる(死後人人欲扇墳)

龍を描き虎を描いてもその骨は描けない(画龍画虎難画骨)

人を知り顔を知っても心を知ることはできない(知人知面不知心)


これを聞いた田氏はますます怒って荘周にこう言いました「人には賢愚の違いがあります。あなたはなぜ天下の婦人が全て同じだというのですか!」

荘周が言いました「言うだけなら簡単だ。しかしもし不幸があってこの荘周が死んだとしよう。おまえはまだ二十半ばだ。三年も五年も一人でいられるか?」

田氏が答えました「忠臣は二人の国君に仕えず、烈女れつじょは二人の夫に嫁がないものです。良家の婦女が二つの家の寝床で寝ることはありません。もし不幸が私の身に起きても、そのように恥知らずな事は三年五年どころか一生かかってもあり得ません。」

荘周は笑って「それは無理だろう」と言います。

田氏は更にむきになって大声で言いました「志のある婦人は男子にも勝るものです!あなたのように仁も義もない人は、一人が死んだらまた一人探し、一人が出て行ったらまた一人納めるものですが、私達のように婦人の道を守っている者は、一つの鞍と一頭の馬(一人の夫)しか必要ありません!」

田氏は荘周の手から扇を奪うとぼろぼろに破って捨ててしまいました。


数カ月後、荘周が突然病にかかりました。病状は日々悪化します。

田氏が枕元で泣き始めました。すると荘周が言いました「私の病は悪化するばかりだ。永別も時間の問題だろう。以前、扇を破り捨ててしまったが、惜しいことをした。あの扇があれば、おまえも私の墓をあおぐことができたのだが。」

田氏が泣きながら言いました「心配はいりません。妾(私)も書物を読んだことがあるので、礼節は理解しています。一度夫に仕えたら終生それを守り、二心を抱くことはありません。もしあなたが信じないのなら、私が先に死んでこの心を明らかにします。」

荘周は「既におまえの心を知ることができたから、私は安心して死ねるよ」と言うと、息を引き取りました。

田氏は荘周に覆いかぶさって号泣します。


田氏は知人に協力を求めて葬儀を行いました。連日、多くはないものの弔問客が訪ねて来ます。

田氏は白衣を着て朝から夜まで棺の横で泣いていました。白は中国の喪服の色です。


七日目、一人の若者が来ました。背が高くて凛々しい好青年で、衣服も冠もしっかりしています。一人の年老いた従者を従えていました。

田氏が青年に荘周との関係を聞くと、青年はこう答えました「私はの国の王族です。かねてから先生の教えを受けたいと思っていたので、数年前、門下に入れていただくように請願しました。先生は私がもう少し成長するまで待てとおっしゃったので、今回、改めて先生を訪ねに来たのです。まさかこのようなことになっているとは思いませんでした。」

青年は従者に命じて白い服を持ってこさせました。着ていた服を脱いで白衣に着替えます。


青年が霊前で拝礼して言いました「荘先生。弟子は縁がなかったため、教えを受けることができませんでした。先生のために百日の喪に服し、私の気持ちを尽くさせてください。」

言い終わると再び拝礼し、その場に泣き崩れました。


未亡人となった田氏は妄りに男に近づくことも、男と長い間一緒にいることもできません。しかし青年を憐れに思ったため、すぐに追い出すこともできません。

田氏が困っていると、青年が顔を挙げて言いました「先生は亡くなりましたが、弟子の思いは尽きません。尊居(家)の一室を百日間借りることができないでしょうか。一つは先生の喪に服し、二つは先生が残した著作を読んで遺訓とするためです。」

