第十五話
何事もなく、倉庫に到着。
少女は、倉庫の端っこにあった箪笥の中から、服を取り出そうとする。
「あっ、お兄ちゃん外行っていてね」
僕は着替える際、邪魔者なようなので、倉庫の外にでて、少女が着替え終わるのを待つ。
着替えを見られるのを恥じらうということは、女の人としてあたりまえなので、僕はそれについて深く言及したくはないが、男の人は、別に、異性に服を脱いでいるところを見られても、ましてや、全裸を見られても、恥ずかしすぎて死ぬということはないと思うし、逆に快感を得る人もいるぐらいだろうが、なぜ女の人は男の裸を見るとか、自分の下着を見られただけで騒ぎ立てるのか理解ができない。
こういう違いがあるからこそ、男女差別は生まれるのだ。
もう皆、男になってしまえばいいのに。
いや、でも少女が男になったら、それは少年になってしまう。
少年に恋するショタコン高校生に僕はなりたくない。
そうはいっても、少女に恋をしてしまっているこの僕はロリコンなのだろうか。
少女は僕のことを好きと言ってくれたりもしたが、それはお兄ちゃん的な立ち位置にいてくれることが好きなのであって、恋愛的なものとはかけ離れているのかもしれない。
「着替え終わったよ」
少女の声を聞いて僕は、どんな服装になっているかワクワクしながら、倉庫の中に入っていたのだが、そこにある光景は信じられなかった。
少女は髪型を変えていた。
さっきまでの髪型を気にしていなかったから、もうその髪型を忘れてしまっている僕に罪悪感が湧いてくるが、それにしても今の髪型は強烈だ。
ツーサイドアップ。
可愛らしいというか、可愛すぎる。
この容姿を見ても、この少女を殺そうという気が起きるのか不思議なぐらいに可愛い。
猟奇的なものに、興奮する人じゃなければ、まずこの少女を殺せないだろうというぐらいに可愛い、可愛すぎる。
服は、カエルがプリントアウトされたシャツだった。
カエルの色は、黄色じゃなくて緑で、目と目は少し離れていて、根性とかでなんとかするタイプのカエルではないようだった。
下のほうも、ホットパンツよりは少し長い、デニム素材のズボンを履いていた。
ああ、僕はとうとうロリコンに覚醒してしまったようだ。
「どう?」
「……」
僕は何も答えることができなかった。
そんなこと言われても、本音を言えば変態になる自信があるし、嘘を言っても、僕は嘘をつくのが苦手だから、良い嘘はつけない。
少女は僕を暇そうに見ていた。
感想も言えない男に不満があるのだろう。
少女は、拳銃を持ったツインテールの、デフォルメされたカエルの服を着た美少女となったのだが、身長は百四十センチ前後だろうか、かなり小さくて、その拳銃が不自然である。
しかし、その横にいる『働いたら負け』と書いたシャツを着た男がいることのほうが、傍から見れば不自然なのかもしれない。
しかも、その男がデザートイーグルを持っているのだから。




