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アウトロー・アウトロリータ  作者: パセリ
小牧さゆりと死の無法地帯
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プロローグ

 少女の優しい声が、僕の耳の奥に響く。

 僕は、その少女の声のする方に走っていた。

 少女は可愛らしい笑顔をみせた。

 僕も、少女を見ていると笑顔になった。

 僕と少女は全てを分かち合った。

 時には、一緒にご飯を食べるなどし、遊んでいる時には、結婚の約束もした。

 なのに、少女は今、僕と話しをしてくれない。

 いや、僕と少女との接点が徐々になくなってきていると言ったほうがいい。

 少女が、今、僕をどう思っているのかわからないのである。


 僕は、彼女のことを、「少女」と言ったが、年齢が十歳とか離れているわけではない。

 僕が高校三年生で、少女は、中学一年生だ。

 昔、僕と少女はいつも一緒にいた、でも、親戚というわけではなく、家が近くにあったため知り合い、仲良くなったということである。

 僕は少女の家に何度も行ったことがある。

 歩いて、すぐそこにあるので、いつでも行こうと思えば行ける。

 だけど、最近は行っていない。

 一歩踏み出す勇気。

 それが、今の僕には足りないのだ。

 そんな僕だが、なんと、無理に勇気をださなくても、その少女との関係を取り戻すことができそうな、一つの出来事が起こったので、それを話していこうと思う。


 それは、下校途中。

 学校は、夏休みというのに、僕は補習とかなんとか言うやつで、学校に行くことになっていて、その帰り道のことだ。

 僕は自転車を走らせ、寄り道もせず、ただ、自宅に向かって、一直線に進み、スピードを上げていき、体感速度だけで言えば、光を超えたかもしれない、かもしれないであって、実際には陸上選手とかの人間の走りよりも遅い走りをしていたのだが、気持ちがただ走ることだけを考えていた影響で、あまりないスピードをとても速く感じていたその時であった。

「お、お兄ちゃん?」

 それは、少女の声だった。

 そして、今になって気づく。

 僕はいつからか、少女に会うということが無くなっていたことに。

 考えてみれば、一年ぶりかもしれない。

 いや、もっと会ってないかもしれない。

 だって、少女は、僕の思っていたよりも、ずっと大きくなっていたからだ。

 でも、近所の人と一年以上会わないということはあるものなのか、僕にとっては凄く謎なのだが、なんだろう、引っ越しでもしていたのか? 僕に挨拶もしないで?

「ひ、久しぶりだよね?」

「うん、久しぶり……」

「どっか行っていたのか?」

「行っていた」

「どこに?」

「お祖母ちゃんのところ」

 ほう、お祖母ちゃんのところか。

 ちなみに僕は、少女の祖母と会ったことはない。

「で、何年いたの?」

「一年半」

 い、一年半? そういえばずっと会ってなくて、話しかけもしてくれないなと思っていたら、一年半もここに帰ってきてなかったのか。

 少女は、僕の話を聞いてくれないのではなく、いなかっただけなのだ。

「見ないうちに大きくなったな」

「どこらへんが?」

「……む、む……」

「む?」

「いや、なんでもない」

 僕は何も見ていない。

 それが、例え、凄い揺れ方をしていたとしても。

 それが、例え、擬音でたふんたふんって感じの揺れ方だったとしても。

 それが、例え、触ってみたらぷるんぷるんと、良い触り心地であろうと考えさせられるものであったとしても、僕は何も見ていないと言い張ることにする。

 まあ、そこまで大きくはなってないけど。

 少女は、ロリ巨乳とか、そういう部類ではない。

 ちょっと昔は胸なんか、無に近かったのに、少し大きくなっただけで、物凄く大きいように見えてしまうだけなのだ。

 これでも、一般的に見れば、微乳ぐらいだろう。

 しかし、男は度胸を磨き、女は胸そのものを磨くべきだね。

 僕は何を熱くなって語っているのだろうか。

 いや、でも、成長を感じさせられる。

 一年半前は、もっと小さかったのに。

 多分、発育が遅いほうで、小さいほうだったからこそ、この一年半で凄い急成長を遂げているのだと思う。

 でもよかった。

 敬遠かなんかでもされているのかと思っていたが、先に話しかけてくれたし、変な心配はいらなかったようだ。

「お兄ちゃん、ごめんね」

「なにが?」

「一年半もいなくなるなら、挨拶ぐらいはするべきだったよね?」

「そうだな」

「ごめんね……」

 謝っている姿も可愛い。

 それが可愛いと思うなんて、僕は凄く変態かもしれないが、少女が反則級の可愛さなので、普通の男の子ならば、そう思ってしまうことだ。

 そう、僕は普通の男の子なのである。

「まあ、そんなに謝らなくてもいいよ。こうやって、喋りかけてくれただけでも、僕は安心したよ」

「う、うん。お兄ちゃんは優しいね」

 今、僕は優しいと言われた。

 凄くニヤニヤしていると思う。

 だが、ニヤニヤしている僕に対して、少女は表情を真剣なものに変えて言った。

「私を助けて、お兄ちゃん」

「助ける? 僕が?」

「そう、助けて」

「なにを、どうやって助ければいい?」

「いまから話すね」

 僕は、少女が喋りだすのを待った。

 でも、なかなか喋りだすことができない様子だった。

 数分待っていると、喋るという決断をしたようで、少女は口を開いた。




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