田氏は断るわけにもいかず、一室に住むことを許可しました。


青年の従者が食事の準備をしました。喪中なので質素な食事しかできません。

食事が終わると田氏が荘周の著書を青年に渡しました。青年は慇勤に受け取り、位牌が置かれた部屋に入りました。毎日その部屋で寝起きして読書に耽ります。


田氏は霊前に食事を運んだり香を焚く必要があるため、一日に数回、位牌が置かれた部屋に足を運びました。青年はいつも鋭い眼差しで書に没頭しています。

まだ二十代半ばの田氏は凛々しい青年の真剣な姿に惹かれ始めました。

半月ほど経った頃には、青年に対して好意を抱き、関係をもちたいと思うようになります。

幸い、閑散とした山奥なので、近隣に人はいません。弔問客も数日前から途絶えています。

とはいえ、喪に服したばかりです。女から男を誘うわけにもいきません。

躊躇しているうちに、更に半月ほど経ちました。田氏の想いはますます強くなります。


ついに我慢できなくなった田氏は、昼食が済んでから青年の従者を部屋に呼んで酒を与えました。

年老いた従者はすぐに酒がまわり、顔を赤くします。気分がよくなって口数も増えてきました。

そこで田氏が問いました「あなたの主人は結婚をしていますか?」

従者が答えました「結婚どころか、相手もいません。」

田氏は少し安心して更に問いました「あなたの主人はどのような人を望んでいるのですか?」

従者は酔った勢いでこう言いました「私のあるじは数日前にこう言いました。『この家の女主人のように魅力的な女性は今まで見たことがない。』あるじももう二十三になります。速く結婚してほしいものです。」

従者が言い終わる前に、田氏が早口で言いました「あなたの言は本当ですか!嘘ではありませんか!」

従者が言いました「私はもう年です。こんなことで嘘はつきません。」

田氏が顔を少し赤くして言いました「あなたに頼みがあります。もし私を嫌わないようなら、私をあなたの主人に仕えさせてください。」

従者はうれしそうな顔をして「それは願ってもないことです」と言いましたが、すぐ眉間に皺を寄せてこう続けました「しかし、あなたの亡夫は私の主の師でした。師弟の関係を侵したら非難を招くでしょう。」

田氏が言いました「あなたの主人と先夫は師弟の約束をしただけです。まだ門下に入っていないので、本当の師弟ではありません。それに、人里離れた山奥で誰が非難するのでしょう。あなたは私の気持ちを伝えてください。もしうまくいったら高価なお酒をふるまいましょう。」

従者は「任せてください」と言うと、足をふらつかせながら部屋を出ていきました。


田氏は今すぐ縛ってでも青年を自分の物にしたいと思いましたが、もちろんそんなことはできないので、従者の返事を待ちました。

しかし夕方になり、日が暮れても従者は戻って来ません。

既に薄暗くなった頃、しびれを切らして従者を探しに行きました。すると従者は霊前の前で大きないびきをかいて寝ていました。

傍では青年が灯火の明かりで書物を読んでいます。

田氏は青年に声をかけるのが恥ずかしくなり、一人で夕食をとりました。

悶々とした夜を過ごします。


翌日、田氏が再び従者を招きました。

すると従者はこう言いました「無理です、無理です。」

田氏が緊張した面持ちで聞きました「何が無理なのですか?あなたの主人にしっかり話をしたのですか?」

従者はこう言いました「私はあるじにしっかり話をしました。でも主はこう言いました『女主人の容姿と歳は申し分ない。師弟の関係でないことも理解した。しかしまだ三つの問題がある。』」

田氏が慌てた様子で聞きました「三つの問題とは何ですか!」

従者が言いました「一つ目は部屋の中に凶の物(死体)が置いてあることです。その前で吉礼(婚礼)を挙げるのは、さすがに気が引けます。二つ目は、あなたと荘先生は仲睦まじい夫婦で、しかも先生は徳ある賢人として知られていました。私の主は先生の万分の一も及ばないので、時が経ってあなたに軽蔑されるようになるのではないかと心配しています。三つめは、私の主は何も持たずに来たので、婚礼を挙げる費用が足りません。これが三つの問題です。」

