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アウトロー・アウトロリータ  作者: パセリ
小牧さゆりと死の無法地帯
23/26

第二十一話


 扉を開ける。

 ――人が二人。

 不気味な微笑をした男。

 男の足で踏みつけられている全裸の女。

「逃げて!」

「母さん?」

 逃げてと言った全裸の女は僕の母であった。

 行方不明だった親が何故ここにいるのだろうか。

「早く逃げて! お父さん、いや、私の夫はこの人に殺されたの」

「意味わからないよ、母さん。」


 ……ターン……。


男の銃が母の顔面を撃ち抜いた。

 そして男の銃は、今、僕を襲おうとしていた。

 僕の瞳から涙はでなかった。

 その代わりに足が震えた。

 痺れのような震えだ。

 もう全てがスローモーションに見え、全てが終わった。

 僕の体は吹き飛んだ。

 しかし、銃声は聞こえなかったし、痛みもなかった。

 僕を吹き飛ばしたのは少女だった。

 突然僕が倒れたのに対して、男は反応できず、男の撃った銃弾は僕の頭の上を通り過ぎっていった。

 僕を倒した少女はバランスを崩していた。

 男は銃を撃ってこなかった。

 弾切れだったようだ。

 男は叫んで走ってきた。

 発狂した男は体当たりで少女を吹っ飛ばした。

 男は少女を追いかけ、殴りかかった。

 男は何を思っているのだろうか。

 少女が床に体をぶつけて痛そうにしていた。

 だけど僕は今動けずにいた。

 行方不明だった両親が死んだということになってしまったことが、こんなにも僕を動けなくさせ、廃人にしてしまうのだろうか。

 何故、僕の両親はヤクザに殺されているのだろう。

 父親も母親もこの男に殺された。

 今、少女はこの男に襲われている。

 助けなくてはいけない。

 でも、動けない。

 僕の両親はこの男に殺され、唯一の心の支えである少女も、今、この男に殴られているのだ。

 僕は動けない。

 否。

 動かなくてはいけないであろう。

 僕は走った。

 男を蹴り飛ばした。

 そして追いかけた。

 銃口を男の額に密着しそうな所まで近づいて構えた。

 引き金を引けば、何時でも殺せる状況である。

「俺を殺すのか?」

「ああ」

「お前にそれができるのか」

「何かできない理由でもあるとは思わないけど」

「俺はお前の実の父親で、お前の母親を妊娠させたのが俺だったとして、死んだ父は本当の血のつながっていない親だったとしたらどうする」

「それが本当だったとして、それをお前は恨んでいるのか?」

「お前とは酷いなあ。お父さんと言ってくれ。そうだよ、俺の息子を奴は奪ったんだから」

「経緯はどうであっても、僕の父親と母親はあの二人だ。お前なんかじゃないんだ」

「ほう、それで実の父親を殺すっていうのかな?」

「お前なんか父親じゃねえ」

 僕は引き金を引いた。

 大量の血が床に流れた。

 男は死んだ。

 そいつが僕の本当の父親なのかもしれない。

 しかし、そんなのは関係ない。

 僕の親を殺したのはコイツなのだから。


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