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アウトロー・アウトロリータ  作者: パセリ
小牧さゆりと死の無法地帯
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二十三話


 人生は何時も突然に事態が急変するものである。

 僕たちもその例外ではないようだ。

 朝の静けさを感じながら倉庫から外に出た僕は、僕が見ているものを信じることが出来なくなっていた。

 ヤクザの大群が倉庫を囲んでいたのだ。

 彼らは銃を持っていた。

 それが、僕が確認したところ、十三人いる。

 ヤクザの大群は僕に気づいていなかった。

 どうやら、倉庫の場所をまだ把握はしていないらしい。

 しかし、ヤクザの大群は、その倉庫に確実に迫っている。

 少し視点を変えればすぐに見つけることができる。

 ヤクザの大群は無意識に倉庫を囲むようにしているようだが、それでいて、倉庫の存在に気づかないとはおかしな奴らである。

 僕らは二人。

 相手は十三人。

 確実に僕たちは正面から挑んだ場合は負けると予測される。

 このまま、ここにいるのは危険だ。

 僕は気付かれないように倉庫に戻り、少女にヤクザがいるということを報告した。

「さゆちゃん! ここは危険だよ。非常に厄介なことになっている。十三人ほどのヤクザが倉庫の周りにいて、この倉庫を囲むようにしている。まあ、でもヤクザ達はここに倉庫があるということを把握していないみたいだったけれど……。でも、大変だ! 逃げよう」

「何言っているのお兄ちゃん。本当にヤクザがいたの? 囲むようにしているのに気づいてないの? それは間違いなんじゃないかな。お兄ちゃんの言っていることは少し信じられないから、確認してみるわ」

 そう言って、少女は僕の言葉を信じずに倉庫の扉を少し開けて、覗き込むようにしてから、扉を静かに閉めた。

「本当だったみたい。でも、あれは完全に無防備だよ」

「しかし、一人を撃っても残りの十二人を撃たないといけなくなる。だから、逃げよう」

「うん、そうしよう。でも、どこから逃げようかな。扉は一つしかない」

 少女は先ほど僕が出入りに使った扉を指さした。

「気づかれないように、凄く静かに逃げればいいんじゃないかな。学校で僕がギャクを言った時の教室ぐらい静かに」

「…………」

「さゆちゃん! そこは笑ってくれよ」

「お兄ちゃんのギャクがどれだけつまらないのか私にはわからないけど、静かに逃げることにして、一応拳銃はいつでも撃てるようにしておきましょう」

 少女はそう言って弾倉に弾を込める。

 僕も少女に倣ってデザートイーグルを何時でも撃てるようにしておく。


 準備は良し。

 僕は扉を開ける。

 ヤクザはこちらに気づいていない。

 僕は、数年前に息を引き取った近所の小父さんの病院での姿より静かに、気づかれないように歩く。

 少女も僕と同じく静かに歩いている。

 ヤクザ達は何かを話している。

 僕には話の内容を聞き取ることができない。

 声量は結構な大きさではあるが、この距離で聞き取るのは難しい。

 それは僕たちにとっては好都合なことで少しの音では振り向かれる心配はない。

 少女の髪型はとても華麗で僕のストライクゾーンのど真ん中を百マイルぐらいで貫いていたが、この場合はあまりにも派手であった。

 僕は静かにヤクザから遠ざかるように歩きながら、ヤクザを眺めていた。

 ヤクザ達は一斉に銃を構えた。

 何故、銃を構えたのだ?

 まさか、僕たちの姿を確認したのか。

 嫌な予感。

 嫌な予感。

 嫌な予感。

 否、銃口はヤクザ同士に向いている。

 ターン。

 銃声は響く。

 撃たれたのはヤクザ。

 撃ったのもヤクザ。

 どういうことだ。

 わからない。

 何故ヤクザが殺し合いをしているのだ。

 僕にわかるのは最終的にヤクザは一人になったということだけだ。

 他の全員は皆先ほどの殺し合いの末、死んだ。

 生き残ったヤクザはぼんやりとした目で周りを眺めている。

 少女は、そのヤクザに銃口を向けていた。


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