聞き終わると田氏は安心して言いました「その程度の事なら全く問題ありません。凶の物は根がついているわけではないので、自由に動かせます。家の裏に小さな小屋があるので、埋葬するまでそこに置いておきましょう。これで一つ目は解決できます。二つ目ですが、先夫は徳ある賢人なんかではありません。私が嫁ぐ前には、家をうまく治めることができず妻に逃げられたほどです。知っている人は徳が薄いと非難しました。それに、楚王が虚名を慕って招きましたが、先夫は自分に能力がないと知っていたため、慌ててこの山中に逃げて来ました。そういえば数カ月前に山を降りた時、淫乱な女に遭いました。先夫はその女にちょっかいを出して扇をもらってきたのですが、私が扇を見つけて破り捨てたのです。死ぬ前にもあの淫乱な女からもらった扇の事を思い出して、私と言い合いになりました。仲睦まじい夫婦というのは大きな間違いです。」

田氏は話しながら徐々に興奮してきました。身を乗り出して従者に近接し、力を入れて話を続けます「あなたの主人はとても誠実でまじめな方です。それに、歳も近いので生涯連れ添っても厭うことはありません。身分においても、あなたの主人はの王族、私はせいの王族なので釣り合いが取れています。」

従者は艶美な田氏が迫ってきたため、少し緊張して体を後ろに傾け、顔を上気させて言いました「二つの問題は解決しました。でも、最後の問題があります。お金がなければなにもできません。」

田氏は乗り出した体を戻し、笑顔で言いました「三つ目の件は最も簡単です。私も貴族の娘なので、多少の資産があります。あなたの主人に伝えてください。お金の心配をする必要は全くありません。」


従者は一度部屋から出ましたが、すぐに戻って来ました。青年が結婚に同意したと伝えます。

田氏は大喜びし、さっそく従者に大金を渡して酒や肉を買いに行かせました。あわせて数人の人夫も探させます。

従者が四人の若い男を連れて帰り、さっそく荘周の棺を家の裏の小屋に運びました。部屋が片づくと、男達に大金を渡して口止めしました。


婚礼の準備を整えた田氏は、喪服を脱いで鮮やかな赤い服に着替えました。新婦が着る服です。

その夜、田氏は棺がなくなった広い部屋に御馳走を並べ、たくさんの蝋燭を灯して青年を待ちました。

暫くすると赤い礼服に着替えた青年が現れます。

田氏は喜々として青年の手を取り、年老いた従者を証人にして婚姻の誓いをしました。

二人は仲睦まじく酒を飲み、気分がよくなったところで早々に寝室へ向かいます。


青年が礼服を脱ぎ、肌着だけでベッドに入りました。

田氏も床に入るため、化粧を落とし始めます。

ところが突然、青年が胸を抑えて苦しみだしました。脚をバタバタと動かしながら「くるしい…。くるしい…」とうめきます。

田氏は慌てて青年を抱きかかえ、背中をさすりながら大声で従者を呼びました。

声を聞いた従者が慌てて駆けつけて寝室に入ります。

田氏が早口で問いました「以前からこのような発作があったのですか!?」

青年を見て驚いた従者は、田氏よりも慌てて「何があったのですか!このようなことは初めてです!」と答えました。

田氏が「とりあえず、水を!」と言ったので、従者は一碗の水を持って来ました。

青年は水を飲むと少し落ち着いたようです。ゆっくりと言いました「先生が残された書に、悪鬼あっきがもたらす心(心臓)の病について書かれていました。喪中なのに先生を裏切って婚礼を挙げたので、悪鬼になって私に憑依したのかもしれません。」

青年の顔は真っ青で、息も絶え絶えです。

田氏が問いました「それでは、どうすればいいのですか?病を治す方法は書かれていなかったのですか!?」

青年がゆっくり言いました「書物には、悪鬼となった者の死後四十九日以内に、その心(心臓)を奪い、酒で煮て食べれば、心の病がおさまると書かれていました。しかし…。」

田氏は青年の手を握って「躊躇している時ではありません。私はあなたの妻です。朽ちた骨に用はありません」と言ってから、従者に向かって「夫を頼みます」と託し、すぐに立ち上がりました。

従者は田氏の代わりに青年を抱きかかえ、背中をさすりながら「奥様は主人の命の恩人です」と言って感謝しました。


田氏は火が点いた蝋燭と斧を持って裏の小屋に行きました。

蝋燭を棺の横に置き、斧で棺の蓋を打ちます。田氏には力がないため、一回では割れません。四回、五回と斧を叩きつけてやっと棺の蓋に亀裂ができました。

田氏が一息ついた時、蓋の割れ目からミシミシと音が立ちました。蓋が内側から割られます。

田氏は驚いて斧を手離し、その場に座り込みました。

蓋が完全に割れると荘周が上半身を起こして座り、田氏を眺めて「どうしたのだ?」と問いました。

田氏は恐怖のため声が出ません。

荘周は田氏の動揺に気がついていないかのように、普通に「起こしてくれるか?」と言いました。

田氏は震えを堪えてゆっくり立ち上がり、荘周を抱え起こします。

荘周のぬくもりを感じた田氏は「生きている」と確信しました。


田氏が荘周を抱えて部屋に入りました。青年も従者も姿を消しています。

田氏は少し安心して荘周にこう言いました「あなたが死んでから私は朝から夜までずっとあなたのことを想っていました。すると先ほど、棺の中から音が聞こえました。いにしえには魂が還ることもよくあったというので、あなたが帰って来たのではないかと思い、斧で棺を開けたのです。あなたと再会できるとは思ってもいませんでした。」

荘周が笑顔で言いました「おまえの好意に感謝するよ。しかし、喪に服していたはずなのに、なぜ赤い服を着ているのだ?」

田氏が言いました「棺を開けたらあなたと再会できるかもしれないと思って、縁起のいい婚礼の服を着たのです。」

荘周が言いました「まあいいだろう。しかし棺が部屋の中ではなく裏の小屋に置かれていたのはなぜだ?裏の小屋は縁起がいいのか?」

田氏は返す言葉を必死に探します。

しかし荘周は田氏の回答を待たず「腹が減った」と言いました。

田氏は婚礼のために準備された酒と御馳走を寝室に運びました。

荘周が機嫌よさそうに酒を飲み始めると、田氏も荘周のすぐ横に座って一緒に酒を飲みます。


久しく酒を飲んで二人とも酔いが回りました。田氏は荘周を寝床に誘おうとします。

すると荘周は筆と紙を取り、こう書きました。


夫婦として百夜を過ごしたのに何の情もない(夫妻百夜有何恩)

新しい男を見つけたら古い男を忘れる(見了新人忘旧人)

棺の蓋は斧で割られたばかりだ(甫得蓋棺遭斧劈)

墓を扇で乾かす必要もない(如何等待扇干墳)


田氏は羞恥で顔を真っ赤にします。

荘周が続けて書きました。


おまえが死んだら私が埋めてやるのに(你死我必埋)

私が死んだらおまえは嫁ぐ(我死你必嫁)

私が本当に死んだとしたら(我若真個死)

まさに笑い話にしかならない(一場大笑話)


田氏は何も言えません。

荘周が「あれを見よ」と言って田氏の後ろの窓を指さしました。田氏が振り向いて窓を見ると、青年と従者が立っています。

青年と従者が荘周の仙術によるものだったことにやっと気がつきました。

田氏が顔を戻して荘周に謝ろうとしましたが、荘周の姿がありません。もう一度窓を見ると、青年と従者も姿を消していました。



その後、荘周は田氏の前に二度と姿を現さなくなりました。四人目の妻を娶ることはなく、旅に出て本当の仙人になったといわれています。


田氏がどうなったのかははっきりしません。人に会せる顔がないため自殺したともいわれています。




*『警世通言』第二巻を大きく脚色しました。



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